第18話 おかえり

 先輩と別れて、帰りの電車に乗り込んだ。


 そうしてぼんやり最近の一連の出来事を思い返して――首を捻った。


(なんかみんな、様子がおかしい)


 ミオも桃瀬さんも霧坂先輩も。


 みんな普段と比べると様子が変だ。


 桃瀬さんには告白されたからと言い訳もできるけど、それだけでは説明のつかないこともある。しかも、どうもみんな同時におかしくなっているのは不思議だ。


(桃瀬さんとは日曜日に会うか……)


 そこで、もう少しちゃんと話を聞いてみよう。

 約束をしたのだ。

 デート……いや、映画鑑賞会である。


(忘れないようにしないとな)


 最近、俺も記憶が怪しい。

 頭にもやもやした霧が掛かっているような時がある。


 寝不足なんだろうか? なんであれ、デートは流石に忘れるわけにはいかない。桃瀬さんにとってもきっと大事な約束だ。すっぽかすわけにはいかない。


(……そういえばミオから貰ったぬいぐるみ、桃瀬さんに見せようと思って忘れてたな)


 そんなことを考えていたら駅に着いた。

 軽く買い物をしてミオの家に向かう。

 今日も夕食を作る予定がある。


 到着を知らせるためにチャイムを鳴らす。

 合鍵でドアを開ける。


「……お邪魔しまーす。って……ミオ?」


 すると暗い玄関にまたミオが立っていた。


「……お前、またそこにいるのか。電気ぐらい付けろよ」

「うん。穂波……あのさ」

「ん?」


 ミオが薄っすら微笑んで、スマートフォンの画面を向けてきた。


 みょんみょんみょんと間の抜けた音がしていた。


 紫色のハートマークから目が離せない。



「おかえり」






――――――――――――――――――――――――――――――――――


 前の話との兼ね合いで短め。

 お昼にもう一つ更新します。

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