バイト先③

注文してから数分後、アイスコーヒーとアイスティーを持ってきてくれたほのちゃんの顔は、まだ真っ赤だった。


すると、ほのちゃんの後ろには、ほのちゃんと同じ位の背丈の、ツインテールの女の子が立っていた。

学生さんかな?可愛らしい子だ。


「あの~もしかして、ビジン先輩さんとあっちゃんさんですか?」


ほのちゃんは後ろからついて来られていたことに気づいていなかったらしく、驚いてその子の方を振り返る。


「え…ミズキちゃん…なんで…」


「初めまして、私、ここでほのさんとバイトしてます、ミズキって言います!」


ミズキちゃんはほのちゃんのことをお構いなしに話し続ける。


「ほのさんからよくお二人の話を聞いてて~…特に『先輩』の~?」


ミズキちゃんはいたずらな笑みを浮かべている。


ほのちゃんの顔は過去最高潮に真っ赤だ。

もう少しで湯気が出るのではないだろうか。


僕とほのちゃんが二人とも、反応に困っていると、あっちゃんが追撃を加えてきた。


「え~?それはそれは~…ほのちゃ~ん?どんな話しているのかな~?」


「ご、ごゆっくりどうぞ!」


ほのちゃんは限界が来たようで、そう言い残すと、スタスタと立ち去ってしまった。


「あれ…少しやりすぎちゃったかな…」


ミズキちゃんは苦笑いをしながら続ける。


「でも、ほのさんからお二人のこと本当によく聞きます。一緒にバンドやられてるんですよね?バンドはじめてからほのさん変わったんですよ。なんか、前より楽しそうで…私が言うのも変ですけど、ありがとうございます!!」


僕は返す。


「いやいや、とんでもないですよ。こちらこそ、ほのちゃんがいつもお世話になってます!」


あっちゃんは続ける。


「ほんとほんと~!これからもほのちゃんのことよろしくね~!」


何だか和やかな雰囲気になって良かった…

と思っていたら、ミズキちゃんが立ち去り際に再びぶっこんできた。


「『先輩』の話をよくしてるのは、本当ですよ♡」


あっちゃんが頬を膨らませて、こちらを見ている。


困った…

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