第9話 ☆エリュシア攻める

〔エリュシア視点〕


「舞台は整いました。ここからは攻めの時間です!」


 わたくしは胸を張って宣言します。

 ここからは攻めて攻めて攻めまくります!


「よくわからないけど負けないよ!小熊兵は『風斬り』!ウーパーシスターは『スプラッシュ』!」


 相手のモンスター2匹が一斉に動き出す。

 小熊兵はさっきのとは比にならないほどの風を纏った剣を振りかざし、ウーパーシスターは杖を掲げ、水魔法を放つ。


「ルーちゃん、『雷神斬り』で迎え撃って!ヒーちゃんは『スプラッシュ』で相殺をお願いします!」


『ウォン』


 ルーちゃんルーちゃんが低く唸り、構えた右の前脚に雷光が集束する。

 毛並みが逆立ち、空気全体が震える。


『ウオオオォォォンッ!!』


 バチィィィィィッ!!


 雷と風の斬撃がぶつかり合い、まばゆい閃光が走る。

 互いの攻撃が拮抗し、次の瞬間、風を裂くように雷が勝った。


『グウ~!?』


 小熊兵の剣が弾き飛ばされ、体ごと後方へ吹き飛んだ。

 その瞬間、地面に焦げた跡が走り、バチバチと火花が散る。


「ルーちゃん、ナイスですわっ!」


 わたくしは思わず声を上げる。するとルーちゃんは嬉しかったのか得意げに胸を張って『ウォン!』と鳴いていた。

 その横ではヒーちゃんとウーパーシスターの水魔法がぶつかり合っていた。


『ウパァ!』


 ウーパーシスターは杖を振り下ろし、威力を上げる。

 ですが、ヒーちゃんも負けてはいません!


「ヒーちゃん頑張ってください!」


『ぷにゅっ!』


 エリュシアの応援に答えようと小さな体を震わせ、負けじと威力を上げる。

 ぶつかり合った二つの水魔法が宙で炸裂し、しぶきがキラキラと光を反射した。


「今ですルーちゃん、『オーシャンドライブ』です!」


『ウォンッ!』


 ルーちゃんの全身が青白いオーラを纏い、しなやかな毛並みが波のように揺れ、足元から水の流れが生まれた。

 そう、ルーちゃんは配合元である『ウォルセイバー』のスキルを受け継いでいる。ヒスイ君からの提案でルーちゃんとウォルセイバーを配合させて今の強さに至ります。


「ルーちゃん!突撃です!」


 その声に反応し、ルーちゃんは大地を駆け出す。

 この前のヴォルセイバーのように、水流を自分の体の一部かのように巧みに扱い、敵へと迫っていく。その様は、見るもの全てを魅了するかのよう。その小さな身体が一直線に突き抜けた。


『ウオオオォォォン!!』


 轟音とともに、水流が小熊兵とウーパーシスターを包み込む。

 衝撃波がフィールド全体に広がり、水飛沫が雨のように降り注ぐ。


「やった!決まりましたわ!」


 ルーちゃんは優雅に着地を決める。

 その姿はまるで勝利を確信した王者のよう。

 

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