“学歴警察”が開く公正の入口。
- ★★★ Excellent!!!
学歴という制度の機能不全を、物語の駆動力にまで押し上げた社会派SF。壮大な問題提起(学歴と雇用の断絶、評価の不公平、管理職の統治不全)を、政府機関「学歴警察」という設定で可視化し、読者の苛立ちや無力感を「監査」「罰則」「研修」という具体的アクションへ変換していく構図が痛快です。内藤一夜と十六夜千歳の“研修→実戦”の導線は、ドキュメンタリー的な説得力があり、長官室のシーンで一気に「物語が動く」高揚感も生まれています。
■良かった点
問題提起の輪郭が太い:制度と現場のズレを、論旨と設定で二重に描くため、主張が迷子にならない。
ガジェットの具体性:虚偽面接罪/業務外評価規制法/管理職処罰法/評価基準推進法など、読後に残る“記名性”が強い。
キャラクター導入の素直さ:千歳の不安→内藤の応答→長官による承認、という三段運びで読者の感情が乗る。