クラスの陽キャ達に日常的に駒のように利用されていた俺が、無茶ぶりで体育の後に女子更衣室に入ったら、大きなあそこに惹かれた美少女達にアピールを受けるようになった

白金豪

第1話 パンツ一丁で女子更衣室に突撃

「おい、我妻! お前、今から女子更衣室にパンツ一丁で突撃して来いよ」


 1時間目の体育の授業の終了後。緑の床が特徴的な男子更衣室において。クラスの陽キャの1人が俺、我妻卓士に上から命令する。


「え。今から」


 俺は困ったように頬を軽く掻く。


 周囲では体育を終えて体操服から制服に着替える男子で溢れる。男子校室内では、汗の匂いと香り対策の制汗剤の混ざった匂いが充満する。鼻にツンッと刺激が届く匂いである。


「そんなの今からしかないだろ。女子が更衣室で着替えるタイミングなんて体育の終わりしかないだろ」


 陽キャ達が不思議そうに俺の反応を指摘する。


 陽キャ達の声に反応し、周囲の着替えをする男子達の視線も集まる。


「えっと。それは…」


 俺はどうすればいいか分からず苦笑いを浮かべる。流石にパンツ一丁で女子更衣室に入ると女子達から引かれるのは容易に想像できた。


「あん? 断るつもりか? それはノリが悪くないか? 」


 陽キャ達から不機嫌なオーラが発せられる。


 俺は、その空気の変化を敏感に感じ取る。少なからず恐怖感を覚える。


「断るわけないよな。おい! 今から我妻がパンツ一丁で女子更衣室に入るってさ!! 」


 陽キャのリーダー格が男子更衣室に身を置く男子達の全員に届くような音量で叫ぶ。


 男子更衣室に居る男子達の視線が誘導されるように動き、注目を呼ぶ。


「なんだなんだ」


「おもしろいことやってんじゃん! 」


 体育は2クラス合同で実施しており、隣のクラスの陽キャ達が楽しそうに反応する。俺のクラスの陽キャ達と合流し、話に耳を傾ける。


 その他にも、ほぼすべての男子が俺に視線を向け、注目する。


 これで断れる雰囲気は完全に消え去ってしまった。今の状況で断れる勇気を俺は持ち合わせていない。


 しかし、陰キャの俺にとって嬉しい気持ちもあった。


 陰キャでボッチの俺に陽キャ達が無茶ぶりをしてくれることで、相手にして貰ってる。少しでもクラス内でも価値があると錯覚してしまう。やりたくない気持ちの反面、嬉しさや喜びもあるのが本音だった。


「おい! 我妻! 早くしろよな!! 」


 陽キャ達が俺を催促する。


 俺は陽キャ達に目を向ける。


 陽キャ達はニヤニヤしながら俺の動向を観察する。どうやら楽しくて仕方が無いらしい。


 仕方がない。やるしかないよな。


 俺は決意を固め、女子達に引かれることを受け入れる覚悟を瞬時に決め、先ほど両足に通した制服のズボンを脱ぐ。


 これでパンツ一丁になった。


 よし。行くぞ。


 俺は周囲の男子の全員から視線を受けながら、重い足取りで男子更衣室の奥から出口に向かう。


 緑の床を上履きで進む。


「おいおい! まじかよ! 」


「あいつやばいな!! 」


「ここまで行くならやってしまえ!! 」


「女子に引かれること間違いなしだけどな~」


 男子更衣室は男子の興奮した叫び声で溢れる。室内は耳を塞ぐほど騒々しい。男子達の五月蠅い声で溢れる。他人事なだけに口調も軽い。


 俺は、そんなカオスな環境に囲まれながら、パンツ1丁(ボクサーパンツを着用)で男子更衣室を後にした。


 そのまま廊下に出て、周囲に誰も居ないことを確認して、隣の女子更衣室の入り口の前まで移動する。


 中には女子達のキャッキャッした声がドアを介して聞こえる。その声から女子達が体育後に着替えながら会話を交わす姿を妄想にように想像してしまう。女子のブラジャーなどもイメージしてしまう。


 俺も思春期の真っ只中の男子高校生である。性欲は強いし、女子を異性とも意識している。欲を言うならモテたい。可愛い美少女達にアピールも受けたいし、あれやこれやもプレイしたい。


 しかし、その願望も今日で叶うことはなくなるだろう。なぜなら、今からの行いが原因で俺は女子達から確実に嫌われるから。


 俺は女子更衣室の戸に手を伸ばし、1度だけ躊躇って手を引っ込める。女子達に嫌われたり、引かれたくない気持ちが勝る。


 しかし、今からパンツ一丁で女子更衣室に入らないと、陽キャ達に何を言われ、されるかは分からない。


 もしかしたら中学の時代の不良のように、俺を暴力的にいじめるかもしれない。


 そう思うと後に引けなかった。選択肢は1つに絞られる。俺に選択肢を選ぶ権利はない。それにパンツ一丁で女子更衣室に入らなければ、今みたいに陽キャ達が構ってくれることも無くなるだろう。それはそれで避けたかった。


 よし。やるぞ! やるんだ! 卓士!!


 俺は勇気を振り絞って女子更衣室の戸に手を掛け、力強く握ってから深呼吸するように両目を瞑る。


 大きく息を吐いてから両目をゆっくり開く。


 そして。


 ガラッ。


 勢いよく女子更衣室の戸を開け放つ。


 パンツ一丁の俺のだらしない姿が着替え中の女子達に晒される。


「「「「…」」」」


 しばらく女子達の沈黙が続く。何が起こったのか分からない様子だ。しかし、徐々に我に返る女子達が増え。


「「「「キャ~〜!! 変態~〜 !! 」


 女子達の悲鳴に似た叫び声が渦のように女子更衣室を支配する。


 女子達は大慌てであり、叫び声を上げる者、衣服で自身の身体を隠す者、友人と密着して抱き合う者。多様な反応が俺の目に飛び込んでくる。どれもが拒否的な反応だった。


 皆が俺に引いており、嫌悪感を抱いている。


 目の前に映る景色を見れば容易に理解できた。


 そんな俺は、この空間に耐えられずに、強引に女子更衣室の戸を閉め、騒々しい声達を遮断し、身を守るようにエスケープした。


 女子達は、ほぼ全員が俺のパンツ一丁の姿に引いていた。好意的な反応を示す者など存在しなかった。そんな風に俺には見えた。


 しかし、約2名の女子が俺のある部分に釘付けであった。


 その2名の女子は、なんと俺の膨らむあそこから目を離せず、驚いたような初めて見たように凝視していた。


 大きく膨らむ常人よりも遥に大きい俺のあそこに。


 その証拠に2名の女子だけは、俺のあそこをから目を離せないまま、言葉を失ったように口元を手で覆っていた。1名は両手で、もう1名は片手で。


 しかも。2名の女子は、俺が退出するまでの間、俺のあそこだけを一点集中で見つめていた。1度も目を離さずに。


 そんな変わった2名の女子の1人はクラス1の清楚系美少女であり、もう1人はクラス1のギャルであり、学年でも非常に人気の高い美少女達であった。


 そんな美少女2人との間で紡がれる物語がこれから俺に始まろうとしていた。

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