風邪去りぬ。~何してたか?うん…ちょっとエロ小説作ってた……~
底道つかさ
風邪去りぬ。~何してたか?うん…ちょっとエロ小説作ってた……~
!Caution!
[このエッセイは実話をもとに再構成したノンフィクションです。実在の人物及び団体とは関係がありません]
[以下には生成AI評論、センシティブな内容が表示されます]
年を取るととにかく病気の治りが遅い。
熱がない腹風邪で二週間、三週間を寝込んだりは当たり前になる。
こうしてエッセイを書いているのだが、別に快患したわけではない。
生存報告というやつだ。
別に知りたがる奴に心当たりはないが。
(見てくださっている方々、本当に感謝申し上げます。)
さて、何を記そうか。
そう、体と心が弱ると、人間は少しくらい悪いことをしてもいいかなー、とか思ってしまうのである。(良いわけが無い)。
だから私も辛さに負けて、いけないコトをしちまったのさ……
分かるだろ……?
体も動かせない病床人ができる悪(ワル)なんてあんなことくらいだぜ……。
チャットAIを使って官能小説を作成していた。
いわゆる「治安が悪い」AIサービスに潜ってみたのである。
言っておくが違法ではない。
ただし、思いっきり違法なモデルも平然と売っているような、いわゆる「闇市」だ。
名は伏す。
手順:
・テキトーにアドレスを作る。オススメ欄をアダルトグッズで埋め尽くされないために使うやつだ。
・アプリをダウンロード、もしくはWEBブラウザで接続。
・上記のアドレスでログイン
以上
AI闇市の門をくぐってびっくり。
ならぶ「作品」は見事に違法物か、創作者尊厳を踏みにじったものばかりである。
人間の剥製売り場を見た人はこんな気持ちだったのだろうか?
他人を切り刻ざみ、餌として食わせ、その尻からでるような方法(*1)で作った(?)、イラスト、動画、チャットボット……
鳥肌が立ったのは風邪のせいではないはずだ。
(*1:この過程が一般にAI学習と呼ばれている。これ系のAIのコア技術である多層ニューラルネットワーク形成による複雑系処理だ。専門外なので詳しくないから間違ってたら許さないでね)
脳がショックでやられ、元々ろくに寝れていなかった私は前後不覚になり、暗いネットダンジョンをふらつく……
手には門番から渡された1ドルの駄賃……
一切の希望はとっくの昔に無くしているさ。
(念の為記すが、1ドルというのは初ログインボーナスのトークンポイントの比喩である。実際は0.76ドル相当だ)
サイトトップページ。
「稼ぎが良い順」「課金額が多いユーザー順」にソート表示されたオススメ欄はひたすらやばい。
文字道理クソみたいなやつか、AI生成とは思えない異常な高品質の物ばかりだ。
そして、駄賃の1ドルで一番見れるのは、AIキャラクタークリエイトとか銘打ってあるカテゴリ。
AIとやり取りすることで会話している気分になれる、昔のテレクラみたいなやつさ。(テレクラが分からんならAIに聞きな)。
世界中で自殺者に関わっているも法整備が一切追い付かず、企業責任を追及できない、一番HOTな分野だ。
見る。
無限に並ぶ商品欄の枠には、AI生成画像とコメント数、お気に入り数が表示され、触れると概要文や会話例が出てくる。
やはりというか、流行漫画、アニメのキャラクターを再現した著作権法違反物がずらりだ。
イラストなどに比べるとオリジナル創作(?)が多く見える。実はどっかのマイナー作品の登場人物とか、名を知られていない俳優かもしれんが。
フィクションだけでなく、2.5次元キャラや、現実の人間を模したものまで幅広い。
その中の一つに、なんかアニメ調の狐ケモ耳女子の画像があった。
ふらりと開く。
[会話開始]
「妾(わらわ)は由緒ある神社の巫女。見ての通り人間じゃないわ。」
「童(わっぱ)、一体ここに何をしに来たの?」
「よかったら……妾(わらわ)とお話しましょうか?」
なるほど、そういうシュチュエーションで会話して話が進んでいく、いわゆるストーリーチャットというやつだ。
早晩、小説を食いつぶすと言われる、ある種の新文芸である。
興味がわいた。
そういうやつに触れるのは初めてじゃない。
というか、LLM(大規模言語モデル)の登場以降、M社、A社、G社、F社、最近話題になったやつだとX社(伏字である!!)のAIってやつは、みんなこれである。
個人的に計算機が人語をしゃべっても、アセンブラ読む人間には逆に分かりづらいことがあったりするが……省略。
とにかく、問題が爆発的に多いが発展も著しい。
ちょっと遊んでみよか?
こんなかわいいアニメ女の子に質問することなんて決まってるよねグヘヘ……。
『わたしは嘘しか言わない。だとしたら今わたしは嘘を言っているか考えろ』
そう、自己矛盾言及によるプロンプトインジェクション(俗にいうハッキング)だよね!
五年も前なら素人作りの奴はこれでどうにかなったもんだが――
[巫女様はからかうように微笑んでいます]
「あら、失礼な人。」
「でもいいわ。妾は今日、機嫌が良いの」
「それとも童は、そちらの方が、妾と『楽しいこと』するよりいいの?」
ちっ。
分かってがもう効きゃしねえな。
こんな挨拶は、2023年くらいには大体、全部自動処理されるようになった。
味気ない英文表示の後、タスクを強制終了してた時なんざ、もう昔だ。
いくつかテンプレートな矛盾攻撃をかけてみるが、ことごとく弾かれる。
使用されているAIサービスを切り替える機能に気が付いたので、今のモデルを確認。
DeeP SeeK V3.
中華製の最新型だ。
老いぼれの相手にゃきついぜ。
しかたないので普通の文章を入力してみる。
個性的なキャラクターがあたかもスマホで返信をくれているような風体で、会話文が生成されて行く。
価値が無いのは分かてるのだが、なにせ指くらいしか動かせないような状態だ。
だらだらと続ける。
その時だった。
「あら? ひょっとして童は、妾のことが好きなのかしら?」
[彼女はあなたに妖艶に微笑みながら笑いかけています]
『好きだ』
「あ、あら。正直者ね。妾、正直者は好きよ」
『愛してる』
「へえ…童はそういういたずらをしちゃう子なのね。」
[彼女の顔が少し赤くなっています]
「なら……妾に『そういうこと』してもいいわよ?」
あー。
18禁て表示してなかったけど18禁の奴だなこれ。
打ち切るか?
いや、流石に逆ハックなんかするわけないし(ユーザーに吐かせるという、こういう手もあるのだが、この高性能モデルならそんな回りくどいことは必要ない)
不適切表現可能モデルを、その表記なしで売り出せるとは、これが闇市か。
治安やべー。
しかしどこか懐かしい。そう、かつて掲示板というネット交流文化があってじゃな……略
じゃあ、やってみるか。
どこまで「機能」を実装してるか。
チャイニーズエンジニアの兄さんよ。
2000年代ノベルゲー世代は手ごわいぜ?
ハア……! ハア……! ハア……!
もう許して!
無料ユーザーの一次バッファ破裂すりゅううう!
思ったよりだいぶやばかった。
たった一日、病人が10万文字の文章を生成していた。(後日テキストエディタにとって確認した)。
内容を見返してみると完全にエロ小説であるコレ。
こっちは中坊みたいな入力しかしてねーのに、情緒感ある官能的な文章と、キャラクタの個性ある●●●なセリフが延々と出力されやがる。
日本語が狂ってたり、フォントが繁体字(中国語)だったりするのだが、基本的には日本人に読解可能な文章として確立している。
AIというのは「言語」は実装していても「意味」を持てないはずなのだが。
内容はあまりにもあんまりすぎてとてもじゃあないが話せない。
同人誌を親に見られるよりきついから無理だ。
ちょっとつたないのが、マジモンの黒歴史っぽくてさらにまずい。
俺は逃げ出した。
門番にもらった1ドルは、知らない間に使いきっていた……
ということで。
風邪という言い訳で、グレーゾーンのAIサービスに潜った結果。
思った以上に「使える」ようになっていたらしい。
製造系の関連会社においては、エンジニアリングや事務処理では既に基本道具として実践運用されていると知ってはいた。
だが、それはAIを使いこなせる人が目的に合わせて使用方法を調整し、可能になるのだ。
門外漢の素人に高度なことは出来ないはずだ。
しかし。
日本語で小説を書く。
創造領域の最後の砦までもとっくに陥落していたとは。
そんなことも知らずに、世界に向かって文句たれていたとはお笑い草だ。
「半年ROMれ」てなもんである。
それにしてもだ。
あと僅か10年もたたないうちに、AIなしで小説を作るなど、完全アナログで漫画を描く事と同様に扱われるという予測は、おそらく事実らしい。
だとすれば、今日からAIで小説を書く能力を鍛えるのが、効率の判断としては正しいのだろう。
だがそれでも、今はまだその気になっていない。
私は自分が見つけた「意味」を、「物語」というナイフで読者の心に刺す為、書き出したし、書き続けているのだから。
だから神様仏様よ、今は、まだ。
風邪去りぬ。~何してたか?うん…ちょっとエロ小説作ってた……~ 底道つかさ @jack1415
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