第42話 桜旗、自治の空に揚がる日

 その封蝋を、見たことがある。


 王都にいた頃、机の端まで積み上がった書類の山の中に、いくつかだけ混ざっていた“本物”の印章。

 侯爵家の紋と、王国の小さな百合の刻印。


 今、それが桜精院一階の、小さな会議室の机の上にある。


「……開けるぞ」


 ユーマは、自分の声が少し掠れているのを自覚しながら言った。


 部屋には、アストとガルド、ミレイ、ノエルがいる。

 外では朝の授業の準備が始まっていて、子どもたちの声や机を引く音がかすかに聞こえてきた。


 ノエルが、おそるおそる頷く。


「記録、取ります……」


 彼は既に、白紙の紙束を用意し、ペン先を整えている。

 財務総務局長として、こういう場に居合わせるのは当然のことだった。


 ユーマは、封蝋にそっと指を当てた。

 赤い蝋が、少しひび割れている。

 ここまで運んでくるあいだに、細かな傷がついたのだろう。


(ここを、越えたら戻れないぞ)


 誰に言われるまでもなく、知っている。


 森と向き合ったときも、六大局を作ったときも、「戻れない線」をいくつも越えてきた。

 だが、これは別格だ。

 “国家”という巨大な背骨に、自分たちの街を結びつける契約書。


 唇を噛み、意を決し、封蝋を割る。


 パキ、と小さな音がした。



 厚手の紙には、端正な字でびっしりと文章が綴られていた。

 侯爵家執務官の名、印。

 そして、その上に――


 《サクラリーヴ特別自治保護都市 暫定承認条項》


 ユーマは、最初の一行だけを読み上げ、そこで一度息を止めた。


「……“特別自治保護都市”?」


 ミレイが首を傾げる。


「直轄都市、とまでは言わないけど、領内の中で“別枠扱い”ってことだろうな」


 アストが腕を組んだまま言う。

 ユーマは続けて、条文を追っていった。


「ええと……『サクラリーヴを、侯爵家の庇護下における特別自治保護都市と認める』」


 条件が箇条書きになっている。


 一、納める税は、製薬・香油・水産品などの売上から三割を上限とし、具体の内訳は年ごとに協議すること。

 二、侯爵家から歩兵一個中隊と魔導士数名を“治安協力隊”として派遣し、森境界と外部街道の防衛を共同で行うこと。

 三、サクラリーヴ内部の都市法・税制・賃金制度については、王国法に反しない限り、自治を認めること。

 四、森緩衝帯および保護林六割については、サクラリーヴ側の管理権を尊重し、無断伐採や徴用を行わないこと。

 五、外部との交易については、王国の関税法に従いつつ、サクラリーヴに一定の裁量を認めること――


 ユーマは、途中から読み上げるのをやめ、自分の目だけで一気に最後まで通した。

 書き慣れた“官僚語”だ。

 ところどころ言い回しは違うが、大筋はわかる。


(……本気だな、侯爵様)


 森での出来事、サクラリーヴの現状、周辺小国家との緊張。

 すべて計算に入れた上での、“保護と利用”のバランス。


 ただ、紙の端の方――細い文字で書かれた一文に、目が止まる。


「『数年以内に人口一千を越え、三年連続で税収が安定した場合、“侯爵領特別自治都市”への格上げを検討する』」


 ユーマが読み上げると、部屋の空気が変わった。


「格上げ?」


 ノエルがペンを落としそうになる。


「ええと……今は“暫定保護都市”、いわば『試験期間』みたいなもので。

 人口と税収が安定したら、『半独立の都市』として認める、という意味だと思う」


「……王国の中にある、ほとんど国みたいな街、ってやつか」


 アストがぼそりと呟く。

 ユーマは頷いた。


「ただし、それには条件がある。

 “勝手に他国と同盟を結ばないこと”、“軍を持ちすぎないこと”、それから――」


 彼は、最後の一文を改めて読む。


「『王命または侯爵命に反する反乱の拠点とならぬよう、サクラリーヴ自身が自らを律すること』」


 ガルドが低く唸る。


「要するに……“お前らを信じて任せるが、裏切るなよ”ってことだな」

「はい。非常に、わかりやすくまとめると、そういうことです」


 ユーマは苦笑した。


 書類の端には、使者の名と、侯爵家印章が二つ。

 それはつまり、“本気の提案”だ。


「……どうする、ユーマ」


 アストの問いに、ユーマはすぐには答えられなかった。


 机の上の紙束を、ゆっくりと指でなぞる。


(ここで断れば、どうなる?)


 侯爵家は、別の形でこの街を取り込むだろう。

 それが乱暴な形になるのか、時間をかけた締め付けになるのかはわからない。

 だが少なくとも、“今のような曖昧な自由”は続かない。


(受ければ、“庇護”と引き換えに“枠”の中に入る)


 税三割は、きついが払えない数字ではない。

 治安協力隊の駐屯も、上手く回せば抑止力になる。


(問題は、俺たちの“ゆっくり生きる”って目標と、どこまで噛み合うかだ)


 ユーマは、深く息を吸い、吐いた。


「……一人で決める話じゃない」


 彼は顔を上げた。


「市政議会を開こう。

 六大局と各地区代表、職人代表。

 ――この街の“頭”を全部揃えて、ここで決める」


 ノエルが頷き、アストが短く「了解」と答える。

 ミレイは地図を胸に抱え、少しだけ笑った。


「いいわね。村の頃だったら、こんな話、夢物語だったのに」


「夢から覚めるか、掴みにいくか、今日決めよう」


 ユーマは書類を丁寧に畳み直し、封筒に戻した。



 その日の午後、桜精院の大講義室は、またもや“別の顔”をしていた。


 馬蹄形の机。

 中央には、例の書状。

 壁には、街の全体図と、森緩衝帯、森前地区、水産市場予定地。

 そして、その横に――侯爵家の紋章を写した小さな旗と、サクラリーヴの桜旗。


 前回の第一回市政議会から、まだそう日が経っていない。

 だが、今日の緊張はまるで違った。


「第二回サクラリーヴ市政議会を開始します」


 ユーマの声に、椅子が一斉に鳴る。


 出席者は前回と同じ十五名。

 六大局長に、地区代表、職人代表、民兵代表、老教授。


 ユーマは、机の中央に置かれた書状を、皆に見えるように掲げた。


「侯爵家より、“特別自治保護都市”としての暫定承認案が届きました。

 ……ざっくり言えば、『今のサクラリーヴを“半分独立した街”として扱ってもいい、その代わり条件を守れ』という提案です」


 ざわめきが起こる。

 “半分独立”という言葉に、皆それぞれの想像を膨らませている。


「一つずつ、わかりやすく言い換えます」


 ユーマは黒板に、短く書いていった。


 一、税は三割まで。

 二、兵隊が少し来る。

 三、街の決まりは自分たちで決めていい。

 四、森の六割は、触らせないでいい。

 五、よその国と勝手に組んで喧嘩しないこと。


 職人代表のブランカが、鼻を鳴らした。


「字にすると、案外シンプルだな」

「ええ。“難しく見せているけど、やってほしいことは一つ”という、よくある書き方です」


 ユーマは苦笑した。


「侯爵様としては、うちを“勝手気ままな小国”にはしたくない。

 でも、“便利で強い市場”としては育てたい。

 そのための枠です」


 農家代表のマークが、おそるおそる手を挙げる。


「三割ってのは……今より増えるのか?」

「現状の“実質”から見れば、少し増えます。ただし、森開拓と水産業で税の母数も増えるので、“一人一人の負担”はそこまで変わらないはずです」


 ノエルが補足するように、帳簿板を掲げた。


「現状の税収と見込みを基に試算しました。

 暫定案どおりに進めば、五年以内に『今より一割ほど多く稼げて、その中から三割を税に回す』形になると思われます」


「稼ぎが増えるなら、税も増える……まぁ当たり前っちゃ当たり前か」


 舟持ち代表のカインが頷く。


 別の地区代表が、眉をひそめた。


「兵隊が来るってのは、どうなんだ。

 よその鎧着た奴らに街を歩き回られるのは、あまり気持ちよくねえ」


 アストが静かに口を開いた。


「治安防衛局としては、“悪くない話”だと見ている」


「……そうなのか?」


「森境界と外部街道の防衛を、一部任せられる。

 うちの桜盾と民兵は、“街の中”を守るのに集中できる。


 それに、兵隊は『侯爵家の目』でもある。

 俺たちのやり方を見てもらえれば、『ここを雑に潰したら損だ』と向こうも思うだろう」


 “潰す”という言葉に、空気が少し重くなった。


 ユーマは、そこをあえてさらりと受け流す。


「続いて、三つ目。“街の決まりは自分たちで決めていい”という点ですが――」


 老教授シグムントが、静かに頷いた。


「それはつまり、“この議会が無駄にならない”ということだな」


「はい。王国法に反しない限り、六大局と市政議会で決めたことは“都市法”として認められます」


「……反しない限り、ってのが曲者だがな」


 露店組合のマリルが、肩をすくめた。


「でもまあ、“全部王都の都合”で決められるよりは、よほどマシだ」


「四つ目。森の六割の保護林について」


 エシルが立ち上がる。


「ここが一番、私たちが譲れなかった部分です。

 森の主との約束を破れば、森はきっと黙っていません。

 それだけは、どんなに“おいしい話”を持ってこられても、変えられない」


 彼女の言葉に、森編を経験した者たちは無言で頷いた。

 森の沈黙、白い息、主との対話。

 あれを忘れられる者はいない。


「侯爵家は、『森の六割に手をつけない』ことを、文書で約束しました。

 これは、私たちにとっても、向こうにとっても“縛り”になります」


 最後に、五つ目。


「よその国と勝手に組んで喧嘩しないこと、について」


 ユーマは、少しだけ苦い顔をした。


「正直に言えば、これは相当きつい条件です。

 もし侯爵家が理不尽な要求をしてきたとき、他の領主や他国と組めなくなる可能性がある」


 部屋の空気が少し冷えた。


 アストが、じっとユーマを見る。


「……それを飲むか?」

「飲まなければ、今の曖昧な状態が続きます。

 もしくは、“力ずく”で何かを変えに来るかもしれない」


 ユーマは机の端を指で叩いた。


「俺は、戦争がしたいわけじゃない。

 スローライフって言いながら、血まみれになるのは、ごめんです」


 ミレイが笑い、しかしすぐ真顔に戻る。


「じゃあ、どうするの?」


「“ここまでなら”飲む、という線を、今決めます」


 ユーマは、黒板に一本、太い線を引いた。


「侯爵家と王国と、この街。

 ――その三つのあいだに、“壊れないための約束”を一本引く」



 議論は、夕方近くまで続いた。


 税の具体的な配分。

 駐屯隊の宿舎の位置。

 桜盾との共同訓練の有無。

 森境界班と王国魔導士の役割分担。


 時に笑いが起き、時に黙り込んで考え込む。


 かつての“村の寄り合い”とは、もう別物だった。

 だが、根っこにあるのは同じだ。

 “自分たちの明日の飯”と、“自分たちの明日の命”の話。


 最後に、ユーマは椅子から立ち上がった。


「……まとめます」


 黒板には、議論の末に残った短い文だけが並んでいた。


 一、侯爵家の特別自治保護都市案を受け入れる。

 二、ただし、森の六割保護と六大局・市政議会の自治権は譲らない。

 三、駐屯隊は“治安協力隊”として扱い、街の内部決定への介入は認めない。

 四、この合意を破るときは、“街の総意”が必要。


「これが、サクラリーヴとしての答えです」


 ユーマは一枚の紙を掲げた。

 そこには、簡潔な文と、サクラリーヴの紋章。


 桜の枝。

 森と水路を象った二本の線。

 そして、六つの小さな点――六大局。


「この文書に、市政議会の名で署名し、侯爵家に返答します」


 彼は、最後の問いを投げかけた。


「……賛成の方」


 机の上の木札が、一斉にひっくり返る。

 赤、赤、赤。


 白は、一枚だけ。

 老教授シグムントだった。


 皆の視線が集まる。


「反対、というより“保留”じゃな」


 老人は苦笑して、木札を指先で弄んだ。


「わしはもう長くはない。先のことは若い者に任せる。

 ただ、“王家”というものの怖さを少し知っておるだけじゃよ」


 彼は、ゆっくりと木札を回して赤を上にした。


「――それでも、おぬしらがそこまで考えて選ぶのなら、文句は言わん」


 静かな拍手が起きた。

 それは、“議会の決定”に対する合図でもあった。



 日が傾き始めた頃、桜精院の玄関前には、簡素だが立派な机と椅子が据えられていた。


 侯爵家の使者が、再び訪れている。

 淡い色の礼服に身を包んだ中年の男――前回、森の話を聞き、六大局制に驚いていた男だ。


「――それでは、確認させていただきます」


 使者は、ユーマから受け取った返書をゆっくりと読み上げる。


「『サクラリーヴは、侯爵家の提案する特別自治保護都市案を受け入れる。

 森六割の保護と都市自治権を前提とし、治安協力隊の常駐を認める。

 ただし、街の内部決定への直接介入は認めず、王命・侯爵命との矛盾が生じた場合は、市政議会にて協議の上、街としての態度を決定する』」


 使者は、そこで顔を上げた。


「……ずいぶん、はっきりと書かれましたな」


「曖昧にしておくと、後で“そんなつもりでは”が増えますから」


 ユーマは、肩をすくめる。


「私たちは、“喧嘩を売りたい”わけではありません。

 ただ、“潰されないためにどう線を引くか”は、最初に決めておきたい」


 使者は、しばしユーマを見つめていた。

 やがて、ふっと笑う。


「侯爵様が、気に入られるわけだ」


「……それは光栄です」


「では――」


 使者は、一歩下がり、声を張った。


「サクラリーヴと侯爵家との間の“特別自治保護都市暫定協定”を、正式に締結といたします」


 彼は自らの書状に署名し、侯爵家の小さな印章を押した。


 ユーマも、準備しておいたサクラリーヴの印章を取り出す。

 桜の紋と、水と森を象った線。

 それを、返書と協定書に、しっかりと押した。


 その瞬間、広場から小さな歓声が上がった。


 鍛冶屋、パン屋、漁師、農家、母親、子どもたち。

 皆が、桜精院の前の様子を遠巻きに見守っていたのだ。


 アストが、一歩前に出る。

 ミレイ、エシル、リナ、ノエル、ガルドも、ユーマの両側に並んだ。


「――サクラリーヴは」


 ユーマは、広場に向かって声を上げた。


「今日から、“侯爵領の中の特別自治保護都市”になりました!」


 歓声が、今度ははっきりと広がった。


 全部を理解している人は少ないだろう。

 “特別自治”がどういう意味を持つか、税や政治の話まで咀嚼できている人は、更に少ない。


 それでも。


「うちの街が、認められたんだ!」


 そんな声が、あちこちから上がった。

 村と呼ばれていた頃には、決して聞こえなかった言葉。


 ベレッタが、粉だらけの手を掲げる。


「明日の朝は、パンを少しだけ安くするよ!

 “特別自治都市になった記念”だ!」


 子どもたちが笑い、拍手が巻き起こる。

 水路のほうからは、舟の底を叩く音が聞こえてきた。

 桜盾の誰かが、訓練場から聞きつけて笛を鳴らしている。


 ユーマは、胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。


(……ここまで来たんだな)



 夕暮れ。


 桜精院の屋上から見下ろす街は、もう“村”には見えなかった。


 水路に沿って並ぶ家々。

 工房からは煙が上がり、魚市場予定地では杭打ちが進んでいる。

 森前地区には、最初の小さな家の骨組みが姿を見せ始めていた。


 その向こうには、濃い森の影。

 保護林六割を示す桜と灯が、かすかに光っている。


「……終わったな、第一章」


 背後から聞こえた声に、ユーマは振り向いた。


 アストだ。

 外套を肩にかけ、いつものように静かな目で街を見下ろしている。


「森と喧嘩して、森と話して。

 街の形を変えて、人を増やして。

 ――やっとここまで来た」


「“森編が長すぎた”とか言ってた奴がいたな」


 アストが苦笑する。


「いたね、ついさっきまで胸の中で文句言ってた」


 ユーマも笑った。


「でも、あれがなかったら六大局も、市政議会も、今日の協定も、全部なかった。

 森が沈黙しなかったら、俺はここまで本気で考えなかったと思う」


 アストは、しばし黙っていた。

 やがて、ぽつりと言う。


「お前は、“ゆっくり生きたい”って言いながら、ずっと走ってる」

「性分だからね」

「倒れるなよ」


「努力します」


 二人のあいだに、風が吹き抜ける。

 森の方から、少し冷たい風。

 街の方から、パンと煮込みの匂いを運ぶ温かい風。


 それが屋上で混ざり合い、夜の匂いになっていく。


「これからどうする」


 アストの問いに、ユーマは夜空を見上げた。


「外との道を整える。

 港をちゃんと作って、他の街と物をやり取りできるようにする。

 ……それから、“うちのやり方”を真似しようとするやつらが出てくる」


「真似されるのは、悪いことじゃない」


「うん。でも、その中にはきっと、“利用しようとする”やつらも混ざる」


 ユーマは、自分の手のひらを見る。


「森と違って、人間相手の交渉は、もっと面倒だよ」


「だから、六大局を作ったんだろう」


 アストは、短く言う。


「お前ひとりで全部やるな。

 俺もいるし、ガルドもミレイもエシルもリナもノエルも――それから、この街の連中もいる」


「……知ってる。知ってるよ」


 それでも、とユーマは心の中で続けた。


(それでも、きっと俺は、また走るんだろう)


 ゆっくり生きるために。

 誰も死なないように。

 子どもたちが、「明日の授業、何かな」と笑って寝られるように。


「次の議題は、『外部交易と独立都市の可能性』だ」


 ユーマは、自分に言い聞かせるように呟いた。


「この街が、“侯爵領の端っこの村”から、“王国の中の一つの柱”になるかどうか。

 ――それを、ゆっくり確かめていく」


「ゆっくり、な」


「できるだけ、ね」


 二人は笑った。


 森は、静かにそこにある。

 もう、あの日のような重い沈黙ではない。

 代わりに、“見ている”気配がある。


「見てろよ」


 ユーマは、森に向かって小さく呟いた。


「こっちはこっちで、“スローライフ”ってやつをちゃんとやるから」


 水路から、舟の底を叩く音が聞こえた。

 広場からは、子どもたちの笑い声。

 鍛冶場の槌音、診療院の戸の開け閉め、どこかの家の夕餉の鍋のぐつぐつという音。


 それら全部が混ざり合って、“サクラリーヴの夜”になっていく。


 第一章――森と街のはざまで揺れた日々は、ここでひとまず幕を閉じる。


 だが、街の暮らしは続く。

 森も生きている。

 王国も動いている。


 スローライフは、何もしないことじゃない。

 壊れないように、何度でも組み直すことだ。


 ユーマは、桜精院の屋上から、ゆっくりと階段を降りていった。

 明日の授業の準備と、次の議会の議題が、もう頭の中で並び始めている。


 ――サクラリーヴ第一章 完。

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