Death鬼ごっこ② 第三話
「他の奴らはどこ行ったんだ?」
「俺が知るかよ!」
「おい、どこ行く気だ」
「お前と一緒にいられるか。厨房に行く」
「はあ?」
百夜が何を馬鹿なことを、という目で悟を見る。悟も自分が馬鹿な行動をしているのは自覚している。厨房なんかに隠れたら逃げ場が無い。しかし悟はそれよりも百夜と一緒にいたくなかった。
「あれ、何だこれ」
厨房の床に取っ手のようなものがある。引っ張ってみると、床が開き、階段が現れた。
「地下室だ!」
百夜も来る。
「……なるほど?」
百夜は意地悪い笑みを浮かべた。
(嫌な予感がする)
百夜は悟を地下室へと突き落とした。
「痛っ……!」
「よかったな。俺といたくないんだろ? 夢が叶ったな」
バタン、と出口を閉められる。
「くそっ……!」
出口を押すがびくともしない。
「中からは開けられないのか!」
悟は仕方なく、地下室を見渡す。地下室はとても広く、薬品が置いてある。そして部屋が三つ。悟がいる部屋と、小部屋とさらに下に続く部屋だ。悟は小部屋をそっとのぞく。誰もいない。悟が中に入ると書斎のような部屋だった。大量の本が置いてある。
「なんだこれ……」
悟は一冊の本を手に取る。新しそうに見えた。
「誰かが読んだ形跡がある……」
しかしそれ以外の情報は無かった。本を戻すと、次は下の方へと向かう。扉を半分開けて、中をのぞこうとしたその時だった。
「誰ですか!」
「えっ! あ、いや……」
その部屋から女の人の声。
「え、レイン……⁉」
「……ああ、あなたですか。ユキはまた地下室を隠すのを怠ったのですね」
レインは何かを調合していたみたいだった。
「ここで出会ったのも何かの縁。私の研究をご覧になられますか?」
悟はおずおずと中に入っていく。
「マスクを必ずつけてください」
レインはガスマスクのようなものを悟に渡す。
「この赤い液体と緑の液体を混ぜると、紫色の液体になって、白色の煙が出る、はずなんですが……」
どこかで失敗しているのか、煙の色が紫、液体の色が白色になってしまっている。
「順番も合っているはずなんですが……」
レインが困ったように言った。悟は思う。
(……どこでミスってるか分かった。レインはこういう作業が苦手なんだろうな)
「あの……この本に猫のひげがいるって書いてるけど入れたのか?」
レインはしばらく考え込む。
「えーと……あ、入れてないかも……」
レインは立ち上がって小瓶を取りに行った。そして戻ってきて入れると成功したようで液体は紫、煙は白色になった。
「ありがとうございます。確か、地下室の扉は人間では開けられないようになっていますので、開けておきますね。お帰りください。それとユキに事情を説明しておいてください」
「分かった」
悟は上に上がると、扉が開いている。広間に全員集まっていて、ユキが返り血を浴びているので誰か見つかったのだろう。見ると、佐藤香がいなかった。
「もう、悟くん遅いよっ! どこに行ってたのかなっ?」
悟はユキに事情を説明した。
「あらら、忘れちゃってたみたいっ! ごめんねっ☆ これから気を付けるよっ! きゃは☆」
そしてユキは少し黙ってからまた口を開いた。
「事情を説明するよっ! 香ちゃんが見つかっちゃった☆ 香ちゃんはね、部屋のクローゼットの中にいたんだっ!」
すると参加者が口々に喋りだした。
「ぼくねえ、実は~、その部屋の机の下にいたんだよね~。ユキちゃんったらおっちょこちょいなんだから~」
「てへぺろ☆ 香ちゃんで満足しちゃった☆ それにそこでゲーム終わっちゃったんだもんっ!」
「あ、えっと、僕は、階段の裏に……」
「司くんのこと、見つからなかった☆ すっごい強ポジだねっ! ユキ、びっくり☆」
ユキに見つめられて司はビクッと震える。
「それじゃあ、みんなっ! また会おうねっ! ばいばい☆」
そして気付くと学校。隣の席に百夜。百夜は悟をキッと睨んでそっぽを向いた。
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