第15話 ハッコウタケ
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「・・・ん・・・ん~・・・」
「ギフト!!ワグマ、ギフトがめをさましました!!」
「そうか」
目を開けてしばたいたギフト君は、
自分のそばにムラサキ色の小さなクマと、ヤドツムリを見つけました。
ワグマとムルムルです。
体を動かそうとすると、頭のしんが万華鏡(まんげきょう)みたいになった感じです。
「ギフト、すぐに動いてはいけません!!」
「ここはー・・・どこ?」
包帯を巻かれている自分が、明かりをはなつキノコにかこまれているのは分かります。
まるでベッドのそばのローテーブルにおいてある電灯みたいな、その大きさがまばらなキノコです。
「ここは『光キノコ洞窟』」
「ワグマさんのおうちでぇす」
「なんだ・・・そうなのか・・・僕、生きてるんだよね?」
「こんなキレイな光にかこまれたら、うたがっちゃいますよねぇ?」
「冗談がすぎるぞ」
傷が痛むのでくすくす笑うギフト君。
「おきづかい、ありがとう」
ワグマがギフト君に言います。
「ここのキノコの光は、こころやさしき者をいやす力があるとされている」
「なんて名前のキノコなの?」
「【ハッコウタケ】・・・食べれはしない」
「やさしい光だね・・・」
「ギフト、休んで・・・」
「うん・・・ムルムルはあのあと・・・どう・・・した・・・の?」
「大丈夫。わたしのことは気にせず、今は休んで」
「うん・・・おやすみ・・・」
ギフト君はすぐに眠りにつきました。
「おい、ムルムル。お前もムリするな。もう5日も眠ってない」
「ギフト君がめをさますまではと思って・・・あぁ、でも・・・もう休んでもいいのですねぇ」
「そうだ。お前も休め」
すぐに眠りについたギフト君とムルムルを見て、ワグマは涙を流しました。
「ハッコウタケ、お願いだ・・・このやさしき者たちを・・・いやしてくれ」
すると・・・
パァッとハッコウタケが美しく光だし、その光はギフト君とムルムルをいやしました。
その光のやさしさに、ギフト君は眠っているのに涙が出ました。
もう少しだけ
休んでもいいよ・・・
ギフト君はどこからか、そんな声を聞きました。
きっと、ハッコウタケだ。
ギフト君はそう思ったのでした。
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