バイト先④

結局、ほのちゃんは僕らが退店する直前まで、裏から出てこなかった。

最後はお見送りをしてくれたが、それもミズキちゃんに引っ張り出されてのことだった。


そして今、僕はあっちゃんと二人で駅まで戻っている。

すると、それまでは他愛のない話をしていたのだが、あっちゃんは突然切り出した。


「飲みに行かない?」


「え…いや…」


どうしよう。

この間3人に『告白』をしたばかりだし、二人きりというのはどうなんだろう…


「なに?もう友達じゃないってこと?」


あっちゃんは意地悪な笑みを浮かべながら、こちらを見ている。


そう言われると、弱い。

たしかに、ここで断ると、それはそれで変…なのか?


「いいから行くよ!」


僕が悩んでいると、あっちゃんに手を引っ張られ、強引に居酒屋へと連れていかれた。


「かんぱ~い!」


乾杯してしまった…

まあ、これまで通り…


僕はあっちゃんにキスされたことを思い出した。

必死に記憶を奥底にしまおうとしているが、どうしても意識してしまう。


…今日、大丈夫かな?

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