第4話 再会


「何でこうなるの」

 悲しい呟きが街路に消えていく。教えられた住所へ向かったが大吉はいなかった。それどころか住人もいなかったのだ。途方に暮れていたところで、隣に住んでいる住人に食堂へ行ったと教えられた。

 早速向かったがその食堂にも姿はなく、もう会社に帰ってしまったのだ。仕方なく最初に訊ねた場所へ戻ることにした。

 何てことはない。壮大な遠回りをしていたようなものだ。


 朝に訊ねたときと比べ、足取りは遥かに弱々しかった。身体が埋まりそうになるくらい重い。気持ちだけ先走るのは昔から何度もあったが、今回はよりダメージが大きい。

 いくらやる気と情熱があったとしても、こうまで肩透かしをくらえば気持ちは沈む。自分と縁がないのではとすら思えてきた。


(ほんとに会えるのかな)

 深いため息を吐きながら地面を見つめ、あの日のことを思い出す。

 自分の声を聞いてくれた人。自分を助けてくれた人。そんな人と共に戦いたい。こんな気持ちは冒険者になって初めてなのだ。運命のようなものを感じていた。



「危ねぇ!」


 大声と共に耳を劈くような金切り音が耳を打つ。


 咄嗟に顔を上げると、巨大な物体が目の前に飛び込んできた。声にならない声をあげ、その場にへたり込むと、鼻先を何かが掠った。

 何が起きたか理解できない。

 心臓が爆発するくらい動いており、頭の中が真っ白になっている。痛みがないところをみると、何とかぶつからずにすんだようだ。


 それは奇妙な乗り物だった。

 車輪が前後に付いており、皮のようなもので覆われている。焦げたような臭いがするが、車輪が地面を擦ったのだろう。自分の鼻を掠めたのもあの部分だ。

 乗り物には小さな椅子が備えられ、手を乗せる台が左右に細く伸びている。姿勢は乗馬に近いが、馬よりも遥かに小さい。手押し車や馬車とも言えなかった。


「ととっ、いきなり飛び出してくるなよ。前見ないと危ないだろ」

 だが、何よりも驚いたのはそれに乗っている男だ。

 忘れるはずもない。あの日からずっと会いたいと思っていた人物。ずっと捜し求めていた人。


「おい、大丈夫か? 怪我してないよな?」

 乗り物から降りて、こちらの様子を確かめる。興奮のあまり上手く喋れない自分を心配しているのだ。



「あ、会えたぁ!」


 湧き上がるものが口から零れ、金切り音に負けないくらいの大声をあげた。

 花山大吉がそこにいたのだ。

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