第20話 食事

 土日が過ぎ、月曜日。今日が終われば明日から冬休みに突入する。

 補習などがある生徒は、大晦日の前の日まであるが、俺たちはない。


「僕は明日行かない」


 朝食の時に言い、さっさと食べ終わった龍牙は準備をして学校へと早々に向かっていった。

 いったい何があったとしばらく全員で見つめ合い、学校に遅れると母親から言われ、急いで準備して俺らも学校へ向かう。

 龍牙が走って学校に向かってなければ、追いついてさっきのを聞けるかと思ったが、すでにいなかった。放課後は難しいから家に帰ってきてからだな。


「なんだったんだ、さっきの」

「たぶんだけど、かなぐりに会いたくないんじゃないかな」

 

 結界を張ってもらいに来たとき、人の道を踏み外す一歩前だって言ってたからな。

 

「なぜ?」

「この前来た時、霊のことでいろいろとあったみたいだから会いづらいとかだと思う」

「ほーん」


 ドア越しだったから詳しいことはわからないが、あれほど嫌だと言っていても、無理矢理していたからそれで嫌になった可能性がある。


「1人残ったところで飯は……」

「たぶん、その辺にいる霊を食べるよね」

「だろうな」


 家族がいるから人が作った食事を食べているが、家族というものがいなければ漂っている霊を食べる。

 それに監視というものも無くなるから無尽蔵に食べるだろう。

 そして俺たちが帰ってきたとき、龍牙は人の姿を保っていられるのだろうか。

 除霊するとか天に送るとかあるけど、対処法とはいえ、霊を食べるなんてのは聞いたことがない。

 だからどうなるかわからないのだ。


「相棒、また夕方な」

「ああ」


 学校について靴を履き替えて、自分のクラスへ行く。

 最後まで頑張るとしますか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る