悪役転生とか分かるか!!

@Iyomuimusasa

第1話 転生担当の女神さ……女神様!?

 前略。

 突然のバイクに轢かれ、全身から血液が失われ脳が死ぬ感覚まで味わったと思ったら、淡い黄色の妙な空間にいた。



天田あまだ 滔太とうた様。あなたはお亡くなりになられました。」



 目の前には……まぁ超人的というほどではないが、普通にテレビや実写映画でもそうそう見ない美人。

 死んでいく脳で最後まで見る夢がこんな神様転生とは、父さんも母さんも浮かばれない……



「つきましては、あなたの死後、そのたまし………

 ………………」



 と、思っていたのだが。

 死にかけの脳では、こんなテンプレも思い描けないのか、何か、もっと見たい景色があったのか。



「えっ……あ、あなた誰……ですか? 病院……? えっ、どこここ……」



 何か様子がおかしい。

 突発性の記憶喪失か何かか。

 あるいは女神というものは勝手に人格が変わったりするようなものなのか。



「えっ何……わたし死ん……何、ここ、夢……?」


「あの……魂、ですよね? わたしの魂はどうなるんですか? 成仏するんですか転生するんですか?

 地獄行きでもいいですからさっさと進めてください。」


「えっ、いや……そんなこと言われても……」



 というか、テンプレでもなんでも良いからさっさと進めてほしい。

 のだが、この女神、すごい優柔不断というか、手間取っているというか。

 死ん、がどうとか言っていたが。


 まさか、まさか?

 いや、様子がおかしいし、確認に手間取っても、大して変わらないだろう。

 なら少しでも確かめておいた方が良い。



「…………まさかとは思いますが、あなたまで別の誰かが転生……憑依したってわけじゃ…ありませんよね?」


「え!? いや……まさか……そんな……」



 そのまさかっぽい。

 嘘だろ? そんなことある?

 転生前の段階で躓くなんて、聞いたこともない。どれだけポンコツなんだ俺の脳は。


 死んでいく感覚までちゃんとわかってるんだから、今の俺だっていつ消えるかわかったもんじゃないのはわかってるが、せめて最期の夢ぐらいもう少し良いところまで進めれば……!



「とにかく、何かしてみてください。女神の体なんですよね?

 少なくとも何か言おうとしてましたし、私の魂をどうにかする方法を持っていたのは確かです。」


「え!?」


「ですから、なんとかしてください。同じ体ならできるはずです。

 人間だって、足さえあればひとまず二足でも四足でも、歩行自体はできるはずなんですから」


「え、えっと、えっと、あ、え、これ?

 あ、こぼれ……」



 女神、に転生したらしき誰かがあわあわと腕を動かしていると、ギュオ、と妙な音がして、右の方が強く光った。



「は?」



 なんかこう、いかにも、誰かを送り出す時に溢れそうな光だ。

 それが、自分の足元でも、正面の女神でもなく、誰もいない右側にあふれた。



「まさ、」



 まさか失敗したのか、と言う暇もなく、俺達はその光に吸い込まれた。





 パターン3。

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