嫌いに、

久米橋花純@旧れんげ

嫌いに、

私が君を好きになったから。

私が君を嫌いになったから。

だから、君は私のことが嫌いでしょう。

だから、君はそんなに冷たいでしょう。

そんなことはわかってるのに、どうして涙があふれだしてくるの?


私は嫌いになったんだよ、きみのこと。

嫌いになった、はずなんだよ。

だけど、あの時、私が好きって言った時の、君の笑顔が、私を苦しめている。

好きだったころは、わからなかったよ。

君を嫌いになる可能性も、君が私のこと、嫌いってことも。


もう、好かれることがないくらいなら、いっそ嫌いになってほしい。

私のただのわがままだけど。

でも、それを、考え始めた。

嫌いになられたら、もういいんだ。

君が私のことを嫌いなら、私はなにもしない。

話しかけることも、会話をすることも、冗談を言い合うことも。


なにも、なんにもしなくなる。

まるで感情を知らないかのようにね。

私は君の前で、あやつり人形になってしまうんだよ。

言葉に表すことのできない気持ちに、操られる、人形に。


でも、話したいよ。笑顔を見せてほしいよ。

野球をしてる、君が好き。

勉強に集中してる、君が好き。

優しい、君が好き。

LINEでは少し塩な、君が好き。

照れ隠しをする、君が好き。

ギャップのある、君が好き。

笑っている君は、もっと好き。

あふれてやまない、この気持ちを、恋と呼ばずになんというのか。



いくら、表面上、「嫌いになってくれればいいのに」って思っても、私が、「嫌いだ」と言おうとも、君が私のことを嫌いだとわかっていても。

私の心は、力なく、ずっと訴えている、君に、向かって。




——————————————嫌いに、ならないで……。


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