第31話 無戒剣《アモラル・フェイン》

I 誘導任務


廃都の夜。

雑居ビルの谷間に、一本だけ生き残った街灯が淡く光を落としていた。

錆びた鉄骨、割れた窓、風にゆれる古い看板。

その光の下で、二人と一匹の怪人が、幼い少女アマリアを囲んでいる。


「……ごめんな、おじさんたちも仕事なんだ」

リーダー格の怪人ドクソンが頭をかきながら、やさしく笑った。

「俺たち、“ヒーロー誘導班”でさ。ちょっと“人質ごっこ”して、ヒーロー呼び寄せて、時間を稼ぐのが任務なんだ」


女の子は大きな瞳をうるませながら、小さく首をふる。

「やだ……ママ、来ないの……?」


ドクソンは目をそらし、肩を落とす。

「大丈夫、大声出したら本部に怒られちまう。……こっちも仕事でさ」


その隣で、鳥のぬいぐるみのような姿をした小怪人ピヨンが、

ふわふわの羽を広げて子どもの頭をなでた。

「ピヨピヨ、泣かないで。ピヨンが見てるからね」


ピヨン。子どもたちに人気のある存在だ。


「ピヨン……あったかい……」

子どもは涙の中で小さく笑い、ピヨンは得意げに胸を張る。


「な、怖くないだろ? 終わったらちゃんと帰してやるから」

ドクソンはそう言いながら、通信端末に映る上司の指示を見て深いため息をついた。


「……しかしよ、上が何考えてんのか、マジでわかんねぇな。

 “時間稼ぎ”とか“データ収集”とか言われても、こっちは現場でどうすりゃいいんだよ」


もう一人の怪人リトソンが肩をすくめる。

「縦割りなんだよ、組織。指令室は別部署、戦略班は別部署。

 誰が何のために命令出してるのか、誰も知らねぇ」


「ピヨピヨ、ソワンしゃんも“糸の流れは気にしなくていい”って言ってたぴよ。」

「糸……? やめろよ、そういう言い方こえぇんだよ。」


二人と一匹はしばし無言になり、夜風が通り抜けた。


「ま、とりあえず“ヒーローが来るまで”が俺らの出番だ」

ドクソンが小さく笑い、空を見上げる。

「どうせ芝居だ。来たら軽く抵抗して、逃げるだけさ」


「報酬、前払いならうれしいんだけどなぁ」

リトソンがぼやく。

「ピヨン、お金じゃなくてクッキーのほうがいいぴよ」

「おまえなぁ……」

ドクソンは思わず吹き出した。

その笑いがほんの少しだけ夜の空気をやわらげた。


 


その言葉どおり、遠くの路地の奥から、

コツ、コツ、コツ……と足音が響いてきた。


街灯の光の縁に、ひとりの影が現れる。

白と黒のコート。

銀の髪がわずかに揺れ、群青の瞳は光を測る。声ひとつで場を制する気配。

冷徹な正義――だが、その静けさは、どこか追い詰められた者のものだった。

――フェイン。


「――終了だ。子どもを離せ。」

フェインの声は低く、冷たかった。


ドクソンは顔を引きつらせながらも、芝居を続けた。

「へっ、遅かったじゃねぇかヒーローさん!

 このガキがどうなってもいいのかよ!」


リトソンも慌てて声を張る。

「ひ、ひゃははっ! 正義の味方サマが跪くとこ、見せてもらおうじゃねぇか!」

(やばいやばいやばい……ほんとに来やがった……!)


ピヨンが女の子の耳元でそっと囁く。

「だいじょうぶ、怖がらなくていいよ……。いまはお芝居ぴよ……」


女の子は涙をこぼしながら、かすかにうなずいた。


フェインは冷たく彼らを見据える。

「……くだらない茶番だ。」


ドクソンが焦って両手を上げる。

「ま、待て兄さん! 本気でやる気は――」


「黙れ。」

フェインの声が刃のように切り裂いた。


「罪に“重い”“軽い”の区別はない。行為そのものが秩序を乱す。」


その刹那、フェインの通信端末が鳴った。

彼は眉ひとつ動かさずに通話を取る。


《フェイン、至急応答。優先指定クラスB――“アステリオン重工”の試作機強奪を確認。》

「……スポンサー案件か。」

《優先度上昇。即応せよ。》


フェインは一拍だけ沈黙し、視線を女の子に向ける。

怯えた瞳が彼を映している。


「――悪い、順番を守る。」


剣を背に収め、踵を返す。

足音だけがアスファルトに響き、

コートの裾が風に揺れて闇の中へと消えていった。


取り残された女の子は、地面に膝をついた。

「どうして……ヒーローなのに……」


ピヨンがそっと寄り添い、羽で涙をぬぐう。

「ピヨンがいるよ。だいじょうぶ、もうこわくない。」


ドクソンは空を見上げ、深く息を吐く。

「……おい、ヒーロー行っちまったぞ。どうすんだよ、これ……」


「帰っちゃったぴよ……」

リトソンが頭を抱える。


「……なあ、ピヨン。俺たち、時間稼ぎが仕事だったよな。」

「そうぴよ。」

「でも肝心の相手がもういねぇ。……これ、上にどう報告すんだよ。」


「ピヨピヨ……わかんない。上が何してるのか、誰も知らないぴよ。」


「……だろうな。俺ら、ただの“末端”。」


沈黙。

遠くでネオンがちらちらと明滅する。

街灯の光だけが、まるで心臓の鼓動みたいにゆっくり脈打っていた。


そのときだった。

背後から、ゆるやかな声が響く。



II 絵本の怪人


「……だったら、わたしが相手してあげる。」


振り向くと、開かれた絵本を胸に抱いた女の怪人が立っていた。――イマジア。

その絵本のページには、いま見た光景がすでに描かれている。


「やさしい悪党たち。見捨てられた子ども。そして、正義の空席。」


イマジアは薄く笑い、指先でインクのような文字をなぞった。

「……“順番を守る”ヒーロー、ね。

 なら、その秩序を、少しだけ逆さにしてみましょうか。」


ピヨンが首をかしげる。

「逆さって、どうするっぴ?」


イマジアは答えず、ページを開いた。

そこから淡い光があふれ出す。

光は砂粒のように舞い、空気の中で形を取っていく。


現れたのは――ひとりの少女。

透きとおる金髪、怯えた瞳。

それは、この国の富と権力を象徴する鳳凰財団の後継指定令嬢、《セレーネ》によく似ていた。


ピヨンが小さく羽をばたつかせる。

「ぴよ……これ、“あの子”の幻っぴ?」

「ええ。“描いたもの”を少しだけ借りただけ。」

イマジアの声は静かで、どこか罪深い音をしていた。


彼女は胸の前で絵本を開いた。

ページの上に、黒いインクのような光が滲み出す。

指先で軽くなぞると、インクが立ちのぼり、

暗い路地、泣く少女、三つの影――その“映像”が宙に浮かび上がった。


それは現実の記録ではない。

けれど、呼吸の音も、影のゆらぎも、涙の反射も、

あまりに精密で、“幻影”だと見抜ける者はいない。


イマジアは冷たい笑みを浮かべながら、

ページの縁に手をかざし、

そのまま幻影を絵本の中へ吸い戻した。


次の瞬間、彼女の手の中に通信端末が現れる。

絵本の光が、液晶の画面に流れ込んでいく。


「……これでいいわね。」


画面には、まるで偶然撮影したかのような手ぶれ映像。

泣く少女。怯える声。怪人の影。

――“本物らしさ”が完璧に再現されていた。


イマジアは通報アプリを開き、

淡々と文字を打ち込む。


『第三区画にて、鳳凰財団の後継指定令嬢と思われる少女を確認。

周囲に複数の怪人を確認。救出を求む。』


送信を押す前、ほんの一瞬だけ唇が動いた。


「お芝居の幕を上げるには、

 少しの“真実”と――少しの“嘘”がちょうどいいのよ。」


送信ボタンが押されると同時に、

絵本のページがひとりでに閉じた。



この都市では、市民通報は即座に中央AIの解析へと送られ、

危険度と位置情報に応じて最寄りのヒーローへ任務が割り当てられる。


数秒後、端末のスピーカーから無機質な声が響いた。

『通報映像、受領。現場:第三区画。危険度ランクB。

最寄りヒーロー《フェイン》を派遣します。』


イマジアは口元をゆるめ、低く囁いた。

「……いい子ね、フェインくん。ちゃんと“順番”どおりに来てね。」


通信が切れる。

彼女は絵本を閉じ、わずかに目を細めた。


「さあ、“正義の順番”が動くわ。」


 


ピヨンがふと、隅で怯える本物の少女――アマリアを見た。

「イマジアしゃん、あの子はどうするっぴ? 怖がってるっぴ。」

「あなたが見ててあげて。……この子だけは、本当に優しい子だから。」

「了解っぴ! ピヨンの羽で隠して遊んでるっぴ♪」


アマリアは涙を拭いながら、小さく笑った。

「……ピヨン、あったかい……」

「でしょっぴ? 泣かなくていいっぴ。」


イマジアはその光景を一瞬だけ見つめ、

小さくまぶたを伏せた。


「――さて、舞台の準備は整ったわ。」


 


数分後。


廃都の夜道を、ひとりの男が歩いていた。

白と黒のコート。淡い銀髪。群青の瞳。――ヒーロー《フェイン》。


靴音だけが、街の空気を刻む。

ネオンの光が頬をかすめても、表情は動かない。

冷えた機械のように、ただ地図の指示に従うだけ。


通信端末を一瞥し、角を曲がる。

報告にあった廃ビルが、闇の中に沈んでいた。


「……第三区画、非戦闘域。任務開始。」


淡々と告げ、金属の非常階段を上る。

きしむ音とともに、白いコートが風に揺れた。


最上段に着くと、

錆びた扉を押し開ける。


冷たい風。

静まり返った屋上。


――その上に、足音が響く。


フェインは一歩、二歩と進み、掌を掲げた。

空気がひび割れ、光が逆流する。


「――顕現しろ、無戒剣アモラル・フェイン。」


無数の光が集まり、一本の刃が形を成す。

だがその光は正義ではない。

白の中に、濁った闇が沈殿していた。


フェインの口元に、わずかな笑み。

「……対象確認。アマリア、セレーネ……か。」


脳裏には、数分前の通達が焼き付いていた。


《フェイン、至急応答。優先指定クラスA――“鳳凰財団”の後継指定令嬢“セレーネ”が誘拐された!》

《最優先。直命。即応せよ。》


――優先指定クラスA。

――鳳凰財団の後継指定令嬢。

――成功すれば、連合の“顔”になれる。


フェインの内心は静かに燃えていた。

“今度こそ”完璧な救出を演出してみせる。

過去の失点(アマリア)を消すために。


「……スポンサーが見ている前での手柄は、大きい。」


 


屋上の端。

そこには四つの影があった。


泣きじゃくる二人の少女――アマリアとセレーネ。

その前に立つ二人の怪人。

どちらも、絵本の中から抜け出した幻影。


だがフェインは気づかない。


「人質二名、確認。――怪人は二人。排除する。」

淡々と報告口調。

その声は、使命ではなく計算の温度で冷えていた。


遠くの屋根。

イマジアが絵本を開き、静かに微笑む。

「……“正義”の順番、ね。じゃあ――試してみましょうか。」


 


フェインの剣が閃いた。

光が弾けた。――誰も、何が起きたか見ていない。

稲光が走り、風が断たれる。

無戒剣アモラル・フェイン――戒律を捨てた刃。

一撃で、怪人たちの姿は塵のように崩れた。


「終わりだ。」


だが。

切り裂いたはずの空間が、音もなく波打つ。

崩れた塵が霧に変わり、屋上を覆う。


「……なに?」


風が止む。

夜空が歪む。

ビルの輪郭が、まるで絵の具のように滲んでいく。


空気の底から、微笑むような声が滲んだ。

「……ああ、かかったわね。おめでとう。これからは、あなたが物語の登場人物。

 ――さあ、“楽しい夢”を最後まで観ていきなさい。」


フェインの眉がわずかに動く。

「幻覚か……?」

呼吸が重くなる。冷たい空気が肺を締めつけた。


――そのとき。


足首に、冷たい感触。


見ると、アマリアがそこにいた。

その隣には、セレーネ。

二人の少女が並んで、涙に濡れた顔でフェインを見上げていた。


けれど―― 涙は黒い。瞳孔から滲んだインクが、頬で文字になる――読めない祈りだ。

墨のように重く、頬を伝いながら光を吸い込んでいく。

白い肌に黒が流れ、まるで絵本のインクが零れているよう。


「……おい、下がれ。」


フェインが命じる。

だが二人は動かない。


代わりに、小さな手が左右から彼の足をつかんだ。

ぎゅっ、と。


「……離せ。」


だが――びくともしない。

その力は、子どものものではなかった。

骨がきしみ、地面が軋む。

屋上のコンクリートにひびが走る。


フェインの喉が鳴る。

「なんだ、これは――」


アマリアとセレーネが、ゆっくりと顔を上げた。

二人の瞳の奥で、同じ黒い靄が渦を巻く。


口が、同時に動いた。


「――お兄ちゃん、順番を守ってくれてありがとう。」


その声は、幼い響きのまま、底冷えするように低かった。


フェインの顔が凍りつく。

次の瞬間、足元が裂けた。


闇。

黒い泥のようなものが湧き上がり、脚を飲み込む。

腰まで、胸まで――。


「やめろっ……離せ! 俺はヒーローだ!」


アマリアとセレーネが笑う。

涙を浮かべたまま、どこか壊れた笑み。


「順番、まもって、えらいえらい。」


その言葉に合わせて、世界が裏返る。

街の灯が滲み、空が紙のように折りたたまれる。

ページの端が風にめくられ、現実がインクになって流れた。


「――やめ――」


フェインの声が闇に溶ける。


白い絵本の頁が、音もなく閉じた。



III 悪夢Ⅰ 沈みゆく砂場


――光。

まぶしくて、目があいた。

風のにおい。

白い光が砂の上でゆれている。

ざらざら、しゃらしゃら。

スコップの音が、どこか遠くから聞こえる。


(……ここ、どこだ)


さっきまで――廃都の路地にいたはずだ。

泣いていた子ども。

助けなかった。

「悪い、順番を守る」――その言葉を残して、背を向けた。


(……なんで、思い出すんだ)


胸の奥が熱くなって、息があがる。

目の前には、白い柵と青い空。

園庭。

子どもたちの笑い声。


手の中には、小さなスコップ。

柔らかい手。

短い指。


(……身体が……)


声を出そうとしても、高い音しか出ない。

喉が縮んで、息がひゅうひゅう鳴る。


そのとき――背中にやさしい声が落ちた。


「おはよう、フェインくん。」


振り向く。

白いエプロン。長い髪。あたたかい笑顔。


だけど、その顔を見た瞬間、心臓が止まりそうになった。


(……おまえ……)


泣いていた少女。――アマリア。

ほんのさっき見捨てた、あの子の顔。

けれど今は大人になっている。

頬の線も穏やかで、瞳はあのときと同じ光をたたえていた。


「今日はお外あそびの日よ。順番を守って、いい子にしましょうね。」


その言葉が、やさしいのに裁きの鐘みたいに響いた。


 


砂の上。

子どもたちが無邪気に遊んでいる。

スコップで山を作り、バケツで水を運ぶ。


「せんせー、みてー!」

「ぼくのほうが大きいよ!」

「まって、まって、じゅんばんー!」


先生が笑いながら答える。

「はいはい、順番ね。順番。こぼさないようにね。」


先生はひとりひとりの子を抱き、手を洗わせ、

転んだ子の膝をなでて、

泣いた子の頬を拭ってまわる。


フェインもその中にいた。

砂を掬い、山を作る。

太陽があたたかい。

でも、そのあたたかさが息を詰まらせる。


(……おかしい……俺は……)


足の下で、コツッと音がした。


(……?)


砂がふるえた。

やわらかいはずの地面が、ゆっくり下に動いている。


足首が沈んだ。

砂が冷たい。

抜こうとした。

抜けない。


「……」


声が出ない。喉がひゅっと鳴るだけ。


すなが足をなでる。

ざらざら。ざらざら。

ぬるい。生きてる。


(や……やだ……)


引こうとしても抜けない。

砂が膝までくる。冷たい。重い。


胸が苦しい。心臓がどくどく鳴る。


「……ひっ……」


空気がもれた。声じゃない。息の音。


目から涙がこぼれる。

顔が勝手にゆがむ。

呼吸がしゃくりあげみたいに詰まる。


「ひっ、ひっ、ひゃっ……あぁっ!」


砂がふとももまでくる。

腕でかこうとしても、手が小さくて力が入らない。

砂が手首にまとわりつく。


「ひゃあっ! やぁっ、やだぁぁぁ!!」


喉が痛い。涙とよだれで、声がぐちゃぐちゃになる。


「うぁっ、ひゃぁぁぁ、ひぃっっ、あぁぁぁぁ!!」


誰もこっちを見ない。

まわりの子たちは笑ってる。

「せんせー! おみずー!」

「こっちもー!」


先生は笑顔で返す。

「はーい、順番ね、順番。今行くからね。」


フェインは手を伸ばす。

「……っ……せんせ……!」


でも、先生は見ていない。

他の子の頭をなでている。


「順番、まもれてえらいね。」


笑顔のまま、言った。

その声が優しいのに、凍る。


砂が腰を飲みこむ。

足の下で“なにか”が動いた。

ぬるい。指のような形。


「ひぃぃっ! うぁぁぁっ!!」


それが足をつかんだ。引かれる。ぬけない。


「ひゃああぁぁっ!! やぁっ! やだぁぁぁっ!!」


喉がつぶれそう。

砂が胸の上まで。息が吸えない。


(……順番……まってるのに……!)


視界がにじむ。

涙の向こうで、白い影が近づいてくる。


先生だ。

やっと、こっちを見てくれた。

肩に手がかかる――はずだった。抱き上げてもらえる――はずだった。


そう思った瞬間、先生が静かにしゃがみ込んだ。

白いエプロンの裾が砂に触れ、影がゆらりと揺れる。


でも――その目。


瞳の奥から、闇が漏れていた。

黒い霧のような光が、ゆっくり空気を濁らせる。

その輪郭の中で、笑みだけが残っている。


「――フェインくんも、ちゃんとまもれたね。」


声が低い。

やさしいのに、底が震えるような響き。


砂が、胸まで上がってくる。

冷たいのに、熱い。

心臓の鼓動と同じリズムで体を締めつける。


「順番、守れたね。えらい――えらい。」


差し出されたのは腕ではなく、掌だけ。

引き上げる力はどこにもなく、ただ頭の上をやさしく往復する。

「助ける」ではなく「撫でる」だけ――その軽さが、残酷だった。


(……やめ……やめて……助けて……)


「いい子ね。」


その瞬間、彼女の笑顔の下から闇が溢れた。

光のない瞳。

口角だけが、静かにゆれている。


砂がいっせいに動いた。

波のように押し寄せ、フェインを呑み込む。


息が、吸えない。

喉が焼ける。

涙が零れて、砂と混じる。


「たすけてぇっ! やだぁぁぁぁぁっ!!」

「はやくぅっ! せんせっ、たすけてぇぇぇぇぇ!!」


声が泡のように散っていく。

最後に見えたのは――

砂の中で静かに微笑む先生の顔。


「――もう、だいじょうぶ。

 順番、まもれたね。」


掌がもう一度、やさしく押すみたいに頭を撫でた。

抱き上げる重さは最後まで来ない。


やさしい手のぬくもりが、

闇といっしょに沈んでいった。


――音が消えた。


砂の下で、世界が静止した。



IV 悪夢Ⅱ ガラスの部屋


――まぶしい。

光。

目を開けると、街の喧騒がガラス越しに響いていた。


ここは――交差点のど真ん中。

無数のネオンと巨大広告がまばたく夜の都心。

その中心に、透明な箱のような部屋が置かれていた。


中にいるのは、フェイン。

体は動かない。

腕も足も、やわらかい何かに包まれている。

そして――彼を抱いているのは、絵本を手にした女。


「……おはよう、フェインくん。」


白い指が頬をなでる。

やさしい声。

まるで子守唄のように、呼吸をゆっくり整える。


女――イマジアは、微笑みながらゆらゆらと揺らしていた。


外の光が、ガラスの壁を透かしてきらめく。

その向こうに――人影。ひとり、ふたり、またひとり。

気づけば十、二十、百。

街の雑踏が、こちらを取り囲んでいた。


(……なんだ……ここ……)


動けないまま、フェインは息を詰めた。

ガラスの向こうの群衆は、じっとこちらを見ている。

声はない。

だが――視線だけが、確かに肌を刺していた。


やがて、ざらりと音がした。

耳の奥に、ささやきが混じる。


「……見て、ヒーローだって」

「泣きそうじゃん」

「なにこれ、あやされてんの?」

「だっさ……」


(やめろ……聞こえてる……)


イマジアは静かに微笑んだまま。

フェインの髪を撫で、そっと囁く。


「だいじょうぶ。仲間が来るわ。」


(……仲間?)


「あなたを助けに、もう向かっているの。

 だから、いい子で待っていましょうね。」


胸が震える。助けが来る。きっともう――。


けれど、群衆のざわめきは変わった。

空に白い文字が浮かぶ。

#泣き虫フェイン #順番まもってえらい #抱っこヒーロー

――タグが追い越すたびに、彼の呼吸をひとつずつ奪っていく。


SNSのタグが、現実の空間に染み出していた。

それぞれが声を持ち、フェインの耳を刺す。


「かわいそ〜」「スポンサー案件終わったな」

「これがヒーロー?」「助けまだ?www」

「うらやましい、仕事やめてあの箱入りたい」

「仲間まだ? 順番待ち中?」


イマジアの声がやわらかく重なる。

「ね、みんな、あなたのことを見てる。

 すごいわね……人気者だわ。」


ピッ。電子音。

空の端が光り、巨大スクリーンにロゴが浮かぶ。


『wetube live/Now Streaming…』


派手な髪の配信者が笑っていた。

「はいどーも〜! 今夜は特別回!

 『ヒーローのくせに抵抗しない男を観察してみた!』

 やってくよ〜!」


コメントの嵐。👏👏👏😂😂😂💔💔💔

「きたwww」「こどもにされてるwww」「泣き顔最高!」

「仲間も見てる?」「助けまだ?順番守ってるねw」

「抱かれてんのに無表情で草」

「トレンド1位おめでとう!」


映像の中――女の腕に抱かれ、泣きそうにされている“自分”。

見た目は幻影。けれど声は現実に響いていた。


フェインの呼吸が荒くなる。視界がにじむ。

(……助けてくれ……早く……)


イマジアが髪を撫でる。

「もう少し。もうすぐ来るわ。」


だが時間は延び、信号が何度も変わる。

風が吹き抜けても、誰も来ない。

笑い声だけが増えていく。


『#まだ助け来ないの?』

『#放置ヒーロー』

『#順番待ち中〜笑』

『#泣き虫フェイン トレンド入りw』

『#順番まもってえらい が全国3位www』

『ニュースより上にフェインいて草』


向かいのビルではニュース番組が流れていた。


『速報:元ヒーロー《フェイン》、戦闘放棄。

 抵抗せず、敵対勢力にあやされる映像が拡散中。

 救援要請は未確認。』


映像には、抱かれ、泣き、笑われる自分。

無限ループのスローモーション。

『専門家は“心的退行”による戦意喪失と分析――』


だが、それで終わらなかった。

SNS上に、新しい波が現れる。


『#フェインRemix』『#順番をまもってえらい踊ってみた』

『#AIフェイン』『#泣きながら踊るヒーロー』


「AIで踊らせてみたらバズったwww」

「泣き声リミックス、神曲すぎ」

「もう本人いらなくね?」

「タイムライン、フェインで埋まってるwww」

「ミュートしても出てくるの怖い」


フェインは見た。

画面の中で、自分が笑って踊っている。

涙の跡も消え、幸福な表情を貼り付けたAIフェイン。


(……俺じゃない……でも、みんなはそれを“俺”と呼ぶ……)


さらに、広告が挟まる。

彼の泣き顔を使った投資バナー。


『“損しても泣かない投資”』『順番をまもる投資術』

『あなたも泣かずに待てる?』


「泣いてるフェイン使った投資広告出てきたんだけどwww」

「#フェインで勝てる」「#泣かずに稼げ」

「本人よりAIフェインの方が稼いでて草」

「これで救われるなら俺も泣くわ」

「おむつ企業とコラボしてそうで草」

「#まもってえらいキャンペーンまだ?w」

「この前こいつに見捨てられたけど、今泣いてるの見てスカッとしたわ」

「人助けの順番、守ってるのは自分だけだなwww」

「#ざまぁヒーロー」


数字が飛び交う。

光と笑いが飽和する。


フェインはガラス越しに、無数の自分を見た。

泣いて、笑って、踊って、売られて――。


(……助け……て……)


フェインの唇が震えた。

涙があふれ、喉の奥で言葉が崩れる。


「……は、やく……」

「……はやく……たすけてよぉ……」


イマジアは微笑み、耳元で囁いた。

「――泣かないで、フェインくん。」


だが、もう止まらなかった。


「いやだぁぁぁぁぁ!! たすけてぇぇ!!!」

「たすけてよぉ!! はやくっ、たすけてぇぇぇぇ!!」


泣き声が割れ、ガラスが震える。

嗚咽と叫びが混じり、空気が歪んだ。


外の群衆がざわめく。

やがて――笑いが起こった。


「あーあ、泣いちゃったー!」

「ウケる〜!」

「ヒーローなのにギャン泣きwww」


笑いが広がる。

拍手が重なる。

街の光が、ぐにゃりと溶けていく。


――そして、暗転。



V 悪夢Ⅲ 泣き声の海


――ぬるい。


目を開けると、白い天井があった。

薄い布越しの光。かすかに揺れている。


(……ここは……)


体が沈む感覚。柔らかい。

毛布の下で、指がもぞもぞ動く。

いつもより短い。手首も、足も、軽い。


視線を横にやると、柵。木の柵。


(……ベッド……?)


フェインはゆっくり息を吸った。

ミルクのようなにおい。

どこかで風鈴みたいな音がしている。

何も起きない。


(さっきまでの……夢は……)


思い出そうとする。

でも、思考の表面がつるつる滑る。

頭の中に霧がかかって、形が掴めない。

胸の奥に、ぼんやりとした“安心”だけが残っている。


――そのとき、声が聞こえた。


「……ぁ……」

「……んぎ……ぇ……」


(……赤ん坊の声?)


遠くのほうで、いくつもの泣き声が重なっている。

高くて、湿っていて、ひとつひとつが揺れている。


「……うるせぇな……」

フェインは小さくつぶやいた。

(……なんで俺が……こんな場所で……)


泣き声が止まらない。

かわるがわる鳴いて、まるで波のように寄せてくる。


「……泣くなよ……」

声がかすれる。喉が乾いている。


そのとき、頭の奥でやわらかい声がした。


――「もうすぐ助けに来るからね。」


(……誰だ……?)


優しい声。

どこかで聞いたような響き。

けれど、姿は見えない。

声だけが毛布の中に入りこんでくる。


「もう少しだけ、いい子で待っててね。」


(……誰かが、見てる……)


ぼんやりとした安心感が胸を満たす。

少しずつ瞼が重くなる。


その瞬間、音のひとつが変わった。

ひとつだけ、フェインの耳の真横で鳴った。


「……んぎ……ぇ……」


びくり、と肩が動く。

誰もいない。

柵の外には、白いカーテンが風に揺れているだけ。


(……今の、近かった……)


息を潜める。耳をすます。


「……んぎ、ぇ……」


また鳴いた。今度は、すぐそば。

まるで自分の耳の中で鳴いているみたいだ。


「……どこだ……」


頭を動かす。枕がきゅっと鳴る。

左右を見ても、誰もいない。


(……気のせいか……)


そう思った瞬間、胸の奥で“音”がした。


――ぽこっ。


(……え……?)


心臓じゃない。

鼓動より浅くて、柔らかい。

中から、空気が抜けるような音。


「……ん……ぎぃ……」


今度は、はっきり聞こえた。

胸の中。自分の内側。


フェインは息を止めた。

怖い。けど、目をそらせない。


(俺の……中から……?)


音が増える。ひとつ、ふたつ。

体の内側で鳴っている。


「……んぎ……っ……えぇ……」


胸、喉、頭の奥。

ぜんぶが鳴いている。

響く。どこにも出口がない。


(やめろ……やめろ……)


顔が熱い。息が苦しい。

喉の奥が勝手に動く。


「……ん……ぎ……」


音が、重なる。

どんどん重なって、

自分の声と、泣き声の区別がつかなくなる。


(ちがう、俺じゃ――)


「……んぎ、ぇ……あ、あぁ……」


声が、出た。

勝手に。自分の意思じゃない。

でも、たしかに“自分の声”だった。


「……っぁ……ぁぁ……えぇっ……」


口の中が熱くなり、喉の形が変わる。

言葉が出ない。息の音しか出ない。


「んぎ……えぇ……ぅぁ……っ」


涙が出た。

何の感情か分からない。

でも、泣くのが止まらない。


(やめろ、やめ……ろ……)


言葉が形を失っていく。

“やめろ”が“やぁ”になる。

“俺”が“おぇ”になる。


「やぁ……うぁ……んぎ……っ」


頭の中で何かが溶ける。

思考の輪郭が、どろどろに崩れる。

名前。使命。罪。

ぜんぶが溶けていく。


「んぎ……ぇ……」


声がもう、自分じゃない。

でも、心地よい。

怖いはずなのに、

そのぬくもりが気持ちよくて、

泣き声の海にゆっくり沈んでいく。


(……これが……安心……なのか……)


その思考さえ、音に飲まれる。

「……んぎ……」「……ぇ……」

「うぁ……」「あぅ……」


内側と外側の音が重なって、

一つの大きな波になる。


(……おれ……)

「……んぎゃ……」

(……おれは……)

「……おぎゃ……」

(……ちが――)

「おぎゃ……おぎゃ……おぎゃあああああっ!」


泣き声が弾けた。

鼓膜の内も外も、同じ音で満たされる。

世界がゆらぎ、白く光る。



VI 終章 ふかふかの夜


――ぱたん。


絵本が閉じる音。

白い光の粒がふわりと舞い、

空気が冷たく静まり返る。


イマジアはその場に立ち尽くしていた。

手の中の絵本が、かすかに震えている。


彼女の足元には、ひとりの男。

ヒーロー《フェイン》。


成人の体をした抜け殻が、そこにあった。

鎧も血もない。ただの“残骸”のように。

瞳は焦点を結ばず、

その口元からは、かすかな呼吸音だけが漏れていた。


「……」


イマジアはしばらく無言で見下ろしていたが、

やがて、背後から羽音が聞こえた。


「イマジアしゃん……これ、大丈夫だぴよ?」


ピヨンがふわりと降り立つ。

金色のレンズのような瞳が、不安そうに点滅していた。

小さな翼をぱたぱたさせながら、

倒れたフェインをのぞきこむ。


「……イマジアしゃん? 聞こえてるっぴ?」


少しの間。


イマジアはようやく瞬きをして、

ふっと息をついた。


そして、眉をわずかに寄せ、

ジト目になりながら小さく肩をすくめる。


「……少し、やりすぎたわね……」


額に小さな汗がにじむ。

その顔には、わずかな困惑と気まずさ。

冷たい計算の女王が、一瞬だけ“照れた教師”のように見えた。


ピヨンはぽかんと口を開ける。

「い、いまの……ちょっと可愛い顔だったぴよ……」


イマジアは聞こえないふりをして、絵本を抱え直した。


「……無傷ではあるわ。

 ただ、心の方が完全に溶けちゃったみたい。」


フェインの唇が微かに動き、

子どものような音を漏らす。


「……ん……ぎ……」


その声を聞いたイマジアは、

ほんの一瞬だけ目を細め、ため息をつく。


絵本の表紙が、かすかに光を帯びた。

金糸の縫い目がほころび、そこから小さな影がのぞく。

見た目は灰紫の布地に包まれたウサギのぬいぐるみ――《パピン》。

ボタンのような瞳が淡く光り、耳がゆっくりと揺れた。


「イマジア……やりすぎだよ。」


イマジアは目だけで視線を落とす。

「ちょっとテンション上がっちゃって、つい。」


「夢を三層沈めるなんて、そろそろ加減を覚えて。」


少しの沈黙。

夜の風が、二人の間を抜けていく。


「彼は名のある者を選別したの。」

イマジアの声は淡々としていたが、その奥にわずかな痛みがあった。

「――だから、順番を教えただけよ。」


パピンは耳を垂らし、短く息を吐く。

「……教えるって、こわい言葉。」


イマジアはかすかに笑った。

「夢の語り部は少しこわいくらいがちょうどいいのよ。」


パピンはふわりと浮かび、絵本の表紙へ戻っていく。

「ページ、焦げてる。……今夜はここまでにして。」


「わかったわ。」


金糸が音もなく縫い直され、表紙が静かに閉じた。


ピヨンはその様子を見て、小さく羽をすぼめた。

「……もしかしたら、ソワンしゃんなら、なんとかできるかもしれないぴよ。

ソワンしゃん、包夢布オクルミを仕立ててたってぴ。眠るように包んで、心をやさしく直すやつっぴ。」

イマジアが小さく眉を上げる。

「あぁ、あの布ね。……何度か借りたことがあるわ。」

ピヨンはこくりとうなずいた。

「うんぴ。すごく手間がかかるけど、うまくいけば安心できるらしいぴ。」

イマジアはわずかに笑い、絵本を抱え直した。

「……そうね、頼ってみるしかなさそうね。」


彼女は絵本を閉じ、背を向けた。


ピヨンは不安そうに羽を震わせる。

「……これ、イマジアしゃんの上司に報告いらないっぴ?」


「必要ないわ。

 ……次は、もう少し手加減する。」


その声は冷静で、けれどほんの少しだけ、苦笑を含んでいた。


ピヨンはぱちぱちと瞬きをした。

(……しれっと隠蔽する気だっぴよ……)


イマジアの肩をかすめて、

白い光が絵本の表紙に吸い込まれていく。


「ピヨン。」

「はいっぴ?」


「さっきの人質の子――あなた、見せないようにしてたんでしょ?」


「もちろんっぴ! “おままごと”しながら隠してたっぴ。

 怖くないように、いっぱい遊んであげたっぴ!」


「よくやったわ。もう終わったから、家まで送ってあげて。」


「了解っぴ♡ ……あの子、ピヨンの羽ほめてくれたっぴ。」


ピヨンはうれしそうに羽を広げ、

ふわりと空へ舞い上がる。

「いっしょにお歌うたって帰るっぴ~♪」


夜空の奥で、小さな光が二つ、やさしく遠ざかっていった。


イマジアは視線を戻す。

「――あなたたち、彼を第二収容エリアへ。

 刺激は与えないように。壊れやすい状態だから。」


「了解です、イマジア様。」


二人の怪人がフェインを担ぎ上げる。

その体は温かく、しかし意識のない抜け殻。


金属の車輪が静かに鳴る。

廃都の路地を抜け、夜の奥へ。


「念のため回復を試みるんですかい?」

「ええ。グリズリーが担当するはず。」


イマジアの声は淡々としていたが、

その眼差しには、ほんのかすかな罪の色が残っていた。


通信端末が光り、明るい声が響く。


『ベアーフラッシュ☆ お待たせしましたぁ♡

 こちらキューティーグリズリー♡』


イマジアはジト目のまま、絵本を胸に抱え直した。

「出たわね。……やりすぎちゃった。回復、お願いできる?」


『あら~♡ またイマジアちゃん? 最近ノリノリねぇ♡』


「今回は本当に……壊れたの。

 フェイン――ヒーローの子よ。

 精神が完全に沈んでる。」


『まぁまぁ♡ 元気にするなら私に任せて!

 ちゃんと“ふかふか”にしてあげるわ♡』


「……手遅れかもしれない。

 ソワンに包夢布オクルミを借りて。

 もし戻らなかったら、それで包んであげて。」


『了解~♡ ダメそうなら包夢布発動ね♡

 ふかふかで安心コース、任せてちょうだい♡』


「彼は第二収容エリアに移送中。

 到着したら、あなたに引き渡されるはずよ。」


『オッケー♡ ベアーフラッシュ☆ ラブリー・リカバリーチャージ完了♡』


通信がぷつりと切れた。


イマジアはしばらく無言で空を見上げ、

静かに呟く。


「……ふかふか、ね。ほんとに、いい言葉だわ。」


絵本の金の装飾が淡く光り、

夜の風がそのページをひとりでにめくった。


――まるで、眠る子の夢をやさしく撫でるように。



🕊 次回予告


第32話 ぎゅっ、の合図


光のない世界を駆け抜ける、ひとりの少女。

先生の“ぎゅっ”という合図だけを胸に――

シャボン玉の道を追い、ミラは外の世界へと踏み出す。

やさしさと勇気が交わる、再生への脱出譚。


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