第14話 静の人間に対する疑問
雨の日、静は憂鬱だった。啓介の事、琴音の専属天使の事、他のみんなとの接し方等に気を使っていること。様々だ。静は100年生きてるが天界で誕生して、啓介が小さい時に人間界の様子を見たいという理由で、啓介が住んでる街の祭りに一度だけ、人間界に行った。
静は天界とは全然違った世界に感激した。しかし、天使のように魔法の力等はない。そこは不便だと思う。そして、人間達は祭りを楽しむ一方、啓介が迷子になってる姿を見て、誰も助けない。静は意外と真面目な性格なので、静はそこで、啓介を見兼ねて、迷子から助けた。
「人間とは、己の事しか考えないのか?」
と人間の冷たい面に残念な気持ちでいっぱいだ。
天使は常に神々の教えによって、人間界で手助けをする役目を持っている。もちろん、人間だって、優しい人はちゃんと人間を助けたりもするが、人間の歴史を見ると、お互いに戦争を仕掛けて、戦ったりして、そこでの、矛盾が理解できなかった。
私利私欲の為の者、逆に人の為に何でもする者等、あまりにばらつきがあるため、天界から見て、人間を理解できなかった。
そして、この前の啓介の事を聞いて、暦達に酷い事をする子供の事を知り、より人間が理解ができなくなった。
そこで、
「啓兄、何故人間は争いあったり、助け合ったり、バラバラなんだ?」
と啓介に聞いた。そして、啓介は
「人間の育ち方にもよるとは思うけど、人間は善と悪は常に存在するとは思う。俺の視点から言うと、全員、善だったら、天使や神様なんて、いらないからね。だから、静は地上に降りて来たんだろ?」
と言った。確かに全員が善な者なら、私達はいらないと思った。
「あまり、哲学的な事は言えないけど、そういう多種多様なのが、人間じゃあないかな?そうじゃないと、天使や神様なんて考えないし、いらないと思うよ。俺もあまり深くは考えないけどね。」
と啓介が言い、何となく分かる。と静は思った。
雨は憂鬱にする時もあるが、土を潤す為には必要なものだ。そういう自然的なものの考え方が、人間なのかなぁと自分自身で自己完結をした。そうしないと答えが出ないと思ったからだ。
しかし、次の日は晴れ、またみんなで登校して、帰って、夜に啓介の美味しいご飯を食べて、気分が良くなるお調子者の天使の静だった。
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