第19話――文太郎は…ウザい

「じゃあ悪い知らせから…」

 私が恐る恐るそう言うと、巫女さんは深呼吸してから口を開いた。


「黒猫が…入ってきちゃったの、学校に」


「…」

「…」

 それだけ?

巫女さんは「今日人が殺されたの」とでも言うような口調でそう言ったが…。


「えっ…猫?」

 猫が学校内に入るなんてことは珍しくないはず。田舎だし、よくあることだろう。小学生校では猿なんか入ってたし…。

「じゃあいい知らせってのは?なんなんだぁ」

「それは、昨日霊ちゃんが飛んでいた事ですわ。

皆さん、霊ちゃんの事が気になって気になって…あなたはもう、有名人です。

そういえば、学校新聞にも載ってましたよ

ほらっ…」

 巫女さんは、私に学校新聞を見せてくれた。

っていうか…そっちがいい知らせなの!?

どっちかって言うと逆だろ!まぁいいや…。


確かに新聞には…嫌になるほどはっきりと、飛んでいる私が写っていた。

 しかも…私が宇宙人だとか幽霊だとかまで書かれている。

 文太郎…お前ぇ!



「おっ、未確認飛行生物の米畑さんじゃないですか」

 中度いいところに、来やがったな…文太郎!

「あの、なんでこんなデタラメ!やめてください!」

「あぁ…デタラメっていうか、飛んでるところ見ちゃったんで。何人か見てた人いたみたいですし…

あっ、そうそう…あのオカルト的な記事を持ってきてほしいって言ってたけど…あれ、

いらないから」

 はぁ?と私は思わず言ってしまった。こいつの顔面をぶん殴りたくなってくる。


「昨日のあなただけで十分にまかなえますし…いらないかなって」

 にこやかに文太郎はそう言った。

本当にぶん殴りたい…からかっているのかコイツは…。

 そう私が腹を立てているとだ。

「あの。霊ちゃんに近づかないでもらえます?」

「消え失せろ」

 巫女さんと花が、文太郎を圧迫させる。目の圧でな。

花に関しては、見えないことをいいことに、スネや顔にかる~く、ビンタやケリを入れていた。

「す、すいません…でした…」

 文太郎はそのまま、尻尾を巻いて逃げていった。

「これで大丈夫ですわね!」

「あぁ…私の〝飼い主〟に手ぇ出したら、ただじゃおかねえぜ」

 2人は満足げにそう言っていた。ちょっとスッキリしたし、正直言って嬉しいけど…

〝飼い主〟って?

私は花の飼い主ってことなの?じゃあ花はぺ、ペット?



 そんな疑問を持ちながら…一番嫌いな英語の授業を受けた。

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