第16話 これからの道

 拍手の余韻がまだ耳に残っていた。

 ステージを降りると、仲間たちが駆け寄ってきた。


 「創真、やったな!」

 「泣かせるなよ、ほんとに」

 「お前の言葉、ちゃんと届いてたぞ」


 佐伯、山下、谷口――三人の笑顔が、眩しいほどに輝いていた。

 最初はただのネット仲間だったのに、今はかけがえのない戦友だ。



美優の涙


 舞台袖に立つ美優の姿を見つけ、思わず歩み寄った。

 彼女は涙を浮かべながら、それでもしっかりと俺を見つめていた。


 「創真さん……最高でした」

 その一言に、胸の奥がじんわりと熱くなる。


 「俺、一人じゃ絶対にここまで来られなかった。

  仲間がいて……そして、美優がいてくれたから」


 言葉にすると、彼女は恥ずかしそうに笑って「これからも隣にいます」と小さく答えた。



未来の景色


 控室に戻り、窓から外を眺めると、都会のネオンが遠くまで瞬いていた。

 ふと、かつての自分を思い出す。

 布団から出られず、天井を見つめていた暗い日々。

 あの頃の俺に、この景色が想像できただろうか。


 「出来ないことばかりでも、出来ることで生きていける」

 その確信が胸に宿っていた。



次の一歩へ


 「さあ、打ち上げ行こうぜ!」

 谷口の声に笑いが広がる。

 仲間の肩を並べて歩き出す。


 美優がそっと俺の手を握った。

 その温もりが、どんな未来よりも確かなものに思えた。


 ――これは終わりじゃない。

 loudyの物語は、まだ始まったばかりだ。

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