第10話 ☆勝負の行く末は如何に

〔エリュシア視点〕


 ルーちゃんは優雅に着地を決める。

 その姿はまるで勝利を確信した王者のようだった。

 その凛とした姿に、観客席からどよめきが広がった。


「す、すごい…」「ルミウルフってあんな強かったのか…?」「かっこいい!」「エリュシア様~!」


 エリュシアは胸に手を当て、息を整える。

 …大丈夫、わたくしも強くなった。なれたんだ。


「それもこれも全部ルーちゃん、ヒーちゃんのおかげです。…これでわたくしたちはもっと前に進めますわね!」


『ウォン!』『ぷにゅっ!』


 2匹は嬉しそうに鳴いてくれる。

 わたくしも嬉しくなり笑みを返します。


「そこまで!勝者、エリュシア・キューレ・フォン・アルトリア!」


 審判のマッシ先生が手を挙げて宣言する。

 その瞬間、歓声が一気に爆発した。


「参りました…。完敗です。とてもお強かったです!」


 模擬戦相手からも称賛の言葉をもらいました。


「ありがとうございました!また機会がありましたらよろしくお願い致しますわ!」


「その時は是非お願いします!それでは失礼します!」


 そう言ってこの場を去っていく。それと入れ替わりでマッシ先生が拍手をしながら近づいてくる。


「お見事でしたエリュシア様。素晴らしかったですよ」


「ありがとうございます先生!」


「ところでなんですが、ルミウルフにどういったスキルを覚えさせたのでしょうか?参考まで教えて貰えませんか?」


「はい!いいですよ!えっと…ステータスです。どうぞ」


 マッシ先生のお願いに答える為に、ルーちゃんのステータスをマッシ先生に見せます。


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名前 : ルーちゃん ランク : F(前世はSだった)

Lv.22 Next.3571

種族 : 獣種(前世は神獣種だった)


HP : 268

MP : 135

攻撃力 : 187

防御力 : 157

素早さ : 216

賢さ : 199+8

アクセサリー : なし


所持スキル

真・ルミウルフ : SPスキルポイント100(Max)

海 : SPスキルポイント100(Max)

素早さアップ・初級 : SPスキルポイント 0


所持スキルポイント : 0


特性

負けず嫌い

※死んでしまうほどのダメージを受けても

 HPが1残ることがある。

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 ルーちゃん  所持スキル : 真・ルミウルフ

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獲得スキル     必要SP         効果

ギガボルト       5 対象1体に雷属性魔法の大ダメージを与える

オールブレイブ     15 一定のターンの間、味方全体の攻撃力を上げる

オールマジックアップ  30 一定のターンの間、味方全体の賢さを上げる

雷神斬り     45 対象1体に雷属性物理の大ダメージを与える

スパークノヴァ    60 敵全体に雷属性の特大ダメージを与える

自動HP回復    85 行動終了時、HPが自動で回復(10%)する

自動MP回復  100 行動終了時、MPが自動で回復(10%)する

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 ルーちゃん  所持スキル :海

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獲得スキル   必要SP         効果

ブルーファング 5 対象1体に水属性物理の中ダメージを与える

メガスプラッシュ 10 対象1体に水属性魔法の中ダメージを与える

ハイヒール     20 対象1体のHPを中回復する

賢さ+8       30 賢さが8上がる

ギガスプラッシュ 50 対象1体に水属性魔法の大ダメージを与える

グランドヒール 70 対象1体のHPを大回復する

オーシャンドライブ 85 敵全体に雷属性の特大ダメージを与える

テラスプラッシュ 100 対象1体に水属性魔法の特大ダメージを与える

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 ルーちゃん  所持スキル : 素早さアップ・初級

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獲得スキル   必要SP         効果

素早さ+5      10 素早さが5上がる

素早さ+5      20 素早さが5上がる

素早さ+5      30 素早さが5上がる

素早さ+5      50 素早さが5上がる

素早さ+10      85 素早さが10上がる

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「…【真・ルミウルフ】!?初めて聞きました!これをどうやって!?」


 マッシ先生が驚きと興奮が入り混じった声を上げます。


「真?」「なんだそのスキル!?」「そんなスキルがあるんだ!」「知らなかった」


 周囲にいた生徒達もざわつき始める。


「えっと…スキルの【ルミウルフ】のスキルポイントを最大まで上げた状態で配合するとなるんです」


「…なるほど、そうだったんですね。よく気が付きましたね」


「いや、あの…そのぉ…」


「うん?どうかなさいましたか?」


「…実は、わたくしも知らなかったんです。教えてもらうまではですけど」


「教えてもらうまで?誰に教わったんですか?」


「はい、ヒスイ君に相談したら教えてくれました。育成も実はヒスイ君に手伝ってくれたんです」


 すると周りにいた方たちが一斉にヒスイ君のことを見ます。見られているヒスイ君は居心地悪そうに、でもちょっと嬉しそうに照れてますね。


「なるほど、彼にですか。ふむ…」


 マッシ先生は顎に手を当て頷く。


「確かに彼ならば、正しい育成方法を教え、導いてくれでしょう。ですが、その成果を出したのは、あなた様自身の努力の賜物です」


「そ、その…恐縮ですわ。でも、やっぱりヒスイ君のおかげだと思っていますわ」


 わたくしは笑顔でそう答えます。

 ヒスイ君と育成した日々を思い出します。

 一緒に≪海辺地帯≫を攻略した日や、≪メタル地帯≫に初めて行った日に、そして…配合を終えて今のルーちゃんになった日々を。


そんな日々が、宝物のように胸の中に輝いています。


「…エリュシア様」


「はい?なんでしょうか?」


「あなた様とヒスイ君。とても良き組み合わせかもしれませんね」


「えっ…ッ!」


 顔が一瞬で熱くなります。

 周囲の生徒たちも「あの二人仲良いの?」とか「やっぱそういう仲なのか?」とヒソヒソ囁きだしました。


「ち、ちちちちがいますっ!ヒスイ君とそ、そういうのではっ!」


「ふふ、失礼。そういう意味ではありませんよ」


 マッシ先生が苦笑しながら手を振る。


「お互いに補い合える、良い関係という意味です。学びの場において、ね」


「そ、そういう意味だったのですね…」


 エリュシアは胸を押さえて、ほっとする。


「ですがまぁ、ここで満足しちゃ駄目ですよ。頑張ってください。応援してますよ」


「はい!ありがとうございます!」


 拍手と歓声が再び沸き起こり、とても温かい気持ちになります。


「ヒスイ君…わたくし、ちゃんとできましたわ」


 その声は歓声に搔き消されたが、いつかきっと、この思いも込めて届けて見せます。

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