第3話 いざ、対決


 それからリリナは寝癖を直して降りて来た。俺の気も知らないで呑気にあくびをしながら。


「では、早速で悪いんだけど。僕と手合わせを頼みたい」


「え、えぇ。ご期待に添えられるか分かりませんが、精一杯努めさせていただきます」


 とは、言っても万が一にでも怪我をさせてしまえばやばい。俺は自分の身を守りつつ、全力で怪我をさせないようにする。


「言っとくけど。手加減などは必要ないよ。むしろしないでくれ」


「えぇ……嘘だろ」


 んなこと言われても無理だろ。

 相手は王族だぞ?

 どうするか全力で考えなければ。しかし、結局何も思いつかないままで目的地に辿り着いてしまった。


「おぉ、確かにここは凄いね」


「ありがとうございます」


 見渡す限りの草原でちょっとや周りへの影響もそれほど心配がない場所。ここでリリナは良く魔法の練習をしていた。


「じゃあ、そろそろ始めようか。全力かどうかはリリナが判断してくれ」


「うん、任せて!」


 うんうん、ちゃんと返事ができて偉いなぁ。けど、今じゃないぞ、その元気な返事は。


「あー、どうしよう」


 とりあえず、始まる予感がしたので構えだけは取った。

 さて、どうやって負けようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最強の冒険者になった義妹が俺のことを話した件 〜おかげで平和に暮らしていたはずなのに聖女や王女にまで絡まれ始めました〜 クククランダ @kukukuranda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ