第19話:村祭り開幕!屋台は神輿代わりに担がれる

今日は村祭り。

広場いっぱいに人が集まり、太鼓と笛が鳴り響く。

「ユウタさん!今日は屋台も特別仕様にしましょう!」(姉)

「ちょ、祭りで普通に営業すりゃいいだろ!」(ユウタ)

「ほら、屋台を神輿に乗せれば盛り上がりますわ!」(姉)

「はぁ!?屋台は神輿じゃねぇ!!」


……だが、村人たちは既に目を輝かせていた。

「屋台=聖なる輿!」

「呪術の鉄板を天に掲げよ!」

「やめろぉぉぉ!!」


瞬く間に、屋台は木の棒で持ち上げられた。

ワッショイ!ワッショイ!

鉄板ごと上下に揺さぶられる。


「ぐああああ!!たこ焼きが転がる!!」

ユウタは必死に玉杓子でキャッチ。

「姉さま、なんだか楽しそうですね!」(妹)

「はい!これは素晴らしい光景です!」(姉)

「素晴らしいっていうか悪夢だろ!!」


祭りの最中、神々までもが降臨。

「神輿か!我らも担ぐぞ!」

「押せ押せぇぇ!」

→ 神々のパワーで屋台が空中に跳ねる。


ドンッ!

カランッ!

ソース壺が宙を舞い、観客の頭上に降り注ぐ。


「ソースの雨だぁぁ!!」

「甘じょっぱい祝福だ!!」

「いやただの調味料だって!!」


揺れる屋台の上でユウタは絶叫。

「配達じゃなくて空輸かよぉぉぉ!!!」


姉は拍手、妹は頭を抱える。

「アンタ、もう完全に神事の中心になってるわよ……」

「いや俺、ただのたこ焼き屋だって!!」


最高潮。

屋台がグラリと傾き――ドガァァァン!!

たこ焼きが空中にぶちまけられる。

丸い球が雨のように降り注ぎ、村人も神々も必死に口でキャッチ。


「天の供物ぉぉ!!」

「祭りだぁぁぁ!!!」


ユウタは天を仰いで叫んだ。

「俺の屋台、毎回爆発オチとか運命かよぉぉ!!!」


祭りの後。

地面に降ろされたボロボロの屋台。

ユウタは鉄板を撫でながら、ぼそり。


「……まあ、笑って食ってくれるなら、それでいいか」


祭囃子の余韻が、まだ夜空に残っていた。

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