絵本のようにやさしい世界の祈り。
- ★★★ Excellent!!!
穏やかな水面に、丸い蓮の葉が重なり合い天女たちが舞う。
その情景がまるで絵本を開いた時のように、やわらかく心に届きます。
そして、蕾がたどる運命のひとつひとつに、
そっと手をかざして光を当てるさまが、とても美しかったです。
厳しさを含む瞬間もあるのに、物語全体はやわらかく、
祈りのトーンがずっと続いていきます。
最後に訪れる場面は、悲しみではなく安らぎで終わるところが、
この掌編の魅力をいっそう引き立てていました。
天から地に落ちてまた戻る蕾の循環が当たり前のことのように優しい物語でした。
そっと寄り添ってくれる賞編です。おすすめです。