序章〜第一章の閑話

閑話 旅でのアレコレその1

現在は天の真上位?に太陽がある時分。


ダチョウモドキことランナーバードが急ぎ足位のスピードで牽引してる鳥車(inリエルとステラ)とそれにさほど距離を開けず、されどスピードを完璧に揃えて走る紅色のユニ……馬2頭立ての荷馬車。


「……馬車で酔ってない……やっぱり私の知る馬車や鳥車より揺れがない……」


「こんな質の良い馬車をどこで……?」


ミレイユとエレスティアが問いかける。


「ん、カイトの嫁になったら教えてあげる」


「「ぶれませんね貴女」」


なんか荷台の女子らは平和そうである。


いや、コレでも地味に道に凹凸あるし、ユエがトランプ出してババ抜きしてるので、揺れと視線固定のコンボで酔ってもおかしくない気がするんだがなぁ。


「カイト、そろそろ代わる?」


「んにゃ、問題ない。」


とか思ってたらユエが問いかけてきた。


が、オレは首を横に振った。


――何故なら、御者台ならストレージの確認やら、テイムして召喚可能なモンスター類のデータチェックを堂々とできるからである。


ちなみにジョブにノービスをセットしてるか、ノービスをマスターしてないと、メニュー画面を認識できないらしい。

実際ユエがエレスティアのジョブの片方をバーサーカーから弄った一件で、2人ともユエが空中に手を動かしてたようにしか見えなかったらしい。


それに、向こう十年分のプレイで溜め込んだストレージのアイテム類やテイムしたモンスターデータを今のうちに整理したいし、2人と会話中に諸々を確認するのはなんか感じ悪いしな!(一番の本音)


とか考えてたら、マルスケさんが鳥車を減速させ始めたのか、速度連動させてるこっちの速さも落ちてきた。


オレとユエが首を傾げ、荷台から顔を出したエレスティアとミレイユが周りをキョロキョロと見回す。


ウチの馬車とマルスケさんの鳥車は草原にぽつんとある林の傍で停止した。


「あれ、まだ昼ですよね?」


「……だな」


前で止まった鳥車から顔色変えて口許押さえたリエルが飛び出して林の中に消えていった。


そしてステラがリエルを追うように続く。


それを見てちょくちょく点在してる林の用途に気がつく。


「……オレ待ってるから、3人も行くといい」


「済まない」


「そうさせてもらうわね」


「……ああ、うん。私も行くね」


そう言って3人も林の中に姿を消した。


ユエだけ間があったが、是非もなし……かな。


とか思ってたら、マルスケさんがやってきた。


「おや? お嬢さん方3人は?」


「野郎が御者してる後ろで用足しとかしにくいだろ」


「確かに? 数百年前とは違い、処理用スライムがあるとはいえ、戻したモノとか酸っぱいモノをいれると変異起こして面倒になりますからね。……こちらの乗客さんは処理用スライム持っておりましたので、野宿以外に停める予定ありませんでしたが……乗り物酔いされるようですし、そちらの事情も加味してそのあたり調整しておきましょう」


その言葉に頷く。


そしてふと思ったことを問いかける。


「……下着の中にスライム貼り付けるとかでゴリ押し解決とかありそうでないですよね」


「ソレ処理用スライム普及の折に流行ったんですが……ずっとつけっぱなしだと、肥大化した分が穴から入って、そのまま滑り込み、逆走して胃に住み着いて最後に胃を破裂させるほど肥大化して――とかで禁止されてるんですよね。たまにソレやって内臓破裂して死ぬ冒険者や御者や貴族見たことあるので皆さん考えてること変わりませぬな」


こわっ、気をつけないとな。

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