バイト先の後③

ん…寝てたか…

そういえば、あっちゃんと飲んでて…このパターンは…


僕は身体を確認する。


よかった…ちゃんと布団で寝てるってことは…


横を見る。

あっちゃんが隣で寝てる。


「なっ!」


僕は思わず布団から飛び出した。

この歳で、こんな反応も情けないが、びっくりするもんはびっくりする。


「ん~おはよう…」


あっちゃんは僕のTシャツを着てる。

いつの間に…


「なんで一緒に寝てるの!?」


「ベッド譲ってもらったんだけど、さみしくて…」


「な、な…」


「昨日のこと、覚えてないの~?♡」


「えっ…」


「うそうそ、冗談!ビジン、めちゃくちゃ寝てたよ!」


あっちゃんはクスクスと笑った。


「そっか…」


「そんな『よかった』みたいな顔されたら傷つくんですけど~?」


「あっ、いや、別に…」


自分がどういう感情なのか分からない。


「よかった、というか…その…」


「ん~?」


「そっかって感じ?」


「なにそれ!」


あっちゃんは意地悪な笑みを浮かべた。

最近よくこの表情見るな…


「あっちゃんって僕をよくからかうよね?」


「からかってはいないよ~?でもビジンの困った顔を見るの好きなんだもん!かわいいし」


「成人男性にかわいいとか言わないでよ…」


「成人男性が女の子と寝て、なにもしないの~?」


「成人男性だからこそしないの!」


「まっじめ~」


こんな感じでしばらくはダラダラとしゃべり続け、あっちゃんは帰っていったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る