第20話――(ある意味)ドキドキしすぎた英語の授業。
授業中も、巫女さんはどこかソワソワしていた。
「巫女さん…大丈夫ですか?」
私は小声でそう聞いた。
「だって…猫って怖いじゃない。引っかかいたり、匂いが強かったり…何かと本当に嫌いなのよ」
そうなのか…私は動物全般好きだからそうでもないけど。
なんか意外だな。巫女さんには驚かされてばかりだ。
「お〜い、こぉめぇばぁたぁけさぁ〜ん?」
英語の先生が、気持ち悪い話し方で私を呼んだ。
「は、はい!」
「このも〜んだいわかるぅ?」
英語の先生はすごく難しい問題を指しながら言った。英語が苦手なことをいいことに…コイツは私をいじめてくる。
いつも恥をかかされて…。
「えっと…びぃ…ぶ…」
「あれえ?できないのぉ?飛んでた人がぁ」
何人かがくすっと笑った。私…友達少ないし、クラスの人からは変な空気だと思われてるんだろう。
この空気、嫌だな。
「difficult」
「difficult」
巫女さんは机から立ち上がり、花も同時に言った。
その後、巫女さんはすぐに着席し、花は先生の方に近づいていった。
周りの人や先生は花の事が見えていないから、混乱している。
「巫女さん…?どうしちゃったのかなぁ…?」
「どうしちゃったのかな?じゃねえよ」
花は先生の耳元でそう呟いた。耳元だから聞こえたのか、先生はチョークを地面に落とした。
そして、その瞬間、彼の荷物が浮き上がり、粉々になった。
「え…え…」
いやっ…どゆこと!?巫女さん、これは…。
って、ウインクしなくていいから。
きっと、巫女さんが超能力で先生の荷物を粉々にしたのだろう。
「おい、ジジィ。
If you lay hands on my flowers...you understand, right?
(うちの花に手ぇ出したら…分かってるな?)」
そう言って、花は先生を睨見つけた。
「ひぃっ!えっ…えっと…今日は自習!さようなら!」
声を裏返した英語ティーチャーは、焦ったように、逃げていった。
「これでいいなぁ。あのクソジジイを退散させたぜ」
確かに、スッキリはしたが…。
そーこーじゃーなーい!
わかるか?このクラスの人達に、完全に怪しまれるじゃんか!
一昨日から、家破壊されて、文太郎とモメて、飛んで、今回は先生をボコボコにすると…
どんな問題児だよ私!
思った通り、クラスの人達からは嫌な目線を向けられた。あまりいい気分ではないが…
「私は、あなたの味方ですからね」
「お前のことはぜってえに守ってやる」
ここまでやってくれて、言ってくれる人は初めてだ。
だから、そんなに嫌な気分ではないなぁ。
私は窓の方へ目を逸らし、綺麗な空を眺めた。
その空は、いつもより綺麗で、清々しい姿だった。まるで私の心を反映させているようだ…。
なんちゃって…
ん…?
私は窓に異変があることに気づいた。
金色に光る妖しげな目。それは、猫の目のようで、瞳が細長くなっていた。
それは、私をじっくりと見つめていた。目を逸らせないほど…。
しかし、すぐにぼやけて消えた。
本当に、今のは…何だったんだ…?
私はこの時、嫌な予感がした。
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2025年12月12日 17:00 毎週 金・土 17:00
片思い、重量オーバーです。――幽霊からモテモテで困ってます! 兎太郎 @usagitarou928
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