第3話 事のあらまし

さて。三日前に起きたことだ。


私の目が覚めると、そこは路地裏だった。

記憶はない。


起きるとなぜか小さい手が目の前にあり、うっかり──うっかり?

錯乱していたのだろうか、気づくと頭をビルの壁に打ちつけていた。

そして治った傷を見てまた発狂。小一時間ほどすると落ち着いたけどね。


薄暗いそこで何とか立ち上がると、途端に銃の炸裂音や建物が破壊される音が聞こえてきた。

すると、途端にビルが崩れ、私に降って来た。そして私は瓦礫に潰されたのだ。


この世のどこに転生した途端に瓦礫に潰される転生者がいるのだろうか???


まあ、大した怪我ではなかったものの腕の骨を折ってしまった。

痛みで泣き叫んでしまった訳だが、銃撃音が止んでいることに気がついた。

腕も治り、気づくと筋骨隆々な男─お世辞にもイケメンとは言えなかったけど。─が道路を歩いていた。


その男がこの状況の原因であることは疑いようがなかった。

なぜなら男は私の目の前で腕を大砲のようなものに変え、ビルをバラバラにぶっ壊したのだから。ちょっとカッコよかったな…


男はその後しばらく暴れていたが、『公安』と名乗る部隊によって鎮圧されていたらしい。私は再び降りかかってきた瓦礫によって気絶していたので覚えていない。


その後その場から逃げ出して住民からこっそり話を聞いていると、その男の異能は『レールガン』だったと言うことがわかった。

…名前負けしてないかな?

かなり凶悪かつ強い能力者ではあったらしいのだが。


そのまま話を聞き続けてわかったことの一つとして公安はこの街『フォート』のの犯罪を防ぐ組織で、職員はみんなエリート様なんだと。だが、外周部となるスラム、『リスク』には手が及ばず、無法地帯になっているんだとか。


まあ、その話を聞きスラムへと向かったわけだ。『フォート』と違って戸籍のない『リスク』なら生きやすいのではないかと思ったから。

――高さ10メートルを超える巨大な塀に囲まれている中心部フォートは高層ビルばかりだった。塀から出るのは簡単だが、入るのは無理そうだ。厳重な管理体制が引かれている。『公安』の軍服を着たやつらが見張りをしていた。―――なぜか、その軍服に既視感があった。

『■■!』

何か、懐かしい声が聞こえた気がした。


気のせいだろうけどね。


そこを出て『リスク』にたどり着く。『リスク』は繁華街のような街だった。まさに眠らない街。治安は悪そうだったが生きてはいけそうだった。


そしてそこらのゴミ捨て場で拾った板に「診療所」と書いて、『異能』を使って商売を始めることにした。ほぼ無法都市だしね。廃ビルも見つけた。

ついでにゴミ捨て場でジーンズ、タートルネックセーター、白衣を見つけたので、着ることにした。白衣はちょっとオーバーサイズだったけど。

私ってば頭がいいな!名前についてだが、前世はあまりよく憶えていないので、『カミラ』にすることにした。なんでだろうね。


と、まあここまでだね。

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