第15話 飯塚が恋をした。

 飯塚は出門さんが好きだと急に俺に言って来た。無理もない、裏の顔がありそうだが、かなり美人だ。しかし、彼女は魔王の娘である。飯塚はそれを知らない。友人としては、応援したいが、本当に良いのであろうか?静に聞いてみた。


 「学校の仲良い飯塚が、出門さんに恋をしたんだけど、構わないかな?」


 「啓兄、それは私としては、今のところは大丈夫と思ってるのだが、琴音姉様に聞いてみないと分からないなー。」


 「魔王の娘って、飯塚もにわかには信じられないだろうな。」


 「琴音姉様に聞いてみよう。」


 と言って、飯塚の事を琴音に連絡して、聞いてみた。


 「まぁ、今のところは危害がないから、大丈夫だとは思うけど、出門さんが飯塚君の事をどう思ってるかだよね~。そして、魔王の娘と分かっても大丈夫なのかなー?」


 「付き合っても大丈夫だということか?」

 

 「まぁ、結局は本人次第だけど、変に噂が広まったら、困るから、私達が記憶は操作はするかもしれないけど、それで良いのならそうする。」


 と言われたので、一応はオッケーをもらった。しかし、俺には全然、恋愛は経験がないので、分からない。だが、そこは八ヶ岳さんに聞いて見よう。そして、琴音との連絡を切り、八ヶ岳さんに連絡してみた。


 「もしもし、八ヶ岳さん?相談したい事があるのだけど、、、」


 「どうかした?雨塚君。」


 「もし、友人が好きな人が居て、仮に人間の姿をした魔族だとしたら、八ヶ岳さんはどうする?」


 そんな突拍子もない質問をしたが、八ヶ岳さんは冷静に答えてくれた。


 「ショックは受けるだろうけど、私なら、変な事にならなければ、それで良いかな?」


 「それは付き合っても大丈夫って事?」


 「その人が受け入れる覚悟あるなら、良いんじゃないかな?」


 と言われた。覚悟か、、、どう説明しようか、迷ったがとりあえず、八ヶ岳さんの意見もちゃんと聞けた。


 「ごめんね。八ヶ岳さん、、、」


 「いえいえ、私もそういう経験が無いから、上手くアドバイスはできないけど、私個人の意見はそんな感じだよ。」


 「ありがとう。詳しい事はまた今度話すから!」


 「役に立てたかは分からないけど、分かった。」


 「また、明日ね。」


 「うん。また明日ね。」


 と言って、電話を切った。

 

 そして、静にも話をした。


 「まぁ、とりあえずは付き合っても大丈夫そうだけど、その場合は記憶をいじるらしい。」


 「啓兄、多分、飯塚って奴はそもそもにフラレる可能性は高いと思うぞ。何故かと言うと、多分、出門は茜姉ちゃんの事が好きだ。それは話の飛躍しすぎかもしれんが、男に興味ないのかもしれないし、そもそも、人間に興味ないかもしれん。」


 と言われ、ビックリした言葉を聞いた。まさか、出門さんがいろいろあるかもしれないと、、、


 まぁ、言われてみても、他の男子生徒とは話をしていた記憶がない。そもそも、興味がないと言われたら、それはそれで飯塚は傷つくが、そっちの方が飯塚の為かもしれない。


 そして、琴音に静の意見も話をしたら、琴音も出門さんが、男と言うか人間に興味ないのかもしれないと言ったら、そうかもしれないと同じ返答がして来た。

 

 飯塚にはどう言うべきか、、、


 悩んだが、とりあえず、飯塚に告白させて、向こうの反応を見て、行動するしかないかもしれない。


   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る