第5話 朱偉雷(しゅいらい)
『ねえ、トト。どこにいるの?トト?
そこにいるんでしょ?トト…トト…』
また、あの夢か…。
目を
涙が
「また同じ夢を見たの?」
「起こしちゃった?ごめんね」
「どうしてだろ?最近また夢を見るようになったの。
もう忘れたのかと思っていたのに」
「忘れなくていいよ。
「
お前、いい腕しているのに、
「…どうでもいい…」
優しく抱きしめた。
「ホント、お前、やる気がないというか…人生捨てているだろ?」
いつも母親の
幼い頃、
よく南の大陸に行くことがあった。
南の大陸は東と
小さな
トトという名の王の世話係をしていた使い魔で、
十歳ぐらいの見た目の
トトは一人で待っている
いつも気を配ってくれていた。
「
「これは南の大陸だけに成る実です。形が
「
自分を最優先してくれるトトが大好きだった。
東に帰るたびに、トトとの出来事を嬉しそうに
いつの間にか
楽しみに待つようになった。
トトに会える、トトとおしゃべりが出来る。
それは女の子の小さな恋だったのかもしれない。
いつものように
トトが
すぐ近くに居るに
だが、いつまで
「ねえ、トト。いるんでしょ?どうして来てくれないの?トト?」
「ねえ、トト。いるんでしょ?何で会ってくれないの?
私、嫌われちゃったのかな?」
以降、
東から、南の、それも弱い魔性のトトの
それから数か月後のある日、追っていたトトの
どこを
「母さま、母さま、どうしよう?トトの
トトがいなくなったの。ねえ、母さま、トトを
泣きながら
その
そして、トトの死を
「トトがいなくなっちゃった。どうして?どうして?もう一度、会いたいよ!」
内気な性格の
抱きしめてやることしか出来なかった。
そして、大切なものを
その中に二人を避難させた。
今は二人を守ることが最優先だった。
二人が
人間の
ただ、大切な二人の子供たちの無事を祈ることしか出来なかった。
それから
いつも一人、部屋に
その心は固く閉じたままだった。
そのことは
やんちゃで明るい
そんな状況をみて
隊の訓練場に連れ出した。
そこには
みな人間か力もまちまちの魔性だが、
「
見た目は怖いけど、普段は優しいよ」
表情は
それぞれが
すると中でも
いきなり
しかし、
大男は
「
いきなりじゃ無理だろうし、また連れてくるから、
よかったら相手になってやってくれ」
訓練場に連れ出した。
外の空気に触れさせてやりたかった。
少しでも
今の自分に出来ることといったらこれぐらいが
心の傷は誰にも治せないことは
大切なものを
初対面での出来事が
どうにかして
「
そしてまた
周りの仲間たちは、またかと笑っていた。
隊員たちの動きを目で追うようになっていた。
優しく見守った。
ある日、
「
私の肩に乗ってみませんか?高い所から遠い景色を見ることができますよ?」
優しい声で
そして
「乗せてもらいなよ、
自分の肩に
その表情が少し
その場にいた全員が
「
他の隊員たちも次々と声をかけてきた。
訓練を受けさせることにした。
本当は
そして
しかも色が強く出ていた。
二人は剣の持ち方、立ち方、目線の動かし方など、
ありとあらゆる基本となる動作、技術、知識を教え込んだ。
魔性の力ではなく自らの体を使って戦う術を
そして、空中戦に強い
それぞれが得意とする分野を
だが、それはただその日を生きるという行為でしかなかった。
目的も目標もない、全てが受け身の行為だった。
「
いい腕しているのに、
ある日、
勝ち抜き戦をしていた。
そのすぐ近くの大きな木に向かって
そして、その木に向かって叫んだ。
「
出ないと今日の昼飯抜きだからな!」
周囲の
すると、木が揺れて
女性の着る
「何人?」
「十五人だ!」
すると、
勝ち抜き戦をしている円陣に突っ込んでいった。
あっという間にそこにいた五人が倒された。
隊員たちは次々と手を
九、十、十一、十二、十三と
相手を倒していく。
そして、最後の一人。今まででまだマシな動きをしている。
一応、
相手の
その顔面に
隊員は思いっきり後ろに飛ばされた。
「はい、十五人。終わったよ、
隊員たちは
一瞬の
「
「
「ははっ、うちのお姫様はいつまでも甘えん坊だな。
まるで幼い時の
嬉しそうに目を細める。
「母さまと?じゃあ、
「
周りにいた
「何でみんな笑うの?」
「いえ、確かに
「だろ?お前たちもそう思うよな?」
「もう、
「
「
「
本人も多少腕には自信があった。
それが
しかも最後に剣を投げつけられたうえ、
悔しくて
それと同時にあの強い姿に
強くなりたかった。
そして、訓練の合間に
もう一度、
ある日、
「
もう一度、
「お前、誰?」
勝ち抜き戦で最後に
「あー、あの時の…一番マシなヤツ…」
そして、
指名されたのは
「
こんな
だいたい、何で
オレの
「うるさい。やれ、
だが、
すぐに捕まって腹に
立ち上がろうとするとすぐに次の攻撃が飛んでくる。
またすぐに地面に
とうとう
「
殺さない程度に使えるように
「
そして、遠巻きに見物していた他の隊員に向かって
「この者の手当てを」と
全身包帯だらけになっていた。
だが、
その強さを実際に肌で感じて、自分がいかに弱いかを痛感した。
足元にも
そんな
「貴様、その程度でよく
願い出たものだな。
だが、まあよく生きていたものだ。
ありとあらゆる武術に
あいつの攻撃は予測不可能だったろう?
あれで
そして私が選ばれた。私が
容赦はしない。覚悟しておけ」
チャンスを得たことを理解した。
すぐに
基礎から徹底して直された。
体力も足りない、体の作り込みも
魔性の自分だってあそこまでなれるはずだと言い聞かせた。
「なんだ、アイツまだ逃げ出していないんだ?」
「
「別に。ちょっと楽しめるかと思って」
ある日、
薄紫に見える美しい銀髪を頭頂部に一つに
残りは肩になびかせている。
光が入ると赤く見える茶色の瞳。
左腕には、その太い腕には
「誰だろう?
あんな兵士見たことないよな?」
全員と顔見知りの様子で親しそうに話しをしている。
すると、
テントから
表情が一気に明るくなってそちらに駆けてきた。
「父さま!」
そう叫ぶと
「父さま、いつお帰りに?」
「
「父さま、まだお仕事あるの?この後は一緒に居られるの?」
「まだ、あと二か所だけど、ジルと
「無い!」
「
「
いってもいいかな?」
「もういいよ。俺に勝ち目なんて無いもの」
「やったー!父さま」
二人は楽しそうに会話しながら去って行った。
二人の後ろ姿を見ながら
他の
「
「最初の頃はずっとしかめっ面でニコリともなさらなくて、
どうお相手をしていいのか困りましたよ」
「
「
あの大男が
みんなの笑いの種でしたよ」
「みんなには感謝しているよ。
そこにいた
「
と剣の先を自身に向ける忠誠の態勢を取った。
『あの人が
人間が竜の
人間でもそこまで昇りつめることが出来るのか』
そして、また自分に言い聞かせた。
『自分も上に昇りつめてやる。
ある昼下がり、訓練場へ
顔が少し引きつっている。
「
「
いかがなされましたか?」
珍しく訓練場に来た
「
木の上から
「
「別に…」
「別にじゃないだろ?トトの姿、追わせたろ?
過去と現在を
トトの姿を見ていたのだ。
「ほ~う、
いつの間にか後ろに
「えっ、あ、あの…」
「
「だって、だって、少しだけ見たかったから…ご、ごめんなさい」
「
「
「
見ていた
「いつまでも死者の影を追っていては前に進めん。そうだろ?
優しさなのだと感じた。
やがて、
前線に立つようになった。
さすが
その時の判断力、行動力、その腕前と誰もがその実力を認めた。
ただ
世捨て人のような感覚で生活をしていた。
「生きる」ことに執着していなかった。
戦闘でも「敵」という目標があって、
それを
「生きて帰る」という意識に
しかし、上に立つものがそれでは部下を守れない。
「何が何でも
生きていてこそ、次があると考えていたからだ。
それでは、その部隊はすぐに
過去が
しかし、
十人の少数部隊として
組むことになった。
そして他の隊員も自ら進んで配属を希望した。
「
挨拶にきた隊員たちの顔もまともに見なかった。
さすがに
他の隊からは白い目で見られたり、陰口をたたくものまでいた。
「
「
もちろん、あなたの隊に配属が許されたのですから」
「なぜ笑った?」
「いえ、珍しくあなた様から他人のことを聞いてきたので。
少しは興味がおありなのかと思って」
「まさか。まだ生きていたのかと思っただけだ」
ある日、
隊が組まれてから
さすがに問題だろう。
その中に
「
「どうしたんだ?」
「あれから一度もお顔を出していただけていません。
さすがに隊の
訓練に参加していただけないかと」
「それは、それは。ご苦労なことだな。
テントの中について行くと、
そこには
その動向一つ
強い者たちだけが許されるこの場所に、
自分が立ち入ったことが間違いだったと痛感する。
恐怖にも似た感覚が襲ってきた。
「
訓練に参加してほしいと来てますよ」
テントの一番奥の一角に大きなベッドのようなものが置かれ
簡易の
その下に寝そべっている
気持ちよさそうに眠っている。
チラリとこちらを見た。
「
「う、ん…何?」
「
「はい。十人つけましたが?」
「
「
「だって、お前、何かエサつらないと動かないだろ?」
「…どこに居るの?そいつら」
そして、そのままの姿で表に出ようとした。
「
せめてこれを上に着てください」
自分の
「
「
「
テントにいた
声をかけてくる。
まるで小さな子供に親がするように世話をやこうとしていた。
その様子を見て
他の部隊からもどよめきの声が上がった。
その光景に
剣を半分引きずりながら広場中央まできた
あくびを一つする。そして…
「
どれ程の腕になったか
まとめて全員かかって来い!」
一番近くにいた隊員に向けて大きく剣を振り下ろす。
隊員たちは
すぐに次々と
簡単に相手をかわし倒していく。
あっという間に五人が倒された。
そして最後に
以前、
それでも相手は
剣の一振りで地面に
結局、
十分もかかっていないぐらいだった。
見物していた他の隊員は
そして、当の
涼しい顔をしていた。
「
「
「もうちょっと楽しめるかと思ったが、
お前たち、死にたくなければもっと本気になれ!」
そして「
飛び込み抱きしめてもらう。
残された隊員たちは
このままでは
自分たちが目指すのはもっと上だと痛感した。
そして
それでもこの
もっと強くならないと意味がない。
他の隊員に比べれば
しかし、それ以上に
いい傾向だと感じた。
おそらく
だから、いつもなら言わないようなあんな言い方をされたのだろう。
他の
この場にいた
それぞれが
この
広場の一件以来、
ひたすら自分を
そして他の隊にも
もちろん、
隊員たちはみるみるうちに強くなっていった。
そこからだと訓練の様子がよく見えた。
ある日、その場所に座っていると
「
「
それと、あのチビ、動きがいいけど判断が悪い。直しておけ」
「ご自身で言ったほうが彼らも喜ぶと思いますが?」
「めんどくさい…」
そのまま地面に
他人に興味を示していることが。
もしかしたら、彼らは
大切な存在になってくれるかもしれない。
その後、
まだ大きな仕事は
徐々に彼らも戦いに慣れていった。
そして、
自然と
特に
年月が
「
西の
最近、近隣への侵略が酷くなっているらしい。
人間の町に被害が拡大している。
あそこも昔から内戦が酷いが…」
出陣の前日、珍しく
「
「出るの、明日だよね?ちょっと様子を見にきた」
公衆の面前などお
それを知っている
初めての光景に
あの、何事にも無関心な
しかも
みな固まってしまっていた。
「君たちが
周辺の状況や地形などを確認し戦術を決めていった。
そして、戦いの当日、
そして後方支援部隊も
人間の町を
敵と
敵陣のかなり奥まで踏み込んだとき、同時に複数個所の地面が爆発し割れた。
そして敵味方共々、吹き飛ばされていった。
「何⁉」
しかし、敵が爆弾を使って自分の味方ごと吹き飛ばしたのだと気が付いた。
「
「
「
すぐに行きます!おい、頑張れ、行くぞ」
と、その時、背後で地響きがし、地面が割れ、
爆風が襲ってきたが直撃はしなかった。
後ろを振り返ると
目に飛び込んできた。
「
そして、その左翼が半分以上、吹き飛ばされていた。
「うわー‼」
王宮にいた
「
体を
そして、もう一人。
「きゃあー⁉
「
竜の姿となり全速で西へ飛んだ。
その頃、
上級魔性の
西の
そして、その中に背中を大きく負傷した
応急処置がなされていた。
そこへ
大きな傷の治療をはじめた。
竜でなければ命を落としていただろう。
「
「
大きな傷は
まして、傷が大きすぎる。
そこへ
「
「
取り残された
自分たちが守らなければならない
自分たちを
そして、他の上官に
王宮に連れ帰った
傷は深く痛みはしばらく続くだろう。
そして
少しでも苦痛を取るために、そして
竜が翼を失うなど、あってはならないことだった。
「
ボクの半身、ボクの片翼。その翼が…怒りが収まらない。
心が
体の奥底に
感情がコントロールできない」
「
ごめんなさい。
私の痛みは
双子だから
痛みにひどくショックを受けた。
戦場へ行くのだ。多少の傷は
しかし、翼を失うことは
味方ごと吹き飛ばした西の
そして、何も出来なかった自分自身のことも。
城のものたちは悲しみで包まれた。
一般棟にも幼い頃から出入りし、
働いているものたちみんなが
そして、
一同みんなが祝福した。
その
それがどれだけ重大なことか、みな理解していた。
彼らは打ちひしがれた。
そして、
気持ちが
食事係のオウミは出来るだけ
部屋へ運ばせた。
ジルたちは
仕事を肩代わりした。
みんな竜のために何かしようと動いた。
中央に
その子供たちと
取り返しのつかないことをしてしまったのだから。
「
「私の傷のことなど。今回の件、申し訳ございませんでした。
すると、
しかし、
「
あなたの敵ではない。お
この
「ねえ、ボク、言ったよね?お願いって。
なのに
何のための
「お前が死ねばよかったんだ」
追い打ちをかけるように
だが、
ただ、
「二人とも
君が
あの子が守った命だ。大切にして欲しい」
そして、
大切な娘の
平静ではいられなかった。
お互いがお互いを求め支えて生きてきた。
それは
様子を見ていた
「
毎回、
それにしても味方ごと吹き飛ばすとは、さすがに
「ねえ、
こいつ死んでるよ?
その後ろの、この黒い塊。こいつが
「ほう。いつの間にか魔性が入り込んでいたか。
魔性といえど腐ってるな。やり方が気に食わん。
「
「ボクも行く」
「
「今回だけは特別だ。
「
相手に
「
事の成り行きを見守っていた
「処分?さっさと傷を治して戦場に立て」
「
だが、お前たちは大きな失態をした。
それで
「
ただ、
そして続けた。
「
その命、無駄にするな」
そして深く
なぜあの時、もっと早く行動していなかったのか、
なぜ
明後日の夕刻、
そして、そこに
その少し幼い顔立ちの美少年が戦場には似つかわしくない
しかも
みんなが知っていた。
だから
「
体中から怒りの
もう
「全員に
各自配置につけ。全員、生きて帰れ。
その場に
戦力にはならないが、
その目で見てこいと
確かに
普通なら戦場であまり聞かない言葉かもしれない。
だが、今はその言葉が心に刺さった。
その後を
すると
自分の左目を
「
「この左目は
今だけお返しします。
この
再びこの
最悪、この
その考えを
「行ってくる」
そして崖下から二匹の飛竜が
その飛竜が羽ばたき、翼に鋭い爪が現れ、口が大きく
戦闘用に
その美しい光景に一同が一瞬立ち止まる。
そして、上官の命令で再び動きだした。
「
炎に焼かれるよ?」
他の幹部から「
「竜が
聞いたことはないかい?一晩で町が消えたとか、国が無くなったとか。
あれは上級魔性の
そして口から青白く光る炎を放った。
当たった場所が一瞬にして
見る見るうちに炎が広がり、ありとあらゆるものが焼かれていく。
そして各地で大きな爆発が起こった。
そして暗闇の中、あちこちで火柱が上がった。
真夜中だというのに昼間のように明るく
今回の
やがて、城が燃え崩れ落ちた後も炎を放ち続けた。
敵は完全に消滅しているのに
これ以上の攻撃は必要なかったからだ。
竜の姿から
「お帰りなさいませ」
「
「まだ気が収まらないようだから、そのまま空に放って
「
だが、
その本質が違う。
だが、その力は
そして改めて自分の犯した罪に
雨がパラパラと降ってきた。
「
それ以上、ご自身を
薄紫に光る飛竜がこちらに向かってくる。
崖を
熱風が吹きつけてくる。
そして、再び戻ってくると、大きく両腕を広げている
ぶつかるように飛び込んできた。
ドンッと衝撃音と
そして、
「
ボクの半身がボクの片翼が
降り出した雨音がやがて強くなり、
その心は
『ねえ、トト。どこにいるの?トト?
そこにいるんでしょ?トト…トト…』
また、あの夢か…。
目を覚ました
「また同じ夢を見たの?」
「起こしちゃった?ごめんね」
「どうしてだろ?最近また夢を見るようになったの。
もう忘れたのかと思っていたのに」
「忘れなくていいよ。
あれから
幼い頃の少女の小さな恋。
そして永遠に
あれから今まで、その小さな光を探したが見つからなかった。
自分にはあの時の小さな光がすべてだったのだと
そして、その
痛いほど
心までも悲鳴を上げていた。
ただこうして
母親としてどうにかしてやりたかった。
トトを
今また
どうにかしなければ、取り返しがつかなくなる。
そして
そこに母、
そして、なぜか南の大陸の王、ラセスが居た。
「ラセス。お久しぶりね。どうして?」
「お前が大変なことになったと聞いてな。見舞いだ」
ラセスが大きな体から太い声で答える。
「わざわざ、ありがとう」
すると、ラセスは左手をスッと前に出し、
その
その球体を見た
「トト⁉トトの
「どうして⁉」
「あの時、トトがお前に会わなくなっただろ?
どうもトトの中に人間の血が混じっていたようでな。
急激に老化が始まった。どうすることも出来なかった。
トトは
トトの死後にお前の母親が来てな、
トトの魂を
本来なら無理な話だが、
いずれお前にはトトの魂が必要になるだろうからと
今まで俺の手元で預かっていた」
ラセスが説明する。
目の前にある小さな光がトトのものだということは理解できた。
ラセスが手をゆっくりと動かす。
すると、ゆらりとトトの姿が現れた。
幼い頃に出会った頃のトトの姿ではなく、
そこには顔に
「
トトが昔と同じ声で
「トト!会いたかった。ずっと会いたかった!」
「どうして会ってくれなかったの?私、ずっと嫌われてると思ってた」
「
でも急に老化が始まって、こんな
トトは泣きながら話をした。
「トトはトトだよ?どんな姿になってもトトの中身は変わらない。
あの時と同じままの光だよ。好きだよ、トト。
大好き!私の
「ラセスさま。ボクはラセスさまのお世話係で
とてもラセスさまのことが好きなんです。
でも、でも、ボクは
泣きながらラセスの方を振り返ったトトは
出会った頃の姿のトトだった。
ラセスはその姿を見て、二人の好きにさせようと決めた。
どのみち、自由になる時間は限られている。
この姿を
せいぜい、半年がいいところだろう。
ラセスは
「いいぜ、トト。
最大級のもてなしをしてやる。
ラセスが優しい声で言った。
二人は優しい
「父さま、母さま。ありがとう」
城のものたちは
しかし、幼い頃から
少しの時間でも
流れてくれることを願った。
自分にとっての
自分が求めていたのは何だったのか?
そんな時、
「私たちが
努力は
「お
自分は何をすれば良かったのか。
自分は
しかし、それは自分の気持ちであって、
違う、求めるのではなく
考えなければならなかった。
自分は利害関係なく誰かのために
そして、今度こそ、
fin
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