2日目 魔女の帽子『魔女見習いになるの!』
ニアが目を覚ますと、目の前には肩に黒猫のノクスを乗せたゼルがいた。
「それでは、今日は何をして遊びましょうか?」
「私ね、魔法使いになりたいの」
「魔法、ですか?」
「うん、私は魔女で、魔法を使うの!」
ニアは村の子供たちが、そんな話をしていたのを思い出した。本当に魔法は使えないけれど、もしも魔法が使えたらという話をずっとしているのを楽しそうだと思っていた。
「それではニアに、これをプレゼントしましょう」
ゼルは虚空から黒い三角帽子を取り出して、ニアに被せた。
「わあ、素敵な帽子! 本当に魔女みたい!」
「よくお似合いですよ」
ゼルは素敵な洋服ではなく、黒いワンピースを差し出した。
「それではこれを身に着けて、魔女ごっこを楽しみましょう。ちょうど黒猫もいますしね」
「やった! ありがとう!」
ニアは大急ぎで黒いワンピースを着ると、ゼルに出してもらった
「さあ、魔女集会へ行きましょう! この箒、飛べないのかしら」
「残念ですが、この箒にはまだ魔力が備わっていないようですね」
ニアはがっかりした顔をした。
「どうすれば飛べるようになるのかしら」
「ニアが毎日、魔女の修行をすればいいと思います」
「じゃあ、私魔女になるね!」
そう言って、ニアはにっこりと笑った。
「はい。一人前の魔女になれば空も飛べますし、魔法を使うこともできるでしょう」
「そう言えば、ゼルは飛べるの?」
「私は悪魔ですから、飛ぶことはお手の物です」
「じゃあ、飛んで見せて!」
すると、ゼルは困ったような表情を浮かべた。
「飛んで見せたいところではありますが、このような姿で飛び回っても面白くないですからね。ニアが一人前になったら、一緒に飛びましょう」
「わかったわ。私、魔女の修行をするわね」
ニアが意気込むと、ノクスがにゃあんと返事をした。
「それではこれから毎日、遊びながら修行もしていきましょう」
「でも、修行って何をすればいいの?」
「魔女は黒猫と仲良しなので、ノクスを可愛がってはどうでしょう?」
ゼルの提案に、ニアは小首を傾げた。
「それが修行なの? 勉強とか、しなくていいの?」
「はい、遊びながら修行も出来て、一石二鳥ですね」
「なあんだ、それなら楽チンね。ノクス、遊ぼう!」
ニアは箒を放り出して、ノクスと遊び始めた。すっかりニアに懐いているノクスは、黒いワンピースに黒い体を擦りつけた。
「その調子です。是非、ノクスと心を通わせてくださいね」
ゼルはその様子を見て微笑んだ。それから一日ノクスとたっぷり遊んだニアはまたお菓子をたくさん食べ、甘い夢を見ながら眠りに落ちた。とても楽しい日であった。
『2日目:終了』
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