ノスタルジックで情感豊かな、素敵なお話です!
最初の一文は過去形。年配者の主人公は昔の記憶を繋いでいきます。
お祭りの日、クラスで孤立している少女・岩城蓮子に遭遇しました。長い目で見ればほんの少し話した程度ですが、主人公にとって、彼女は忘れられない存在になりました。そして主人公は、去っていった彼女に思いを馳せます。
こちらの小説は回想シーンの移り変わりが自然で美しく、記憶の繋ぎ目が丁寧に描かれていることで最後までスラスラと読み進めることができました。
読後感をネタバレなしで語ることは難しいのですが、私にとってかけがえのない、忘れられない物語となりました。
とんでもない完成度の物語です。
老人が、少年だったある時を思い出す……というお話です。
場面、場面が静かに切り替わりながら、音や温度感、表情を作る皺やそれに乗せた気持ちが伝わってくる文章です。
読みやすさを保ちながら、たくさんの情報が伝わってきますが、何よりも、主人公の少年の精神的な変化が感じ取れるのがいいですね。
現代日本の物語です。
しかし、まるで美しい挿絵の絵本をめくっているような、辛い現実に閉じ込められた少女が本物の妖精になった壮大な物語を読み終わったような不思議な感覚を与えてくれます。
誰かにとっての人生最良の物語になってもおかしくないくらいの傑作だと個人的に思います。