ブラックマーベル
私はタニラーの前にズボラーである。そして忘れっぽい。
病気じゃないかと思うのだが、ギリギリ健康らしい。
精神科に行ったところ、「ただの怠け者ですね」と言われた。あの医者覚えておけ。
「ブラックマーベル行方不明事件」
先日、拙作「翔吾と夕月」の完結を祝し、主人公カップルをテーマに寄せ植えでもしようかと思い立った。
この時点で意味不明かもしれないが、オタクとはえてして意味不明な思考回路を携えているものである。寄せ植えは私にとって「祭壇」に近いのだ。
足りないパーツを集める為に園芸店に出掛け、購入してきた多肉達。
寄せるまでは家の多肉棚で環境を合わせつつ養生していた。
さぁそろそろ寄せてやるぞ!と張り切った時、事件は起こった。
主役になる筈のエケベリア「ブラックマーベル」がいないのである。
ヒロイン役を勤めてもらう「雪雛」はいつもの棚に清楚に佇んでいる。
「君、彼氏はどこ行ったの?」
無視だ。
作中で酷い目に遭わせたので私は嫌われているらしい。
とはいえ、エケベリアに足が生えて逃げ出していく訳もない。
何故……??ぬすまれた……??
(因みに高額品種は本当に盗まれる事もあるが、ブラックマーベルは割と安価。)
溶けて消滅した形跡もない。庭のどこかにいる筈である。
探し回り見つけた場所は多肉棚ではなく、観葉植物の群れの奥だった。
アロカシアやオオタニワタリのジャングルの奥地。完全な日陰でジメジメである。
ウォーターマークと赤黒い爪がカッコよかった彼はすっかり緑になってしまっていた……。
本当になぜそこにブラックマーベルだけ置いたのか全く覚えていない。
そんな環境で徒長したブラックマーベルを他の多肉と寄せ植えにすることはできず、今だに彼は養生中である。
なんでそんな所に??隠れて煙草でも吸ってたんか??
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