第二話:如月の語源④

ディスカウントショップを出た。

ビニール袋をぶら下げてやってきたのは近くの河原だ。


夜中の気温は3度。なかなかに寒い。

寒いというか冷たいというか痛いと言うべきか。

ただ一周して感覚がなくなってきたのが幸いとも言えるだろう。


橋の下を確保。

ライバル(ホームレス)はいないので、とりあえず雨は凌げる。


風も少しはマシにはなったがまだ吹き抜ける。若干寒さに心配を覚えるが数刻前とは状況が異なる。


今は寝袋がある。

過酷な状況であろうと雪さえ降らなければこれでなんとかなるだろう。


命を繋ぐ大切なお金。

無駄遣いはできないので必要最低限の物資だけ購入する。


夜が終わる。

河原から見える景色。朝日はキレイで、世界を照らす。


照らす、という表現は適切ではないな。それは……そう、まるで草や河、さらには橋や街などの人工物全てに命の光を注ぐような、そんな朝の始まりだ。

「なるほど」

永くこの街に居ながら、こんなキレイな景色に出会う事もなかった。

(未熟だなぁ)

こんな景色を知らない。いつでも見れたのに、初めて見る。

この無知を未熟以外になんと表現しようか。


ふー。と指先を温める。

手入れされていない種々に付着した結露は朝の光で神秘さを演出する。


何気ない一日の始まりに、心を奪われる。

(キミの方がキレイだよ。って言ったらモテるかな? あれ、でもこれってボクが一人二役だよね)

うーん。

頭が回らないか。

糖分不足は否めず、食事も採っていない。

貴重なお金は浪費できず、必要最低限しか購入していない。


プシュ。

「えへへ」

朝を見ながら酌を愉しむなんて、優雅な生活の始まりに心が踊った。

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燦歌を乗せて~追放された天才画家は優雅なホームレス生活を肴に薄暮を眺める~ キングイッチ @time_time

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