第3話 初詣

今年のお話。


彼氏と初詣に行った。

毎年来ている某神社。


今年も夜中なのに物凄い人が居て、彼とはぐれてしまった。

スマホも混線してるのか繋がりにくい。

こういう時のために待ち合わせ場所を決めておいて良かった…。

そう思いながらも少し残念な気分。


仕方なくLINEだけして一人で手を合わせる事にした。


出店もあって、外国人も多くて。

少し疲れてたんだけど何とか長蛇の列を進み切って私の順番が来た。


お賽銭を入れて、手を合わせる。


『去年はありがとうございました。素敵な彼と出会えました。』


目を閉じて神様に届くように集中して心の中で話す。

お礼と、願い事。

毎年そうしているし、今年も同じく。


『今年も幸せに過ごせますように。』


手を合わせる私の周囲は数えられないほど人で溢れていた。

それなりの喧騒も。

有名な神社だし、お正月のニュースにも一回は登場するような場所。


このお詣りが終わったら彼を探さないと。

そんな事も同時に考えてしまったからだろうか…。


急に周囲の物音が聞こえなくなった。

私は、まだ手を合わせて目も閉じた状態だった。

まるで、耳が聞こえなくなったように。

完全なる無音。


「えっ……?」


そう思った時、生温い風が下を向く私の鼻先にあたった。



“ツギハ オマエガ クレ”

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