守護竜クーレニア
神の居場所に至る門を守りし者ノゾミとの戦いが始まる。シェダは一枚のカードを、リオは二枚のカードを手に魔力を込めた。
「闇を断って悪しき光を祓って来い、ヤサカ!」
「デュオサモン、ラン、リンドウ、行きますよ」
鎖で繋がる二刃を手にする鬼の戦士ヤサカがシェダの前に静かに降り立つように現れ、剣の閃きと共に犬剣士クー・シーのランと猫剣士ケット・シーのリンドウが武器を構え臨戦態勢を取る。
相対するノゾミはその布陣を見て良いアセスですねと一言告げ、優しげな表情から一転目つきを鋭くし魔力の滾りが呼ぶ逆巻く風の中で己のアセスを呼ぶ。
「願いと思いを見定める者よ、真白の翼に希を宿し今ここに姿を現せ……! 白氷希竜クーレニア!」
白き光がカードより放たれながら形を作り、刹那に水晶飾りを纏う純白のドラゴンが姿を現す。白氷希竜クーレニア、優しげな顔つきと美しい出で立ちは神聖なものを感じさせ、神々しく神の御使いそのものと言っても差し支えない。
そんなクーレニアが静かに地に降りて頭をノゾミの傍に寄せてすり寄ると、ノゾミも微笑みながら撫でてやりつつ前に目をやりクーレニアも凛と構え翼を広げた。
(確かあいつは相手の属性と同じ属性になる能力を持ってるんだったか。こっちは三人ってなると誰かのみってなるのか、全部なのか、調べる必要はあるな)
以前地の国でエルクリッドとノゾミが相対した時、クーレニアはエルクリッドのアセスと同じ属性となり変幻自在の力を見せたのをシェダも確認している。真なる姿となってもそれは変わらないのか、強化されたのかをまずは知らねばならないとシェダは思いつつ、新たな能力も秘めてる事を視野にカードを抜きヤサカも刃を構えた。
かたやランとリンドウの二人の剣士も真白のドラゴンを前に清らかすぎる気を纏う事に底知れぬ強さと、戦いには似つかわしくない穏やかさを感じながら双方目配りをしてから同時に走り出す。
クーレニアも歌声のような鳴き声と共に羽ばたいて飛び上がり、水晶部分を煌めかせ走ってくる二人を映し出す。が、身体に変化がない事から二人は無属性と察しノゾミもカードを抜き、クーレニアも白の息を吐き視界を塞ぎつつ迎撃態勢をとった。
「スペル発動ミラージュレギオン! まずはこれで……!」
先にカードを切るのはリオ。クーレニアの吐く息が攻撃力や毒性がないと察すると逆手に取ってランとリンドウが姿を隠し、煙から飛び出ると共に二人の姿が分身しておりかく乱と同時に切りかかりにいく。
それらに対しクーレニアはくるんと華麗に回って尻尾を振るってまとめて薙ぎ払い、その直後に真下から迫るランと手にする大剣を身を引いて避け、背後から飛びかかって細剣を構えたリンドウが迫る。
「スペル発動プロテクション」
冷静にノゾミがプロテクションのカードを発動しリンドウの攻撃から青の薄い膜がクーレニアを守り、単純ながらも有効な手にはランとリンドウも一旦退く。
そこへ入れ替わるようにヤサカの半月状の刃が回転しながら飛来し、プロテクションの膜ごとクーレニアに巻きつくとそのまま鎖が張って力強く引き摺り降ろさられる。
そのまま晴れ始めた白煙の中を突っ切りヤサカがクーレニアに迫り、刹那にプロテクションの効果が切れてそのまま鎖がクーレニアを捕らえ動きを封じた。
瞬間、クーレニアの透き通る水晶飾りが黄色みを帯びると風が吹き荒れ、ヤサカの足を阻む程のものとなり鎖を払い退ける。
(ヤサカの属性を模倣されちまったが、逆に好都合……って言えるか)
風が吹く中で冷静にシェダはクーレニアの属性変化を分析し、相手に依存する事を確信し策を練る。
カードが増え過ぎる事やリスナー自身の傾向もあって通常はアセスの属性や性質は偏る傾向があり、言い換えると対策がしやすくも特化させやすい。
クーレニアは相手と同じ属性になる性質から相手の属性に対しての返しとなり得るが、それはクーレニア側も同じという点をシェダは察し観察をしっかりすれば勝ち目はあると読む。
もちろん、リオの控えのアセスが水属性の霊剣アビスと、特異な属性を有する戦乙女ローズのものを模倣されればまた違った対策は必要となるが、想定できるだけマシだろう。
手元に戻る刃を手に取ったヤサカが半月状の刃を回転させながらクーレニアに向けて放ち、風を切り裂きながら迫るそれを上へ回避されはするも風が止んだことで動きの制限が消えた。
刹那、ランがクーレニアの背後から跳んで切り裂きにかかり、振られる大剣を尻尾の鱗で受け流すもランの肩を足場としさらに高く跳んだリンドウの一閃がクーレニアを捉え、真白の鱗が弾け飛ぶ。
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