Death鬼ごっこ② 第二話
ユキは口を開いた。
「きゃはは! 二人とも、久しぶりだねっ! ゲームマスターはまだ痛い痛い、だよ!」
ユキは楽しそうに言った。
「今日は新入りがいるねっ! 自己紹介しなきゃ!」
見ると、男の子が二人、女の子が一人、そこに立っていた。
「じ、自己紹介……? えっと、僕は加藤司……」
司は大きい眼鏡をかけていて、気弱そうだった。
「私は斎藤香……」
香も気弱そうな女の子だ。黒髪が綺麗にカーブしている。
「ぼくは佐山舜だよ~」
舜は金髪だった。天パなのかくるくるとカールしている。ふわふわした喋り方をする。
「自己紹介は終わったねっ? じゃあ、これから十秒後にユキはスタートするからねっ! それじゃあ、10,9……」
ユキがカウントダウンを始める。悟はどこに隠れようかと悩んでいた。結果、百夜についていく形になってしまった。
「ついてくるな」
「隠れる場所が無いんだよ」
「お前は一生、食堂にでも隠れてろ」
こそここそと話しながら着いたのは結局、食堂だった。
「お前、前回、ここで机の下敷きになったんだよな」
「うるさい」
軽口を叩きあいながら悟と百夜は隅っこに隠れた。机や椅子が多いので見つかりにくい、と考えたのだ。だが、隅っこなので悟と百夜はくっつくような姿勢になってしまった。
「あまりくっつくな。気色悪い」
「好きでくっついてるんじゃねえよ!」
そんなことを言い合っているとコツコツと足音が聞こえる。確か、今日、ユキはハイヒールを履いていた。
「どこかな~? 可愛い可愛い子猫ちゃ~ん」
ユキの声。そして食堂に入ってくる。悟は思わず声が出そうになったが、百夜に口を塞がれる。ユキは二人に気付く様子もなく、通り過ぎて行った。
「ふう……」
「チッ。馬鹿が。あそこで声を出してみろ。一瞬で殺されるぞ」
「分かってるって」
そして沈黙。二人は隅の方で何も言わずに、ただただじっとしていた。
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