第12話(最終話)新しい空の下で

 復讐は終わった。

 あの騒ぎも、裏切りも、すべては過去になった。

 痛みや孤独は消えないけれど、それでも俺は前に進むことを決めた。


 文化祭の後片づけを終えて校舎を出ると、夜風が頬を撫でた。

 空には小さな星が瞬き、街の灯りが道を照らす。

 深く息を吸い込むと、胸の奥に残っていた重さが少し軽くなった気がした。


 その時だった。

「ねえ、帰るの?」

 後ろから声をかけられる。振り返ると、同じクラスの女子が立っていた。

 普段はあまり話したことのない子だ。けれど、文化祭の準備で何度か一緒になり、少し笑い合った記憶がある。


「あ、うん」

「じゃあさ、駅まで一緒に歩かない?」


 意外な誘いに、心臓がわずかに高鳴る。

 彼女の笑顔は、どこか自然で、温かかった。

 俺は一瞬だけ迷ったが、すぐに頷いた。


 二人並んで歩く夜道。

 他愛もない会話――文化祭の失敗談や、明日の授業のこと。

 ただそれだけなのに、胸の奥にじんわりとした温かさが広がっていく。


 過去の痛みは確かに消えない。

 けれど、新しい一歩を踏み出す勇気は、今ここにある。

 彼女の横顔をちらりと見て、俺は小さく笑った。


「さよなら、昨日までの俺」

 心の中でそう呟く。


 復讐の物語はここで幕を閉じる。

 だが、俺の人生はまだ始まったばかりだ。

 新しい恋の予感と共に――未来へと続いていく。

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NTRた君 Kiro @Ten719

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