第10話 秘宝

レイスが生き返ったのは秘宝という物が大きく関わっているらしい。


ライナス:「秘宝ってのはな、10年前に正式にその存在を確認された指輪型のとてつもない力を秘めた道具だ。全部で4つの秘宝が確認されててな、それぞれの国に1つ保管されている。」


アルバ:「それぞれの国に1つある?そんな話聞いたこともないですよ!」


ライナス:「言ったろ、トップシークレットなんだ。レイスのことがあって緋縅隊の隊員はその存在を認識する許可がおりてる。あとは国のお偉いさんと隊長クラスが知ってるくらいだろうな」


アルバ:「じゃあその秘宝ってのがあれば人を生き返せることが出来るんですね」


ライナス:「少し違ぇな。もちろん秘宝一つだけでも国家を揺るがすほどの力が秘められてる。だが、研究の結果まだ分からないことの方が多いが、秘宝1つじゃ人を生き返らせる事は不可能だ。それにこれはよりトップーシークレットな話なんだが...」


ライナスが周りを見渡して人がいないことを確認する。


ライナス:「実はな...」


レイス:「秘宝が4つ揃えば不可能は可能に変わる」


ライナス:「ちょっ、レイスてめぇ!」


ライナスが自慢げに語ろうとしたがレイスが美味しいところを奪う。


レイス:「俺が生き返った時、目の前にはフードを被った子供がいた。10歳ぐらいの子供で、当時5歳の俺から見れば充分大人っぽく見えるような不思議な雰囲気のやつだった。そいつの手には指輪が付いていて、それを秘宝だと言っていた。不可能を可能にすることわりを破る禁忌の力だって」


アルバ:「10歳ぐらいの子供が何でそんな物を?それに秘宝の存在を国が確認したのはレイスが生き返ってから1年後、意味が分かんねぇよ」


アルバは混乱して頭を掻きむしる。


レイス:「俺もそいつから聞いた話しか知らない。とりあえず俺は秘宝と呼ばれる物によって生き返った。けど、子供だと秘宝を使うにはかなり負担が大きいらしくてな。その時、一緒に両親を生き返らせることは出来なかった。そして、俺を生き返らせるために、その少年は秘宝の反動で自分の片腕を失っていた」


アルバ:「そんな代償でけぇのか!」


レイス:「今言ったばかりだろ。子供では扱うのに負担がかなりかかる。やる事によっては反動も大きい。けどそいつは『人を生き返らせて腕1本ぐらいなら安いな』って笑ってやがった。そのまま少年に連れられて俺はクロレドを抜け出したんだ」


レイスの話に出てきた秘宝を使う少年、あまりにも謎が多い。すると、ライナスは


ライナス:「秘宝を使う少年、秘宝の存在を知る厳命護衛隊の隊員はその少年の捜索も上から言われてるが未だに見つかってない」


アルバが入隊してから驚愕の話ばかり知らされ、整理するのにかなり時間がかかりそうだ。


ライナス:「とりあえずざっとレイスの過去はこんな感じだ。そのクソ野郎共の溜まり場からオーバーの依頼が来た。今回の依頼者は唯一レイスの肩を持ってくれてた幼なじみの女の子からだ。」


レイス:「えっ、ヒナから?」


依頼者が唯一の友達だったことを知り、レイス目を大きく開く。


ライナス:「お前自分でも言ったろ。あの村の人間は外との接触を嫌がってる。困り事があっても自分たちで解決しようとする。けど、きっと対処しきれなくなったから、唯一考え方の柔らかいお前の幼なじみが勇気出して依頼したんだろうよ」


レイスは幼なじみヒナとの温かい記憶を思い出し言葉が詰まる。


ライナス:「もうクロレドだ、お前ら気合い入れ直せよ」

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