第3話 イカれたメンバーを紹介するぜ!

3-1

「新人くんは食べていてもいいから、昨日の任務の結果報告から始めていくわ」

 レディは室内を見渡しながら言った。

「まず、クラッシュと新人くんのお陰で盗聴器とカメラはしっかりとジョンソン会長に取り付けられた。銃撃騒動についてはジョンソン会長を狙ったものではなく、精神を病んだウェイトレスによる暴走ということで警察には話を付けてる。報道もされないわ」

 本当にあの僅かなタイミングでカメラの設置に成功していたのか、と新人はクラッシュの手際に感心した。

「ごたついたお陰でジョンソン会長は着替えたりすることもなく、そのまま取り引き場所へと向かった」

 ヒューゥ、とクラッシュが口笛を吹く。

「やったなあ、大成功じゃないか」

「取り引き場所はここ」

 レディがキーボードを叩き、新人の背後の壁にあるスクリーンに高層ビルが映し出された。

「レキシントンビルの地下三階よ」

 スクリーン上で映像が動き出す。ジョンソン会長に取り付けられたカメラで撮られたものだ。

「まずは入館証に? 金属探知機。ああ……網膜認証か」

 ジョンソン会長の視界を目で追うクラッシュが、現れるセキュリティの数々を呟く。

「そうね。更にセキュリティカード、最後に指紋認証。それでようやく地下三階の隠し部屋に辿り着けるわ。そこには兵器を輸入した取り引き相手が待っている」

 レディが動画を停止した。

「この男よ」

 中東系の、髭面の男。

「『アディール』とジョンソン会長は呼んだわ」

「アディール! あのアディールか!」

 クラッシュが叫んだので新人は驚いて見上げる。

「こいつはラッキーだな。チームも一気に叩けるかもしれない」

「ええ。でも危険度も跳ね上がった」

「新人くんにも分かるように説明しよう。『アディール』ってのは、俺たちが探してたニューヨークに潜むテロ組織のリーダーだ。組織の名前は秘密らしくて一向に分からないから、俺たちは適当に『チーム』とか『例の組織』とかって呼んでる」

「そうなんですね。え、でも証拠なら今この映像に綺麗に映ってるんじゃ。これを公表すればジョンソン会長は逮捕されて任務は完了ですよね? 危険度が跳ね上がるって?」

 わざわざそんな恐ろしい組織と関わりにいかずとも、武器の密売が失敗に終われば世界の平和は守られるはずだ。

「いいや、駄目だな。理由その一。アディールがジョンソン会長の名前を呼んでくれなかったから。会長にカメラを付けたもんだから、会長の視界で取り引き場所のことは分かっても誰がアディールと取り引きしたのかが押さえられてない」

 新人はショックを受けた。確かに映像では一度も名前を呼んでいない。これでは証拠にならない。

「なんて用心深いの」

「俺たちが一向に捕えられない組織のリーダーだからなあ。そして、理由その二。取り引き相手がアディールだったから。たとえこの映像が証拠になってジョンソン会長だけを逮捕できたとしても、その後どうなると思う?」

「アディールはどうにかして他の取り引き相手を探す……今度はより一層目立たないように」

「素晴らしい。大正解だ。それはすなわち、密売阻止の任務失敗も同然。だから、俺たちは手を出したからには追跡していることを中途半端に相手に明かす訳にはいかなくなった。これを逃すとアディールを捕らえる確率が地に落ちちまうからな。どっちも確実に叩くしかない」

 レディが腕を組む。

「絶対に失敗できない。完璧な作戦が要るわ。会長がアディールに代金を支払って武器を得るのは一週間後。ちょっと考えさせて」

「君の作戦は失敗しないさ。任せたぜ。何か追加でほしい情報があるときは言ってくれ」

 クラッシュは腰に手を当てて呑気に笑った。レディは少し口を尖らせる。

「調子が良いんだから」

「本心だ」

 レディはカタカタとコンピュータで作業をはじめた。

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