第4話 初めてのお披露目

 昼休みも残り15分のところで俺と涌井は空き教室に到着する。


 空き教室は以前と同じ場所であり、誰も居なかった。非常に静かでもあった。


 涌井は閉鎖的な空間を作るために、しっかりと空き教室の戸を閉める。そのまま俺の下にスーッと歩み寄る。


「それじゃあ。見せて貰おうかな」


 涌井は目を輝かせながら上目遣いで俺に尋ねる。相変わらず積極的だ。


「あ、ああ。別に大したことないぞ」


 俺は涌井に催促される形で制服のズボンのベルトを前から緩める。前の部分のみを外し、制服のズボンのファスナーをジーッと下ろす。僅かに制服のズボンからパンツが覗く。


「ねえねえ。私が下ろしてもいい? 」


 俺が制服のズボンを下ろそうとしたタイミングで制止するように尋ねる涌井。なぜか自身で俺のズボンを下げたいみたいだ。


「べ、別にいいけど。な、なんで? 」


 俺は涌井の意図が読めずに探ろうと尋ねる。


「本当に! やった~!! 」


 涌井は疑問に答えず、俺の制服のズボンのサイドに両手を掛ける。


「それじゃあ。行くよ? 」


 涌井は上目遣いで俺を見つめながら、意地悪な笑みを浮かべる。


 ゴクッ。


 俺は緊張で生唾を飲み込んでから首をゆっくりと縦に振る。人生で初めて異性にズボンを脱がされ、パンツを見られる。嬉しいというより何だか複雑な気分だ。適切な順序を踏んでいない気がする。


「えい! 」


 涌井は丁寧にゆっくりと俺の制服のズボンを下に降ろした。


 行動の結果として俺のパンツ(黒色のボクサーパンツ)が露になる。


「お、おっきい!!! 」


 涌井は俺の三角形のテント型になったパンツを視認して、両手で口元を覆いながら驚愕の声を漏らす。女子更衣室での事件と同じように、俺のあそこに釘付けである。


「こ、これやばいね!! 近くで見るとパンツが破れそうなぐらい、もっこりしてるよ!! これって生活不便じゃない? どうやって普段生活してるの? あそこが邪魔にならない? 」


 涌井は興奮して頬を赤くしつつ、俺のパンツに接近しつつ、様々な角度からパンツ越しに俺のあそこを観察する。あと少しでパンツ越しでも存在感を強調する俺のあそこと涌井の顔が触れるほどに接近することもあった。


 そのため、涌井の興奮した鼻息がパンツを介して俺のあそこを包み込むように優しく届いていた。生暖かい感触が俺のあそこを刺激し、少し興奮して通常よりもムクッと僅かに大きくなっていた。


「本当に凄いね! 見せてくれてありがとう。今回はこれぐらいで大丈夫だよ」


 涌井は満足したように片膝を付いた姿勢を崩し、立ち上がる。


「もうズボン着てもいい? 」


「うん。いいよ」


 俺は涌井の返答を受け、少なからず名残惜しさを感じながら、制服のズボンを上げ、ベルトを締める。つい先ほどと同じようにズボンを身体に合わせる。


「昼休みも残り少ないから戻らない? 」


 涌井は空き教室の黒板の上に設置される置時計を指す。


 涌井の言う通り昼休みも残り10分を切っていた。


「そうだね」


 俺も納得するように首を縦に振る。


「それじゃあ初めて見せてくれてありがとう! また、お願いね」


 涌井は感謝を伝えると、軽やかな足取りで鼻歌混じりに空き教室の出口に向かう。


「え、ど、どういうこと? また、お願いって」


 俺は涌井の言葉の意味が分からずに尋ねる。意味を探ろうと涌井の背中に慌てて声を掛ける。


「うん? どういうことって? そのままの意味なんだけど」


 涌井は立ち止まり、振り返ってから、不思議そうな表情を浮かべる。


「これから定期的に我妻君のあそこを見せてもらう予定だよ。だから、次の休み時間もお願いね!! この空き教室で待ってるから!!! 」


 涌井はヒラヒラと子供のように満面の笑みを浮かべてヒラヒラと俺に手を振り、用が済んだとばかりに空き教室を退出した。


 空き教室には俺が取り残される形となった。


「え!? これってまだ続くの!? 」


 俺は思わず誰も居ない空き教室で反射的に叫んでしまった。


 驚きを吐き出すように。

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