病気な僕と元気な君

なぎみな

第1話 元気な君

何も無い病室

窓の近くにはデュランタの花

そして何もしていない僕


ノックが聞こえ看護師が入ってくる

「翼さーん入りますよー」


僕の病院では定期的に看護師が変わる

何故かは知らないけど別に僕にはどうでもいい。


「おはようございます翼さん今日も体温と点滴しましょうか」


「うん」

素っ気ない態度で返事をしても

看護師は慣れた手つきで体温計を渡してくる

「体温計どうぞ今日の朝ご飯はたべれました?」


「あまり」


「…なるほど…腕見させてもらいます」


「左にしましょうか少しチクッとしますよ」

彼女はメモをして点滴を慣れた手つきで針を刺す

僕は何も思わずただボーッと時が過ぎるのを待っていた。


「はい点滴が終わるまで動かさないでくださいね体温計の方は何℃でしたか?」


「…351℃」

メモを取りながら看護師の人は微笑み

「わかりました気持ち悪くなったりしんどくなったり何かあったらナースコール押してください」


「うん」と返事をする


「ではまた昼に来ますね」といい看護師は帰っていった。


(何もすることないな、

ずっと、1人なのかな…?)


僕は病院で過ごしている

昔から病気があり、よく病院に通院したり退院したりの繰り返しをしていた

だけど病気が悪化し、入院をすることになり

早3年はこの状態だ


そう思いながら本をめくっているとノックが聞こえてきてドアの開く音が聞こえてくる


「誰ですか…?」と言うと

走る音が聞こえて


{お母さん!!!}と知らない男の子が入ってきた


???戸惑っている僕を見て男の子も驚き


{え?}と言っていた


「え?」僕も返すように言うと


{お母さんは!?}と男の子は大きな声で驚いていた


「いや、ここ…506です。」と戸惑いながら言うと男の子は納得したように


{へ?…あっ上の階か!}と理解していた


「えっ?あ、はい…」僕はまだ戸惑ったまま(気まずい、早く帰らないかな)と心の中で思っていると


{ねぇねぇ}と声をかけてきた


「?」


{なんでここにいるの?どこか悪いの?}


「そうですね。」と答えた僕の顔を見て男の子はこう言った


{…そっか辛い?}


何を言っているんだと心の中で思いながら「まぁ…」と答える


{誰も来ないの?}


「来るわけないよ…」


{…………}沈黙した後急に思い出したかのように声を大きくして質問してくる


{名前は!?}


「え?」と困惑していると彼は立て続けに聞いてくる


{きみの!名前!!!}


「えっと…翼」


{翼…よろしくね!}


「えっ?うん。よろしく…?」


なぜ名前を聞いたんだろう、これから会うこともないのにと思いながらまた気まずい空気になり、どうしようかと悩んでいると男の子のお父さんが男の子を呼んでいた


〈おーい!!!!!!れおんー!!!〉


{あっ、お父さんが呼んでる!行ってくるね!翼!また明日話そ!}と笑顔でこちらを見て僕は戸惑いながら

「えっ?うん…」と答える


{またね!}といい男の子は走ってお父さんの所へ行く

遠くなる背中を見て僕は「また…」と言葉が漏れていた。

僕は驚いて自分の口を塞いでしまうと

遠くで{おとうさーーーん!!}と聞こえる。お父さんと会えたのだろうと思いながら

「なんだったんだろう…」と不思議に思えて仕方がなかった。

また話そうと言われたのは初めてで困惑していたままだった。


「…れおん…かっこいい名前…」

「久しぶりに看護師と医者以外の人が来たな……ちょっと嬉しいかも…」

内心嬉しくなってることに不思議に感じながらも、外を見て微笑む

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