第11話



◆最終幕


 舞台は崩れ、劇場は沈黙していた。


 記録帳は灰になり、神々は去った。


 世界は終わった。



 楽屋の片隅。


 倒れた檻。


 その中から、一匹のハムスターが這い出る。



 照明はない。


 音響もない。


 ただ、足音だけが響く。



 小さな足が、焼けた床を踏む。


 誰も止めない。


 誰も見ていない。



 ハムスターは、


 舞台の残骸を越え、


 客席を通り抜け、


 劇場の出口へ向かう。



 その歩みは、神話の終焉を越えた生命の出発だった。







□完結□







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ゴールデンハムスター 星森 永羽 @Hoshimoritowa

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