第14話 イワキノコ


「イワキノコ、イワキノコ、ぼうぎょのために働くキノコ」


「コバヤシ、帰ってきたらおどろくねぇ~」


「きっとここらへんですよ、幻のウォーリーシリーズ、イワキノコ」



 ある日のこと、ギフト君とムルムルはおうちからかなり遠い場所におでかけ。


 お見合いに都会に行ったコバヤシを、びっくりさせるためにおでかけです。


 魔法の森のキノコの研究をしている彼に、【イワキノコ】とゆうウォーリーシリーズをプレゼントして、びっくり~って、わけ。



「ここらへんのはずなんだけど~・・・」



 やって来たのは、『嵐の跡崖っぷち』で、ギフト君とヤドツムリのムルムルは崖の下を見ています。


『「おぉ~~ぉぉ・・・こわ~い」』


「下は・・・えぇっと、『レイン滝』?」


「あぁ、コバヤシが前に言ってたけど、今は『レンタキ』って呼ばれてるって」


「上からみるとこうなんですねぇ。イヤッフゥッ☆」



 ふたりが崖っぷちにイワキノコを見つけてよろこんでいると、そこにしのびよる影。


 ドンッ、と押されて高い高い崖のふちにつかまるギフト君。


 ひめいをあげて上を見てみると、そこには二足立ちの小さな馬。



「ほ~うほうほう。へいへいへーい?持っているのはイワキノコじゃないか?」


「たっ・・・たすけて!!うわっ・・・ぐっ・・・い、いたいっ!!」


 腕が短いその馬は、片足でギフト君の片手をぐりぐりとふみつけました。


「おれさまはダース!!世界一の魔法使いになって、世界をせいふくするのだぁ~」


「こんなヒドイことを世界中にいっぱいしようっていうのっ?」


「そうさぁ、おれさまだけが幸せな世界・・・みんな落ちてしまえ~っ」


 急に足をはなされ、ギフト君は目を見開きました。


 自分の足につかまっているムルムルをキックではねのけ、崖肌ににがします。


 はっ、とおどろきすぎて、息をするのを忘れるムルムル。


 その時、つかんでいる崖の部分がくずれ、イワキノコをかじったギフト君は崖下へと落ちていきます。


「わあーーーーーーーーーぁぁぁぁ・・・」


 すぐに見えなくなるほど下へ落ちたギフト君を、黄緑色のたてがみをもつダースは笑いました。


「いいきみだぁ~♪さぁて、かーえろっ♪」


 その様子を、崖肌のムルムルがつのを使って森にしらせます。


 はっ、と森の声に気付く仲間たち。



 上にあがれそうにないムルムルは、そばにはえていたイワキノコを食べました。


「まってろギフト!!今いきまぁーす!!」


 ギフト君を助けようと、高い高い崖から、ムルムルは飛び降りました。


 守ります・・・


 どこからか、ムルムルにそんな声が聞こえました。


 きっとイワキノコの声です。


 昔を思い出して、ムルムルはそう思うのでした。



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