第20話 遊び人連続殺人事件⑩
その後、鑑識や本多たちがやってきた。
「ほう、死因はまた、右腹を刺されての刺殺か。凶器が近くにないところを見ると自殺じゃないか」
本多がそう文句を言ってきた。
「しかし、小手川さん。これは他に犯人がいるとみていいんですかね」
「まあ、海龍会の人間やスコーピオンズの人間など犯人はいろいろ考えられるな」
そこまで言ったところで、榊原が
「見てください。部屋にテープが、麻薬もたくさんあります」
「ここは、連中の本拠とみていいだろうな」
「小手川さん。いったん画像を確認しましょうか」
「いや、本部で確認しよう。榊原さんたちは目撃証言を取っておいてくれ」
その後、捜査本部で例の画像の確認が行われたのだが、パソコンを開いた大倉が
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。皆さんこれって」
そう、言い出したので捜査一課全員が後ろから覗き込んだ。
そこには多くの女性のピンク画像があった。
「おいおい、これって無修正かよ」
「なんだ。本多あんたそんなまじまじ見て、そんな趣味があったとは」
笑って言う小手川に対し
「そんな事ないですよ。小手川さん」
そう、本多は顔をそらしたが、横目でガン見していることは事実である。
「と、とりあえず。この兵器は他の課に回そう。こんな男どもの巣窟には刺激が強すぎる」
そう、パソコンを閉じながら。USBメモリを抜いてしまった。
「あ、そうそう、この手のは持っているだけで犯罪だから。間違っても保存するなよ」
そう言って、土井橋のいる部屋に報告しに行く小手川の背中を見ながら
「なあ、大倉。あの人って普段クールだけど。こんな弱点があるんだな」
「まあ、未婚で彼女もいないですしね。男の性でしょう。本多さん」
当然、本多への嫌味でもある。
小手川はこれを刑事部長に報告しに行き、参事官のチラ見を阻止し戻ってきた。
その後の捜査会議でこの話題の名言こそ避けられた物の、スコーピオンズで犯罪防止につながったとして、犯人は誰なのかについて議論が交わされた。
「現場の部屋の所有者は誰だった?」
「それが、金野康夫本人です。まあ、名義だけでしょうが」
そう、大倉が報告する。
「そうか、暴力団関係者は部屋が借りにくいからな。名義だけ貸して匿っていたのか」
そう、土井橋がつなげる。
「となると、犯人は金野康夫の関係者ですね。金野の死体には合い鍵がありそれを奪ったかもしれませんし」
「となると、監視カメラの映像を追う必要がありそうだな」
土井橋が今後の方針を決定した。
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