バイト先②

「来ちゃった!」


戸惑うエプロン姿のほのちゃんにあっちゃんは語りかけた。


「ごめんね驚かせちゃって!サプライズのつもりだったんだけど、ダメだったかな…?」


「いえ、ダメということではないのですが…びっくりしました…」


「もし、迷惑でなければお茶していって良い?」


「はい…もちろんです」


僕とあっちゃんはほのちゃんにより、奥の席へ案内された。

この時間は店も空いているらしい。


「それでは…ご注文お決まりになりましたら…お呼びください…」


ほのちゃんは照れているようだ。

なにせ耳を真っ赤にして、そそくさと立ち去っていった。

それにしても…


「『エプロン姿、かわいいな』とか思ってるんでしょ?」


あっちゃんが両肘をついて、こちらを見ている。

あっちゃんは水色のコートを脱ぎ、白いセーターになっていた。

正直なところ、それに気づかない位、ほのちゃんばっかり見てた…

僕は正直に答える。


「いや…まあ…似合うなって」


「なんか妬ける~!」


あっちゃんはカラカラ笑った。

そういえばテーブルであっちゃんと2人って…あの遊園地のフードコートを思い出す…


そんなことを考えながら、僕は平静を装いつつ、注文を決めた。

あっちゃんがほのちゃんを呼んでくれた。


「はい…ご注文お決まりでしょうか?」


「アイスコーヒーとアイスティーお願いします!それと…」


あれ、あっちゃん何か食べるのかな?


「ビジンがほのちゃんのエプロン姿かわいいって!」


なっ…


今度は耳だけでなく、顔まで真っ赤になったほのちゃんが声を絞り出すように言った。


「へ…?あ、あの…そういう冗談は…こ、困ります…注文…すぐにお持ちしますので…」


そういうとほのちゃんは逃げるように裏へ向かっていった。

僕はあっちゃんを問い詰める。


「ちょっ…どういうつもりだよ!あっちゃん…」


「何か、私もわからない!ライバルの応援なんてしたくなかったんだけど、ちょっとからかってみたくなっちゃった…!」


すると、あっちゃんは舌を出して、笑った。


困った人だ…

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