第20話 叶偉(かい)
「ねえ、
それに、あなた年齢、進んでないわよね?」
そのまま
若く見えるというだけではなかった。
「確かにそうなんだ。ゆっくりと時間が進んでいるような感じがする」
「魔性の気配も感じたことがない。あなた何者?」
「そうだな。以前から気にはなっていたんだが。さすがにほってはおけないな」
「
「さて、何が出てくるか楽しみだな」
「
「さあ、ただの人間なら百ぐらいだろうな。
人間の
だが、
その温かさを直に味わいたかった。
だから
その為に、
つまり、
だが、それも限界がある。
子供も間は開いたが五人もうけた。
どの子供たちも立派に成長した。
あとは残される
一人残される
子供たちも自分たちのことをとても大切にしてくれている。
きっと、一人になった
生きとし生けるもの全てに終わりは来る。
それが長いか短いかの違いだけだ。
だが竜の寿命は長い。人間の時間とは比べ物にならない。
何百、何千年の月日を
土木技術や建築にも
また薬学や医者の知識も持っていた。
ある時、東の辺境の地へ
そこは
その時、何かの気配に気が付いて、辺りを見渡すが分からなかった。
だが、その気配は何故か懐かしさも感じるものだった。
最初に感じた気配はその後も時々、ふとした時に気が付いた。
ただ人間の
ある時、夕食後に
時々感じる気配が強くなって近づいてくることに気が付いた。
すると、薄暗がりの中、二つの光る眼が
「貴様、何者⁉」
魔性とも
「オニの血を引く者とみた。
二つの眼が言った。
「オニ?キオン?何のことだ⁉」
二つの眼は消えた。
何かが
それからも時々、気配を感じることはあったが、あの二つの眼は現れなかった。
「
すると、
「⁉何⁉
すると
「何だ?」
「…魔性ではない。オニか…」
「オニ?これが?」
「
「ああ、二つの光る眼が、オニの血だとか、キオンとか…。
あの時の眼がコイツ?」
「消されたくなかったら、答えろ」
小さな生き物は「
あの東の辺境に昔から鬼の一族がいて、
「で、
「
「オニ?別に
私だって竜よ。何の違いがある?」
何を今更言っているのかというふうだった。
「
「
例えそれが
私のすべては
「だめだ、
危惧していた。
「誰だ?オレの中に何かが居る?」
全身に汗をかいていた。
夢の中、
その赤い
その姿は
隣で寝ていた
日ごとに夢の中の赤い瞳は輪郭をハッキリとさせていった。
そして、満月の夜、それは形となって現れた。
体が一回り大きくなり爪が伸び、その体から
「やはりオニがいたか」
そこに
「オレはどうなるんだ?オレは…。オレの中に何かが居る」
「
それも一族の
それが人間の女と通じてお前が生まれた。
お前の母親はお前を育てた村長の娘だ。
母親はお前を産んですぐに死に、
お前が持っていた赤い石は
「この赤い石は
だから、時々、光った。
そして、今、
「あ…父さん?」
「
これで血の契りが交わせる。
人間のままだったら無理だった。
私は
私は
「血の契り?オレは
血の契りは竜の血を一滴、相手の体内に入れることで成立する。
相思相愛の関係で成り立つ。
しかし、竜の血は強い。
ただの人間には害でしかならない。
だから
しかし、
竜の血を受け入れることが出来た。
血の契りを交わすことが出来た。
「だが、オニは初めてだ。血の契りを交わせてもどうなるかは分からないぞ?」
「このまま人として
どんな形であれ
飲んでしばらくして
体中が熱くなり血が逆流しているようなザワザワとした感覚、
全身の毛が逆立つような不快感。
そして
そして
「オレは…。この姿は…」
「
お前の中の鬼の血が表に出てきているということか?」
「でも
「
体のどこにも違和感はなかった。
だが、次の満月の夜に異変が起こった。
「満月が切っ掛けか。変化しても
だが、明らかに力は強くなっている。
人間の器には強すぎるな。
まして本来なら
少し仕掛けが必要だな」
「
そんな中で血の契りと鬼の血の目覚めで今の
そこで
必要な時に動けるように、それまで
血の契りを交わしているから
だから
みながそれぞれに
みなが人間の
「父さま、次、いつ起きてくるの?」
「何か
「生まれてくる子の名前、相談したくて」
「あら、
「
みんな父さまの字を貰っているから、この子たちも貰えないかって」
「
「まあ、少しはね。私も大人にならないと。それにこの子たちの親になるんだし」
幼い頃は勝ち気で女王様気質、自己中心的で常識が通用しなかった。
だが今は
そして、母親になろうとしている。
娘の成長に
そしてまた眠りについた。
満月の夜に目覚め
自分の
自分だけを愛してくれる。
人間のままならその
いつ自分の
そして初めて会った時に交わした「ヤクソク」は守られた。
fin
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