第24話スライムは作業

 そんな訳で、スライム湿地に来ていた。俺は水属性の精霊王、アーリアは雷属性の精霊王を従えている。そして、スライムも沢山居る。


「うへえ。泥だらけだよー。汚いよー」


「実は泥はスライムのお陰で綺麗だったりする。泥以外の不純物はスライムが食べるからな」


「気分的な問題なんだよー。これでお気に入りの服だったら、3日は泣いているんだよ?」


「だから捨てるための服を買っただろう?」


「そうなんだけどー。そうじゃないんだよねー。あーあ、もっと別の服の方が良かったかなあ……」


「まあ、慣れるしかない。ハイスライムは沢山居るからな。ここで、精霊王の見せ場だ。一気に魔法でぶよぶよの部分を吹き飛ばす」


 精霊王に命令して、ゼリー状の部分を吹き飛ばしてもらう。なお、水属性の精霊王なので、こっちに核を引き寄せることも可能だ。ここは湿地。水属性の精霊王とは相性が良すぎるんだ。……ただ、殲滅速度は雷属性の精霊王の方が凄まじいので、殲滅はそっちでお願いした方が良さそうだな。


 後は、いつも通りに、ゴブリンキング、デーモンロード、セラフィムがスライム狩りに出かけている。殲滅してくれても、そこまでの経験値にはならないので、問題なんだよな。スライムが嫌われる原因の一端がこれだからな。経験値にならない。だから、不人気の狩場なのだ。しかも物理無効と魔法無効の両方を持ち合わせているので、殲滅も面倒だというのが何よりも面倒な証拠である。


「錆び付いた剣で差して、契約。差して契約。差して契約。それを繰り返す。ひたすらにこれだけやる。飽きるだろうけど、50日間の辛抱だからな」


「飽きるのは嫌だなあ。それならゴブリンを殴った方が楽しいよ……」


「殴られるゴブリンの気持ちも考えような。まあ、ゴブリンだし良いんだけど」


「作業、作業。これは作業。スライムを1撃で倒せないのもなんだかなあって思うよね。普通は1撃なのに」


「その為の専用武器だからな。倒したら契約出来ないんだから」


 そんな訳で、来る日も来る日も、スライムを契約していった。契約率の悪い事悪い事。なので、思った以上に時間がかかった。結局、100日くらい滞在してたかな。ひたすらハイスライムと契約をするだけって感じだったが。途中で飽きてきたのもあるが、経験値が全然入らないってのも、苦しい所ではある。なので、2人とも100日も経ったのに、ショゴスの1体も出来ていなかった。というか、Aランクのエンペラースライムですら出来ていない状態なのだ。Bランクのキングスライムは何とか出来ているんだけどな。……見た目的にはどんどんと大きくなっていっているので、これはこれでいいんだけどさ。何というか、張り合いが無いんだよ。何もやっている感が無いんだよ。精霊王のお陰で、スムーズに出来たのは良い事である。雷属性の精霊王で殲滅してから、核だけを水属性の精霊王で流してくる。そんな感じだったのだ。楽だったぞ? 楽しくは無かったが。


「やっと終わりだー! 長かったよー。ゴブリンよりも長かったんじゃない?」


「それだけ契約に苦労したからな。思ったよりも苦労した感じがあったんだ。……この分だと、ヴァンパイアとドラゴンはもっと厳しいのかもしれない。まあ、時間はまだまだたっぷりとあるんだけどな。それに、向こうは経験値が美味しいはずだから」


「経験値が美味しくないのは楽しくないよね。ステータスも碌に上げられてないよ? というか、上げた記憶が無いんだけど……」


「上げてないからな。100日で100000しか貯まらなかったし。それも後でSTRに振り分けないといけないからさ。STRは今度は絶対に必要になってくるから。ヴァンパイアとは、ガチの殴り合いが始まるからな。ヴァンパイアは強いぞ。無属性魔法については効かないし、物理で殴るしかない訳だ。しかも物理は8割くらいカットされるからな。5発殴って契約って感じになるんだよ。だから、戦いがしたいなら、ヴァンパイアが楽しいかもしれないな。負ける心配が無いから、出来ることでもあるんだけど」


「今度は戦い甲斐があるヴァンパイアだから良いよね。沢山戦おうね!」


「それは勿論だ。沢山戦って、沢山契約するんだ。ハイスライムよりも契約しにくいから、何日くらいかかるかな? 最低でも100日は籠ることになるとは思うし、時間の関係もあるから、どうだろう? 今回は750日くらいヴァンパイアの相手をする事になるかな。ステータスも伸びるから、楽しいとは思うぞ。一気に強くなれるとは思う。まあ、その後はドラゴンバレーに行くことになるんだけどな。どうしてもドラゴンは欲しい。そっちも750日くらいは頑張る予定で居るけど」


「頑張らないとね。でも、まずは何処に行くの? ヴァンパイアなんだよね?」


「そうだな。それと、何処に行くのかなんだけど、シーベルニアールの町にある、吸血鬼の町に行く必要があるな」


「えっと? 町なの?」


「町だな。何というか、霧が深い町? そんな感じ」


「吸血鬼って町を作るの?」


「さあ? そういう場所としてしか知らないからな。吸血鬼は、人間に近いとは言っても、魔物だからな。普通なら町は作らないとは思うぞ。ただ、そういう場所としてあるだけだとは思うけど、詳しい事は知らないからな」


 なんで町なのか。そんな事は知らない。そもそも出てくるのはヴァンパイアカウント。伯爵なんだよな。なんで町に伯爵がそんなにたくさんいるのか。それが解らない。まあ、そもそも命名にも、ある程度の規則性はあるんだろうけどな。というか、貴族なのはカウントだけで、後は特に居ないんだよな。デュークやマーキスが居る訳でもない。まあでも、ヴァンパイアって言えば、伯爵って感じがするのは、なんでなんだろうか。特にそういうのに詳しい訳では無いんだよな。でも、ゲームでもそうだよな。ヴァンパイアと言えば伯爵。公爵でも侯爵でもない。子爵とも男爵とも違う様な気がする。その辺のルーツは、何処かにあるんだろうな。俺が知らないだけで。


「ここからどのくらいの距離にあるの?」


「ここからだと、普通は12日くらいだから、4日あれば着くんじゃないかな。そのくらいには何とかなるとは思うけど、早く行きたい?」


「早く行きたい! もう退屈なのは嫌だよ」


「まあ、それは俺も同感だけどな。それじゃあ、行きますか。シーベルニアールの町へ」


「おー!」


 そんな訳で、走って移動です。急いで急いで、4日目の夜に到着した。やっぱり、この位の早さになるよな。一気に駆け抜けてきたけど、良い感じに走るのに慣れてきた感じがするし。なんだろう。この時間が引き延ばされている感覚が、妙なんだよな。居心地が微妙に悪いというか。それにある程度慣れてきたんだろうとは思う。何故に不快感を感じるのかは解らない。なんでなのかは判断がつかない。後に慣れてくるんだろうけどな。もっと上手くステータスと付き合わないといけないんだろうとは思う訳だ。自分自身との向き合いが必要になってくるんだろうとは思う。


 次の敵は強いぞ。まあ、VITもMNDも上げ過ぎているので、ダメージは貰わないんだけど、近接格闘戦が得意じゃないと厳しいくらいには、ヴァンパイアカウントは強い。俺はゲームで散々やってきたことだから良いけど、アーリアはどうなんだろうか。霧にパンチする感覚なんだよな。遅いとそれで回避される。だから、素早い攻撃が必要になってくるんだけど、どうだろう。とりあえず、戦えるかどうかを確かめないといけないだろうな。まあ、何とかなるような気がしているんだけど。

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