魔道書シリーズ外伝の巻

魔道書外伝1 夜の召喚

夜になると、誰かを見下したくなる。 これは何のせいなのか分からないが、不意に心が傷つくと、そこから黒い感情が溢れてくる。これは、上から見下す黒い意地という名の愉快。


そして、何故か黒い笑いが溢れる。

急にもどってきた。これがないと僕ではない。やっぱり切り捨てることなんてできないな。

最近は無意識に手放していて、忘れていたが。


そしてよみがえる、夜にいつも聞こえるあの声。

『フフフ、あなたの思い通りにはならないよ』


いつも見ていた、丘から見える高層ビル群。 恨んでいるわけではないが、きっと世間の思惑に溺れたくないという覚悟から、あの声が聞こえていたのだろう。でも、この言葉で救われていたのは事実だ。


「こんなに、心が荒(すさ)んでいるのに、どうして人への対応がこんなに穏やかになるのかか 分からないな」


『それは、他の人には見せてない闇の部分がある からだよ。陰と陽があるから人間として奥深くなるんだ。』


確かに、夜にんで歩くことが好きになっていた。 色が少なくなり、五感のすべてを感じることができる。 今の時期だと、金木犀の甘い香り、鈴虫のリンリン と鳴く音、そして心地よい風の感触。全て光が良いというわけじゃないことを知り始めている。


「それもそうだね。感情を殺すことはあまりよくないし。」


『でも、前はそうだったんだろ。感情を殺して生きてた。 それか正解だと思ってたんだろ』


「・・・正解だとは思ってなかったけど、そうでもしないと 保っていらなかったから。」


自分の中には心の刃がある。それはやすやすと人の心を傷つけ、見せつけると大半嫌われる。しかし、気ををつけないとすぐに出てしまう。封印するために感情を殺していたのだ。


今は、出さないように丁寧に丁寧に隠してある。ある人が言っていたように人の6倍謙虚にするように気をつける。 まぁ、よっぽどのことがない限りおこることはないだろうけど。


いつの間にか神社に来ていた。

参拝を済ませ、なんとなく、神社の廊下に座った。 夜の神社に座って感じるのはちょっとした罪悪感と心地よさ。


「でも、そんな過去の自分も、今の自分も好きだよ」


『そうだな、無駄なことなんて何一つないんだからな』


「1つ1つのことが自分の力になっている。そして、自分の力にする。それが自分だけの人生なんだと思う。」

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