ピカピカの鏡の森
@Rex01
第1話
むかしむかし、あるところに「ぴかぴかの鏡の森」がありました。
その鏡はとてもふしぎで、のぞきこむと、森のどうぶつたちが毎日どんなことをしているかが見えるのです。
リスのリリィは、この鏡が大すきでした。
おともだちのウサギのピョンや、フクロウのフーが、どんなごはんを食べているか、どんな木の上で遊んでいるか、ぜんぶ見えるからです。
「すごい! 森じゅうのみんなが、いっぺんに見られるなんて!」
リリィは毎日、朝から晩まで鏡をのぞきこみました。
でも、だんだんふしぎなことが起こりました。
ピョンが楽しそうにダンスしているのを見て、
「わたしもおどらなきゃ、みんなにおくれちゃう!」と思ったり、
フーがきれいな羽をひろげているのを見て、
「わたしのしっぽは、なんてつまらないのかしら」と、くらい気もちになったり。
ある日、リリィは気づきました。
鏡の中では、みんな笑ってばかりなのに、森の中では、だれもほんとうの笑顔を見せなくなっていました。
みんな、鏡の中で“よく見える自分”ばかりを作っていたのです。
リリィは鏡を見つめながら、ポツリとつぶやきました。
「ねぇ、鏡さん。わたし、本当の友だちがどこにいるのか、わからなくなっちゃったの。」
すると鏡の奥から、小さな光がぽんっと飛び出しました。
それは、森の精のルミィでした。
ルミィはにっこり笑って言いました。
「鏡はね、あなたのこころを映すものなの。見すぎると、自分の中の大事な光が見えなくなるんだよ。」
リリィは鏡から目をはなし、外へ出ました。
すると、森のかぜが気持ちよくふいて、鳥たちの歌が聞こえました。
ピョンとフーもそこにいて、すこしはずかしそうに笑っています。
「ねぇ、いっしょに遊ぼう!」
「うん!」
その日から、鏡の森にはまた、ほんとうの笑顔がもどりました。
ピカピカの鏡の森 @Rex01
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