第28話 乃彩の嫉妬
「私が掛けた電話を断りもなく切るなんていい度胸ね? もしかして私のことをバカにしてるのかな?」
「いえ、とんでもないです」
家に帰り、部屋に戻った僕は正座をしていた。
なんだか、少し前も似たような事をした覚えがあるけど乃彩は怒ると家まで押しかけてきてこうやって説教をしてくるのだ。
教員なのに、僕の間では相変わらず子供っぽい一面が抜けない。
それがまた可愛いんだけど、そんなことを本人に言ったら火に油を注ぐようなものなので口を噤んでおくことにする。
「それで、私の電話をすぐに切るってことはさぞかし大事な用事だったんでしょうね? 何をしていたのか教えてもらいましょうか」
「えっと、凜々花と映画館に行ってたんだ」
「え? ちょっ、え? 凜々花ってもしかして天月さんの事?」
「まあ、そうだな」
乃彩はなぜか顔を引きつらせて、口をあんぐりとあけて驚いていた。
どうしてそんなに驚いてるんだ?
いや、僕が凜々花みたいな最強ギャルと一緒に映画館に行っていたって言うのは確かに他の人からしたら驚愕的な事なのかもしれない。
「二人ってそんなに仲良くなかったでしょ? なんで二人っきりで映画なんか言ってるのよ!」
「いや、この前ちょっとした罰ゲームをかけた勝負をしてな。負けた方が勝ったほうのいう事をなんでも聞くってやつでそれに負けた僕は今日一日凜々花とデートしてたってわけ」
事情を乃彩に話すと乃彩はなんだか複雑そうな顔をしていた。
なんでそんなに嫌な顔をしているのだろうか?
流石に乃彩の考えていることは僕にはわからない。
「へぇ~それであんなに可愛い子とデートしてたから私の電話なんかどうでもよかったって事?」
「そういうわけじゃないって。映画の時間が迫ってたし、一人にしてたら怒られそうだったからな。罰ゲームである以上しっかりと一日はデートを楽しませないといけないと思っていたからな」
「二人は付き合ってるの?」
「話聞いてたのか? 罰ゲームだって言ってるだろ? 今の所僕は誰かと付き合う気はないぞ?」
まだまだ対人関係に関しては僕は未熟だ。
そんな僕が誰かと付き合ってうまくやっていけるとは考えづらい。
変に失敗するのが関の山だ。
「むぅ~そういう事ならいいんだけどね。でも、龍斗は天月さんのことを好きにならないの? あんなに可愛い子に言い寄られたら普通はコロッと惚れちゃうもんじゃないの?」
「どうだろうな? 自分で言うのもなんだけど僕は普通の男子高校生とは生きてきた環境が違うしな。好きになって失うのが怖いのかもしれない」
心菜のことはしっかりと振り切れたと思う。
でも、それはそれとして振られたりするのが怖いって言うのもあるのかもな。
「ああ~確かにそう言うのもあるのか。龍斗的には天月さんの事をどう思ってるの?」
「別に普通だな。僕は容姿で誰かのことを好きになることはあんまりないと思うし」
「龍斗って内面を重視する人なんだ」
「だって、どれだけ顔がよくても性格が良く無かったら一緒に居ても楽しくはないだろう」
僕は一緒に居て楽しいと思える人が好きだ。
どれだけ顔が良くても、一緒にいて楽しくないのならそれは苦痛でしかないのだろう。
「それもそうだね。ま、そういう事ならもう怒らないけどさ。それよりも温泉旅行の話なんだけど場所とかは決まったからメッセージで送っとくね」
「ありがとう。移動は電車か?」
「いんや? 私の車で三人で行くよ。ちゃんと準備しておいてよね」
「わかった。いつも運転してもらって悪いな」
「別に気にしなくていいよ。私もすっごく楽しみだからね!」
乃彩はとびっきりの笑顔を見せてそう言った。
最近乃彩は忙しそうにしてたから、温泉旅行で休んでほしいものだ。
そのために僕ができることならなんだってしよう。
僕はそう決心して来週末を心待ちにするのだった。
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