第2話 最後の夏
年を追うごとに気温は上がって、言われなくても限界だと思った。
太陽の爆発で今年中に世界が終わると、ようやくニュースでも言われるようになったけれど、今更だった。
僕は実家に帰って縁側に大の字になって横になっている。
太陽はかなり大きくなっていた。嫌になるほどみた天井が、もうただ懐かしく見えてくる。
母が、そんな僕を見下ろしてくる。
「そんなところで横になったら暑いでしょう。」
「かあさん、太陽が爆発するなら、こんなの序の口だよ。」
「昔の人は、明日世界が滅びたって、リンゴの木を植えるなんて言ったけれど。」
見上げると、母はおだやかに笑っていた。
「とりあえず、冷えた麦茶飲みたい?」
「飲みたい。」
「なら、立ちなさい。」
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この夏が人類最後の夏だって 麦茶の氷がカランと鳴った
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